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2017年9月の特集 甲賀いちじく【産地レポート】甲賀いちじく

産地レポート ここでつくる!甲賀いちじく

現在、滋賀県では、いちじくを栽培する農家が増えています。大津市、守山市、栗東市、甲賀市、湖南市、高島市、東近江市、米原市など産地も増え、栽培面積も年々拡大しています。今回、JAこうか(甲賀市・湖南市)の「JAこうかいちじく生産部会」の皆さんが集まる、部会長の浅野正明さんの畑で、『甲賀いちじく』の美味しさについてお聞きしました。

ふっくらと大きく、柔らかな『甲賀いちじく』。地肌の青みが抜け全体が赤紫に変わると収穫です。
ふっくらと大きく、柔らかな『甲賀いちじく』。地肌の青みが抜け全体が赤紫に変わると収穫です。

上品な甘さと皮ごと食べられる柔らかさが自慢です。

浅野さんの畑へ到着すると、いちじくの甘い香りがあたり一面に漂います。背の高さほどのいちじくの木が等間隔でずらりと並び、太い幹から伸びる枝の節ごとに、大きな赤紫のいちじくの実がなっています。
いちじくは1つの葉に対して1つの実がなり、太陽の光をいっぱい浴びた葉が、栄養を実へ届けます。実に光があたることで赤紫に色づき、甘みが増して、美味しいいちじくに変化します。

『甲賀いちじく』は桝井ドーフィンという品種で、実が大きく、色つやも良く、糖度が11~12度と甘いのが特徴。食物繊維やビタミン類、カルシウムなどミネラルを多く含み、女性に人気の果物です。
「皮が薄いから皮ごと食べられるよ」と浅野さん。取材陣、もぎたてのいちじくをパクリ。「柔らかい!上品な甘さで食べやすい」と好評。「色が濃く、ふわっと柔らかく、甘い香りのものが美味しいよ」とのことでした。

いちじくは漢字で「無花果」。花が無い果実と書きますが、実際は中の粒々が花です。 
いちじくは漢字で「無花果」。花が無い果実と書きますが、実際は中の粒々が花です。 

お尻が割れ始め、中の花が見えるくらいが食べ頃。
お尻が割れ始め、中の花が見えるくらいが食べ頃。

部会長の浅野正明さん。品評会では7年連続受賞。
部会長の浅野正明さん。品評会では7年連続受賞。

収穫期間は8月上旬頃から11月上旬頃までの100日ほどで、毎朝5時(部会長は午前3時半)ぐらいからスタートし、一つ一つ手で摘んでいきます。色が濃くなり、実が柔らかくなってきたら摘み取るタイミング。「下の方から順番に色づき、お尻を持ち上げるだけでポロンと実がはずれます」と部会のメンバー。店頭で見るお尻が割れているいちじくは食べ頃ですが、割れてから収穫すると遅いので、その前の状態か、割れ始めの状態で収穫します。収穫後、きれいにパック詰めしてから、直売所や道の駅などへ出荷されます。

手で持ち上げるだけで枝から外れます。
手で持ち上げるだけで枝から外れます。

下の枝から実が色づき、上へ向かって11月まで収穫します。
下の枝から実が色づき、上へ向かって11月まで収穫します。

知と情報の結集で、美味しいいちじく作りを目指します。

「いちじく生産部会」は、『甲賀いちじく』を生産する地元農家が37軒集まり、2010年に発足。
もともとは2007年頃にJAこうかが、いちじく栽培を推奨しており、その時の原木を使って『甲賀いちじく』の栽培が始まりました。栽培開始当初は県の普及指導員やJAと二人三脚で栽培を進めてきましたが、1軒ずつ単独で活動するよりもグループの力でいちじく作りを研究する方が、より効率的で美味しいものが作れ、特産化を目指せるのではないかと、部会が結成され、いちじく栽培の情報交換や情報共有の場として活動が始まりました。

県の普及指導員やJAの職員を交えての研修会
県の普及指導員やJAの職員を交えての研修会

浅野さんのいちじくの畑には、一部、雨よけのビニール屋根が付いています。これも部会の取組のひとつ。「甲賀周辺は大半が露地栽培ですが、去年、県のアドバイスで簡易雨よけを設置しました。いちじくは皮が薄いので雨があたると傷む原因になるので、その防止に。また、霜がかかりにくいので早く収穫がすることができます。今年は、部会の中でも7戸が導入されていますよ」と浅野さん。

3ヵ月に1度、県から部会メンバーへの技術指導があり、そこで栽培技術を学んだり、意欲的に情報交換や情報共有にも取り組んでいます。また、年に1度、県外のいちじく栽培農家を研修で訪れたりすることもあるそう。

他にも、部会が中心となって可愛いいちじくのラベルを復活させました。今年から直売所で販売されるパッケージの中にこのラベルが挟まれます。裏には、生産者の名前やいちじくの効能や美味しい食べ方が記載されており、部会のみんなが自信を持っていちじくを作っていることを、お客さんに伝えたくて、以前使っていたこのラベルを復活させたそうです。

ビニール屋根が雨や霜からいちじくを守ります。
ビニール屋根が雨や霜からいちじくを守ります。

出荷前のいちじく。ピンクのラベルが「いちじく部会」の証。
出荷前のいちじく。ピンクのラベルが「いちじく部会」の証。

いちじくを長く味わっていただきたいから加工品も開発中!

現在、部会とJAこうかが共同で、いちじく酒、いちじくゼリーやプリンなど加工品の開発に取り組み、商品化を目指しています。いちじくは少しでも皮に傷がつくと味に影響がなくても売り物になりません。また、保存もできないので少しでも長く『甲賀いちじく』を食べてもらうために加工品を作って提供していきたいそうです。

部会メンバーの平均年齢は70歳。まだまだ「いちじくの美味しさを追求する」元気いっぱいのメンバーのみなさんが作る、これからの『甲賀いちじく』がとても楽しみです。