産地レポート
いちじくは手間のかかる果物ですが、じっくりと栽培していきたいですね
汗が噴き出すビニールハウスで大きくなるいちじく
取材をしたのは、8月。曇り空ながらじわっと汗ばむ陽気。ビニールハウスの中は、サウナ風呂のよう。
「でも、あまりにも室温が高いと、葉や茎がしなびてきます。温度管理も大切なんです」
生産者の松村勉さんは話します。
「いちじくは環境変化に敏感です。病気にもかかりますし、ダニなどの虫害もあります。こまめな手入れが欠かせません」
丸々とした実は、生産者の丹精から
いちじくの樹は民家の庭などでも見かけますが、松村さんが栽培するいちじくの樹は、形がずいぶん違います。 まるで人が手をいっぱいに広げている様に、太い枝が左右に広がり、そこから細い枝が垂直に伸びています。その枝に葉が付き、葉の根元にいちじくの実が実っています。
「一文字整枝栽培と言います。この栽培法ができてから、いちじくの栽培、収穫が非常に楽になりました。
いちじくは1枚の葉に1つずつ実をつけ、下の方の実から熟してきます。下から上へ収穫していくんです。7月から10月にかけて、一つの枝を徐々に上がっていきます。」
いちじくは手間のかかる果物です。冬の間の剪定から始まって、2月には肥料を施します。4月に芽が吹くと、必要以上に出た芽をかきとります。5月に幼い果実ができて、7月からは収穫が始まります。
滋賀県が定めた「環境こだわり農産物」でもあるので、肥料や農薬は最低限にとどめます。病害虫対策もこまめにしなければなりません。
松村さんのいちじく園は、果樹の専門家が「こんなきれいないちじく園は見たことがない」というほど手入れが行き届いています。
おいしいいちじくは、ビワ型で100gくらい。ふっくらして形がきれいなものが良いそうです。
楽しみながら、おいしいいちじくを育てていく
「会社を退職してから栽培を初めて6年目、当初は2.5アールくらいでしたが、今は13アール。樹は2年目から実を付けるようになりましたが、4年目くらいからおいしい実が成るようになりました。
栗東いちじく生産組合でいちじく栽培が始まって22年目になります。生産者は17人。みんな品質にこだわって作っています。」
「今は市場のほか、生協、直売所にも出荷しています。お陰様で好評をいただき、リピーターになる方も出てきました。いちじくは手間のかかる果物ですが、楽しみながら、根気よく栽培していきたいと思います。」