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タマネギ~訪ねた人 長浜市「株式会社TPF」田中康仁さん~

湖北をタマネギづくりの一大産地に

「株式会社TPF」田中康仁さん

タマネギをやるからには、滋賀で一番になりたい

長浜市常喜町、遠くに伊吹山が望めるこの地で大規模農業法人を経営している「株式会社TPF」代表の田中康仁さん。父の代から米や麦を中心に作っていましたが、3年前に懇意にしているJA職員の勧めでタマネギづくりを始めたところ、収量が良かったため規模を拡大。4ヘクタールで200トンを生産するようになりました。「もっとできないか」と昨年はタマネギ生産量日本一を誇る北海道で修行。そこで学んだのは排水の大切さ。県内では雪の多い地域、さらに元々水田だった圃場でタマネギをつくるには排水性を高めなくてはなりません。田中さんは思い立ったら即実行する行動派。地面から20~30cmほど土を盛り上げた高畝にし、自ら暗渠排水(※)のパイプ20本を1週間で設置しました。今でも、さらに排水性の高いパイプを求めるなど、より良い圃場整備に余念がありません。「今後、タマネギは10ヘクタールまで広げていけると思っています。農業は“早くやったもの勝ち„なところがあるので、湖北で規模を広げられる可能性があるのはいいですね。タマネギづくりはまだまだ始めて日が浅いですが、やるからには滋賀県で一番になりたいと思っています———」

※水田を乾田化させるために行う。地中に穴の開いたパイプを通して地下水を排水路へと送る

タマネギの収穫6月初旬。次々と収穫されるタマネギ。田中さんのタマネギ畑は湖北では屈指の規模を誇る。

特注のタマネギ収穫機で効率アップ

生産効率向上を目指す田中さんは、北海道のメーカーに葉切り機のついたオリジナルのタマネギ収穫機を特注しました。「北海道では上に伸びた葉を切らずにそのまま収穫するのですが、その後の作業が楽になることを考え、葉切り機を付けたものをつくってもらうことにしました」。地面からタマネギをすくい上げると同時に青く伸びた葉を切り落としてカゴに集めます。収穫後にもう一度タマネギを取り出して行う葉切り作業を省けるため、効率が上がったと言います。

タマネギ畑普段私たちが食べている「タマネギ」は、根ではなく、葉の付け根が変形したもの。次の年に芽を出すために栄養分を葉の下に貯めようとして、付け根部分を太らせていくそう。

オリジナルのタマネギ収穫機北海道のメーカーに特注した葉切り機のついたオリジナルのタマネギ収穫機

こうして収穫された田中さんのタマネギの多くは、JAに出荷されたり、学校給食に使われていたりします。JA出荷分は加工用になることから、玉が小さいと調理機具の性能に合わないこともあり、歩留まりが悪くなるため、「大きければ大きいほどいい」とされます。十分な大きさにするために施肥体系を試行錯誤しつつ、次年度は堆肥の使用も視野に入れているそうです。堆肥散布方法を工夫して負担が増えないように、経営者視点で効率的な営農を目指しています。

品種「ターザン」田中さんがつくっている品種は「ターザン」「もみじ3号」の2種(写真はターザン)

玉ねぎソース米原市の「うちCafe」、東京日本橋のアンテナショップ「ここ滋賀」で販売されている「玉ねぎソース」。「うちCafe」限定10食の人気メニュー、手作りハンバーグに使用されているソースもこれ。

経営者として、農家として、目指す未来

田中さんは、長く農業をしていた父から経営を引き継ぎ3年前に法人化。そのときに現在の名前へと改称しました。「“Tanaka Pilot Farm„という、父が付けた屋号を略してTPFなんです」"パイロットファーム"の元々の意味は、1950年代に北海道根釧台地で始まった大規模酪農経営のこと。まさにその名のとおり、田中さんは機械を積極的に導入して近代的な大規模農業に取り組んでいます。現在の農地はタマネギ、麦、米を合わせて70ヘクタール。従業員の雇用もしています。「私としては、全ての栽培品目合わせて100ヘクタールの圃場で年間5億円くらいの売り上げが理想です。みんなが楽しく農業するのにちょうどいい数字だと思っています」

また、新たな品目の栽培も始めました。「妻がイチゴづくりをしているのですが、いちごと別の時期に何かできたらと思いましてブルーベリーを植えました。山の方で農地を得られたら、果樹園にしてお客さんに来てもらうようにしたいです」。確かな目標を持って一歩ずつ進む田中さん。経営者として、農家として、見据える先は、楽しい農業ができる新しい“Tanaka Pilot Farm„です。

田中さんとイチゴづくりをする妻の祥子(さちこ)さんイチゴづくりをする妻の祥子(さちこ)さんとともに楽しく営農しています

(取材日:2020年6月10日)

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