産地レポート

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2016年5月の特集近江米【産地レポート】近江米「みずかがみ」「秋の詩」

「みずかがみ」「秋の詩」

現在、関西で唯一、主食用の水稲育種施設(稲の品種改良をするところ)がある
「滋賀農業技術振興センター」。
ここで開発された近江米の新品種「みずかがみ」と「秋の詩」が
2016年2月、「特A」にダブルで評価されました!(※)
約30万個体の中から、数々の試験を勝ち抜き世に出た、奇跡のお米。
どんなところにこだわって作られたのか、なぜ「特A」評価につながったのか?
農技センターのみなさんにお話を伺いました。

※日本穀物検定協会が実施する食味ランキングにおいて、2015年産「みずかがみ」と「秋の詩」が最高の特Aランク評価

なんと甲子園球場4個分!広大な面積を誇る農業技術振興センター

なんと甲子園球場4個分!広大な面積を誇る農業技術振興センター
滋賀の農作物の研究開発を行う「農業技術振興センター」

近江八幡市安土町大中にある、「滋賀県農業技術振興センター」は農作物の新品種開発や栽培管理方法の研究を行う施設です。イネの品種改良を行う主食用の「育種施設」としては関西唯一で、「みずかがみ」や「秋の詩」などの品種がここから生まれました。

農技センターの屋上からの風景。大中干拓地を一望できます
農技センターの屋上からの風景。大中干拓地を一望できます

200種以上のイネを研究するため、センターの敷地内には見渡す限りの田んぼが広がります。その広さはなんと甲子園球場4個分!広大な面積を誇るこの場所で、イネの品種改良や、品種に応じた最適な育て方などが、日々研究されています。

おいしさを支える丁寧な努力、手作業で繰り返される品種改良

研究のため手植えされている「みずかがみ」
研究のため手植えされている「みずかがみ」

広大なセンター内の田んぼでは、なんと手作業で田植えが行われています。その理由は、イネが育つ条件を統一し研究や調査に活かすため。植える本数を正確にしたり、多くの品種を植え分けたりするなど、様々な工夫がされています。

田植え定規と呼ばれる専用の道具。線を引きその上に手作業で正確に植えていきます
田植え定規と呼ばれる専用の道具。線を引きその上に手作業で正確に植えていきます

多くの品種ごとに名札が掲げられ、同じ条件のもとで植え分けられています
多くの品種ごとに名札が掲げられ、同じ条件のもとで植え分けられています

1枚の田んぼに「系統」と呼ばれる正式な品種になる前の候補のイネが何種類も植えられ、同じ条件のもと生育が比較されています。品種が誕生するのに、候補となる系統の数は、1品種あたり延べ30万種以上。おいしい品種を生むために、分母を増やし多くの候補から選ぶ、気の遠くなるような作業が繰り返されています。

さらに、田んぼでの栽培試験や、"ご飯のおいしさ"を検定する食味試験なども実施。約10年かけて何度も研究開発が繰り返され、品種になるイネが絞りこまれていきます。「みずかがみ」は、数々の試験を勝ち抜いた末に世に出た、奇跡の1株なのです。

おいしい品種を生むために。考えぬかれた技術と工夫

おいしい品種を生むために。考えぬかれた技術と工夫

「みずかがみ」の開発が始まったころ、滋賀県産のお米は大きな問題を抱えていました。近年の温暖化にともなう猛暑で米が白く濁ってしまう高温障害に苦しめられていたのです。米が濁ると品質も低下するため、できるだけ早く対策する必要がありました。そこで整備されたのが、田んぼの中のビニールハウス。「みずかがみ」はこのハウスで高い温度での栽培試験を実施し、猛暑でも質のよいお米が取れる品種として開発されました。

また、イネの育種を助ける技術として代表的なものが「水稲世代促進温室」というガラス温室です。温度と日長を調節することで1年間に3回収穫することができ、通常3年かかる作業を1年間に短縮しています。

「水稲世代促進温室」について説明する、栽培研究部 水稲育種係の日野耕作さん
「水稲世代促進温室」について説明する、栽培研究部 水稲育種係の日野耕作さん

取材時は5月にもかかわらず温室内ではイネが実っていました
取材時は5月にもかかわらず温室内ではイネが実っていました

おいしいお米を作ることで、びわ湖も守る

センター内で植えられる「みずかがみ」
センター内で植えられる「みずかがみ」

全国2位の水田率(耕地に水田が占める割合、※2)を誇る滋賀県では、農薬や化学肥料を削減するなど、びわ湖の環境にも配慮した米作りが行われています。そのため農薬や化学肥料を減らしびわ湖にもやさしい「減農薬・減化学肥料栽培」の栽培面積割合は、なんと全国1位(※3)。滋賀県は、環境に優しい農業の取組が全国トップクラスの県なのです。

また、田んぼは雨水の調整機能があり、豪雨が起きた時に洪水の危険性を下げる効果も。つまり、田んぼを守り育てることが防災や環境保全にも役立ち、おいしいお米を作ることでびわ湖や環境を守ることができます。

※2 平成26年度、農林水産省しらべ
※3 平成27年度、環境保全型農業直接支払交付金の対象面積

チームワークが産んだ「特A」評価、継続のための努力も!

研究開発に欠かせないチームワーク。
研究開発に欠かせないチームワーク。

農業技術振興センターの仕事は良いイネの品種を開発して世に送り出したら終わりではありません。県内の田んぼで本格的に生産されるようになってからも、生産者が作りやすいように作り方の工夫を日々研究する役目も担っています。

こうした取り組みの結果として生まれた、「特A」評価。生産者には作りやすい、消費者にはおいしい、そんなお米として親しまれるために、これからも絶え間ない努力が続けられていきます。

「めちゃくちゃ嬉しいです!」とセンターの誰もが満面の笑みで喜んだ「特A評価」。滋賀県自慢のお米を、ぜひご賞味あれ!

西大津イオンでみずかがみイベントが開催されました!

2016年5月21日(土)22日(日)の2日間、イオン西大津店(大津市)にて、近江米「みずかがみ」のイベントが開催されました!会場にて、近江米を食べて応援する«「近江米」もっと食べます宣言»をしていただくと、抽選でプレゼントが当たるキャンペーンや、近江米「みずかがみ」がモチーフのキャラクター『みずかがみん』も登場するなど、イベント当日は参加者の熱気に包まれていました。また会場では、湖魚が産卵生育できる水田環境を取り戻す「魚のゆりかご水田プロジェクト」を紹介するジオラマの展示も。近江米「みずかがみ」のおいしさに触れられるだけでなく、環境に優しい農業の取り組みを身近に体感できる2日間となりました。

西大津イオンでみずかがみイベントが開催されました!

近江米「みずかがみ」がモチーフのキャラクター『みずかがみん』