環境こだわり農業と琵琶湖
滋賀に降り注ぐ雨は、山々や田畑にしみ入り、400を超える川となって1つの湖にたどり着きます。びわ湖の水は、京都、大阪をはじめとする京阪神地域、約1,450万人もの人々の暮らしや産業を支えるとともに、びわ湖とその周りに息づく生き物たちの「命の水」となっています。「環境こだわり農業」とは、農薬や化学肥料を通常の50%以下に減らすことはもちろん、環境保全のためにさまざまな工夫を重ね、特別な栽培を行うこと。生産者は、通常より手間ひまをかけて、びわ湖にもひとにもやさしい農業に取り組んでいます。
約400万年の歴史をもつ世界有数の「古代湖」でもあるびわ湖。約600種の動物、約500種の植物など多彩な生物の住みかでもある。写真:(社)びわこビジターズビューローびわ湖のことをもっと知りたい方はこちら(琵琶湖ハンドブック)から。
棚田の写真:(社)びわこビジターズビューロー
環境こだわり農産物
~「食べることで、びわ湖を守る。」~
「環境こだわり農業」とは
「環境こだわり農産物」4つの栽培基準
- ★化学合成農薬の使用量を通常使用量の半分以下
- ★化学肥料(窒素成分)を通常使用量の半分以下
- ★泥水を流さないなどびわ湖をはじめ環境にやさしい技術で栽培する
- ★どのように栽培したかを記録する
この基準をクリアして栽培された農作物を、「環境こだわり農産物」として滋賀県が認証。より安全・安心な農産物として販売されています。
"環境にやさしい"って?(生産者の取り組み事例)
農薬はできるだけ使わない!
- 種もみの温湯消毒 水稲の種もみを病気から守るために、農薬を使わず、お湯で消毒しています。
- 粘着板の設置 粘着板で害虫を捕殺し、野菜を守っています。吊ってある黄色い板が粘着板です。
- 防蛾灯の利用 夜半、虫が嫌う防蛾灯を設置しています。この黄色の光が夜行性の害虫をよせつけません。
- 草刈機による管理 草刈機による管理等でけい畔、ほ場に隣接する農道・排水溝の法面、およびハウス周辺に除草剤を使用しません。
びわ湖を汚さない!
- 浅水代かき 田植えの前の代かき作業中に田んぼから水が出ていかないようにしています。
- 土中施肥 田植えのときに肥料を土の中に埋め込み、肥料が流れにくいようにしています。
- パトロール 農家のみなさんが自主的に見回りをし、田んぼから水がもれ出ていないかチェックしています。
- 止水板 代かき期を中心に、田んぼから水が流れ出ないよう、排水口に板を設置しています。
合言葉は「食べることで、びわ湖を守る。」!!
こうして作られたお米や野菜が選ばれてこそ、初めて環境こだわり農業の取り組みが意味のあるものとなります。
環境こだわり農産物を"選び"、"食べる"ことで、環境こだわり農業に取り組む生産者を応援することになります。
そうすると環境こだわり農産物の栽培面積が増え、美しいびわ湖を守ることにつながります。
みんなで美しいびわ湖を守っていきましょう!
滋賀の「環境こだわり米」は日本一!
近江米の44%が「環境こだわり米」で、環境こだわり農業の取組は日本一です。環境こだわり米の化学合成農薬の使用は7成分以下で、この基準は全国中でも厳しい基準となっています。
環境保全型農業の取組面積が耕地面積に占める割合
平成30年度環境保全型農業直接支払交付金の実施状況(農林水産省)より県が作成
通常栽培の5割減の化学合成農薬成分数(水稲)※
※特別栽培農産物表示ガイドラインの慣行基準による
2016年度水稲収穫量 上位20位までの都道府県のHPを参考に滋賀県が作成