産地レポート(前編)
採れたての小松菜のシャキっとした味わい、ぜひ食べてみてください。
年に8回、おいしい小松菜を出荷
「小松菜は平成2年からはじめました。その頃、大津に公設市場ができたのですが、地元で採れた野菜が少なかったのです。ぜひ、地元の人に採れたての野菜を味わってもらおうと思って作りはじめました」
今年82歳になるとは思えない、かくしゃくとした口調で、阪口七良兵衛さんは話します。大津市瀬田南大萱町は、大津市の南東部、滋賀県内に出荷するには便利な立地です。
「小松菜は、昔は関東で食べられていました。関西では、私が作りはじめた頃に食べるようになりました。この地域全体で1ヘクタールほど。ハウスで年中作って出荷しています。
雨除けをして温度管理をすることで、年に8回ほど出荷できます。ただ夏場は種を蒔いてから25日ほどで収穫できますが、冬場は80日かかります」
以前は季節に合わせて2品種の小松菜の種を蒔いていたそうですが、工夫を重ねて今は年間通じて1品種を栽培。安定的に収穫できるようになりました。
環境のことも考えて、手を抜かない
南大萱町は、琵琶湖や瀬田川からもほど近い地域です。
「何と言っても、琵琶湖が近いですから、水を汚さないことを第一に考えています。農薬や化学肥料も、通常の半分以下しか使っていません。農薬や化学肥料をたくさん使えば、見た目はきれいな小松菜ができます。それに虫害や雑草などの被害も簡単に防げます。でも、それでは環境が守られないし、消費者の皆さんに安心して食べていただくこともできません。手間はかかりますが、大事なことですから手は抜けません」
ハウス、周辺の除草は手作業でやっています。
「近所の農家の奥さんに、家事や農作業の合間に来ていただいています。ハウスの中は40度を越えます。腰をかがめて草を抜くのは大変な作業ですが、大事です」
阪口さんの小松菜は、収穫した日に出荷されます。
「スーパーには日本各地から野菜が出荷されていますが、地元のものは持ちがいいですし、味も違います。食べればすぐにわかりますね」
そんな阪口さんに「どんな食べ方がお好きですか?」と聞くと、表情が柔らかくなりました。
「古い人間ですから、やっぱり"ごま和え"か、"炒め物"ですね。シャキッとした歯ごたえがいいですな」
何とも言えない、笑顔を見せてくれました。