産地レポート

トップページ産地レポート下田なす(しもだなす)

トップページ産地レポート下田なす(しもだなす)

下田なすを収穫中の、はり営農のお二人

産地レポート
下田なす(しもだなす)

下田なす(しもだなす)

~訪ねた人:はり営農組合長(代表理事)八太(はった)さん~

生でかじれば違いがわかる!
小ぶりでみずみずしい、湖南市の伝統のなす。

下田なすを収穫中の、はり営農のお二人

生でガブリ! 果実に似た風味

長さは6~10センチほど。普通のなすに比べて小ぶりで色も少し薄く、ヘタの下あたりに白っぽいワッカがある。それが滋賀県の湖南市下田地区で昔から栽培されてきた伝統野菜「下田なす」です。

「下田なすのいちばんの特徴は、水分たっぷりのやわらかな実とほのかに甘いその味です。リンゴのようだと言う人もいますよ。生でも食べられるので試してみてください」。
そう話すのは、はり営農の八太組合長。案内していただいた畑から手近な下田なすをもぎとり、差し出してくれました。そうは言っても...ちょっぴり半信半疑、おそるおそるかじれば、あれ...? ふんわり、果実のような少し甘い風味が口の中に広がり、なんともジューシー! 実だけでなく皮も、とても薄くてやわらかです。驚いていると「おいしいでしょう」と八太組合長も満足顔。

「アクが少ないので漬物や炒め物、揚げ物など何にでも向いています。でも、いちばんはやっぱり漬物かな。皮が薄くやわらかなので、ぬか漬けなどの漬物にすると特においしいんですよ。ちなみに私のいちばんのおすすめはからし漬です」

小ぶりな大きさの下田なす 手のひらにすっぽり収まる小ぶりな大きさの下田なす。
ヘタ下の果皮が白いのも特徴の一つ。

品質管理が難しい、お嬢様なす

実も皮もやわらかな下田なすは、話を聞くだけで料理にするとおいしそう。でも、水分豊富なやわらかさを保つため、栽培にはとても苦労する、デリケートな野菜なのだとか。
「たとえば、たっぷりの日光が必要なので、日光を当てるためのこまめな摘葉は欠かせませんし、かといって乾燥すると皮が固くなってしまうから、水分を十分補給する必要がある。夏の雨の少ない時には乾かないよう、畝の間に水をはる畝間冠水などで水分を補っています」

肥料切れにも弱いのでマメな追肥も必要だし(はり営農では肥料には有機質肥料を導入。味はもちろん、"安全で安心な野菜作り"にこだわっています)、皮が薄いので傷付きやすいから、台風の後などは傷ついて大変だといいます。

しかし、こんなに手間がかかるなんて、これではまるで深窓のお嬢様ではないですか!

そう言うと組合長は笑って
「本当にそうですね。事実、下田なすは田んぼの真ん中に専用の畑を作り、他のなすから隔離して育てているんですよ。これは他のなすの花粉が付かないようにするためです。伝統野菜ならではの苦労がありますね」

こまめな摘葉が欠かせない 下田なす栽培風景 (左)ハウスの中での作業風景。こまめな摘葉が欠かせない。
(右)下田なす栽培風景。写真のように畝の間に水を張る畝間冠水が特徴で、これにより水分豊かな実ができる。

直売所で販売、評判に

このように手がかかる下田なすだけに、味の良さはわかっていても出荷用に栽培する農家はなく、長らく自家消費が中心。まさに地元だけで楽しんでいた"幻の味"でした。でも、「下田なすを食べたい」という人の声が高まり、ならば、と八太組合長が農家をつのり、はり営農で下田なすの栽培を開始。今から6年前のことだといいます。

「栽培当初は素人同然でしたが、先輩達にいろいろ聞きながら試行錯誤を繰り返し、何とか出荷できる体制になりました。今では直売所も始めることができ、昨年は3,500人ほどの方々に買っていただくくまでになったんですよ。今後はもっと販路を広げ、多くの人に下田なすの魅力をに知ってもらいたいですね」

後日、家でさっそく八太組合長おすすめの下田なすのからし漬を作ってみました。食べ比べしたくてスーパーで売っている普通のなすも同じように漬けたのですが、確かに下田なすは味がみずみずしく、できあがりの旨さの差が歴然!みなさんも機会があれば下田なすを手に入れ、酢漬けなどでぜひ漬物を作ってみてください。もちろん炒め物や煮物もおいしいですよ!

八太組合長イチ押し!下田なすのからし漬

① 乱切りにしたなすを塩水の中に沈め、一晩寝かせる。

② 翌日搾ったなすに、醤油、砂糖、酢、練りからしを和えて漬け込む。

※冷蔵庫で1ヵ月は保存可能
※分量は八太組合長いわく「適当」だそうなので、味を見ながらお好みでアレンジしてください。

(取材日:2011年9月5日)

下田なすが買えるお店

JAグリーン花野果市のほか、甲賀地域の量販店、道の駅、直売所など

下田なすの新たな魅力に挑戦

下田なすを家庭で手軽においしく食べていただけるよう、生産者と「おいしがうれしが」キャンペーン推進店との協働の取り組みの中で新しいレシピが生まれています。ぜひ一度、お試しください。

これらのレシピは県産農水産物「魅力」向上事業で誕生しました。