開発よもやま話
「みずかがみ」順調に育ってほしいですね
「みずかがみ」は、滋賀県農業技術振興センターで開発されました。森茂之さんは、平成21年から稲の新品種の開発担当になりました。
温暖化に対応するために開発された「みずかがみ」
平成10年頃からお米の品質に問題が発生するようになりました。
暑さのために、お米の中のでんぷんが詰まりきらず、隙間が空くようになったのです。そうなると、本来、半透明の米粒が白濁してしまいます。これを「白未熟粒」といいますが、見た目が悪いだけでなく、べたついて味も悪くなります。白濁したお米が多く混じると、米の等級が下がります。
そこで高温に強い稲を開発することを目標にして、何年もかけて品種改良を進めました。
それは、多くの品種を掛けあわせ、様々な特徴を持つ稲を作り、それぞれの性質を調査して、優秀なものを選ぶという作業の繰り返しです。
こうしてできた「品種の候補」を、平成21年から、水田に建設した実験用ハウスで栽培し、本当に暑さに強いかどうか、試すことにしました。 私はこの時期から開発に参加。外よりも2度ほど気温が高くなるよう設定されているハウスでの調査や農作業は大変ですが、新しい米の品種作りのために頑張りました。
昨年、品種登録をし、今年から生産者の方々に作っていただくことになりました。
調査を繰り返して品質には自信はありました。例年よりもさらに暑くなり、心配しましたが、今のところ「みずかがみ」の米の品質は良好と聞いており、ほっとしています。
新ブランド作りのためにがんばります
高温登熟性検定ハウスを案内する森さん
滋賀県農業技術振興センターは明治28年から、滋賀県の風土に合ったお米を開発し、生産者と消費者のニーズに合わせた新ブランドを世の中に送りつづけてきました。数万もの候補の稲から選抜を繰り返し、いろいろな調査も行って新品種を開発。開発期間は優に10年を越します。
「ゆめおうみ」、「吟おうみ」、「秋の詩」、「レーク65」。
「みずかがみ」もこうした滋賀県の「お米の新品種開発」の伝統を受け継ぐブランドです。「みずかがみ」は収穫時期の早い早生(わせ)の品種ですが、今はさらに収穫時期が遅い中生(なかて)、晩生(おくて)で、高温にも強い品種の開発に取り組んでいます。盛夏だけでなく、残暑の時期も高温化が進んでいるだけに、こうした品種の必要性も高まっています。
今後も滋賀県はもちろん、全国の消費者、生産者の皆様に喜んでいただけるようなお米の品種開発を続けていきます。
「みずかがみ」が開発された滋賀県農業技術振興センター