産地レポート

梨畑を経営する吉瀬さん

産地レポート
梨(なし)

梨(なし)

~訪ねた人:「愛東梨生産出荷組合」吉瀬(きちせ)さん~

鈴鹿山系の風土が育んだ
甘くジューシーな愛東梨を召し上がれ!

8反の梨畑を経営する吉瀬さん。

鈴鹿山系の風土が育む甘~い果実

滋賀県で梨、というと「ほんとに?」という人もいるかもしれません。でも、滋賀県でも昭和初期から栽培されており、特に県の東に位置する東近江市の、なかでも旧愛東町に該当する地域は昔から果樹栽培が盛んなことで有名でした。そこで梨栽培にいそしむのが、10年前に横浜から移住された吉瀬さんです。

「このあたりの畑は鈴鹿山系の麓に位置するため気温の差が大きく、土も肥えているので甘い梨が作れるんですよ」と、広々とした果樹園で丸々と実った梨に愛しそうにふれながら話す吉瀬さん。事実、このあたりで収穫される梨は「愛東梨」と呼ばれ、甘く豊潤な味で滋賀県では、ちょっとした"ブランド梨"扱いなのだとか。

新しい品種の秋月 試験的に栽培しているという新しい品種の「秋月」。

農薬を控え、無袋栽培で糖度をアップ

愛東の梨は、一つひとつの果実に袋を被せない無袋栽培が特徴です。袋をかぶせないことで太陽の光を直接浴び、甘味が増しますが、しかしその反面、病気や害虫被害にあいやすいといったデメリットもあります。それを補うためにこまめな手間は欠かせず、また実り具合は天候にも左右されやすいので、梨は本当に手のかかる果樹だといわれているのだとか。

「梨の収穫期間はおよそ50日。残りの10ヵ月間は、シンクイムシやヤガ、カメムシなどの害虫予防をはじめ、ひたすら樹木の管理や土づくりを行っています」

食べる人への安心も考えて、農薬の使用も極力控えており、そのために、あえて下草を刈らない、という工夫も。

「これは、梨の葉の下につく"葉ダニ"が下草のほうが好きなためで、下草を刈らずにおくとダニが下の方へ行き、梨の葉に付かずにすむんです。これで農薬の使用を随分と減らせることもできました」。

手がかかるけれど、そのぶんいい梨が育つ 無袋栽培で丁寧に育てられる梨 (左)手がかかるけれど、そのぶんいい梨が育ってくれる。
(右)無袋栽培で丁寧に育てられる梨。

糖度選別で品質管理を徹底

吉瀬さんが所属する愛東梨生産出荷組合では、光センサーによる糖度選別を導入。11.5度以上の甘い梨のみを出荷しています。ちなみに梨は、糖度が高ければいい、というものではなく、食感と甘みのバランスが大切なんだそう。その点も組合では厳しくチェックしているのでご安心を。

ただし、愛東梨は出荷量が少なく、確実に手に入れたかったら、やはりシーズンに直売所か近隣の道の駅で探すのがいちばん。食べ頃は、お尻まで色が回ったツルツルした皮のものが良いそうです。県外にも出荷されているので、見かけた際はその甘さを堪能ください。また組合では、梨ワインも製造。こちらも、ぜひご賞味ください。

梨の購入場所

道の駅「東近江市あいとうマーガレットステーション」など

(取材日:2011年9月27日)