産地レポート1 豊浦ねぎ
守り育ててきた"地域の味"、これからも伝えていきたい
昔からここで作ってきたんです。
滋賀県近江八幡市安土町下豊浦地区では「豊浦(といら)ねぎ」という青ねぎを作ってきました。近江八幡市農業委員会副会長の西川與平さんは、ねぎ部会会員として、長年にわたって豊浦ねぎの栽培に携わってきました。
「いつから作られているのか、よく分からないのですが、代々この地域の農家では、軒先で豊浦ねぎを作って種取りをしてきました。よそから種を買ってきたことはありません。この地の土壌に根付いて、今まで育ててきたんです」
豊浦ねぎは普通の青ねぎとは少し形が違います。少し細めで、葉の根元の白い部分が長く、葉がしっかりしています。
「3センチくらいの長さに切って、炊き込みご飯にするとご飯がねぎの中に入り込んでくるんです。他のねぎではこうはなりません。それに煮込んでもぐずぐずにならず、形が残ります。葉がしっかりしているからでしょう。味も香りも濃厚です。昔は安土川の水辺に生える藻をとってきて畑に肥料としてすき込んで育てたものです。豊かな土壌が良いねぎを育てたのだと思いますね」
昔は各家庭で作って消費するだけでしたが、今は「豊浦ねぎ」の名前で出荷されています。 「京都の市場からも声がかかるんです。評判が良いようなんです。この地域だけで細々と作っているので、出荷量は知れてるんですが」
手間を惜しまず丁寧に出荷
「この地区では信長ねぎの栽培も盛んです。太い信長ねぎは、機械で裁断や皮むきもできますし、作業効率はいいのですが、豊浦ねぎは、収穫から出荷まで、全部手作業です。若い人はあまり作りたがりません。お年寄りが時間をかけて丁寧に作業をしているんです。出荷は11月末から、3月まで。寒い季節が中心ですから大変です。人気があるのはありがたいのですが、豊浦ねぎの出荷量は、年々減少しています。作り手が増えていないんですね」
一度、食べると「美味しい!」とリピーターができる豊浦ねぎ。 「この地域では湯がいて、味噌をつけて食べる人が多いです。ねぎの味わいがはっきり分かります。また、魚と一緒に炊けば、生臭みを取ってくれます。このねぎは、青い部分も白い部分も味わいは濃厚です。この味を多くの方に知っていただいて、次世代に守り伝えていきたいですね」
地域で豊浦ねぎを栽培、出荷する吉田好子さんと
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