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トップページ産地レポート2月の特集 セタシジミ体験レポート

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セタシジミ体験レポート

貴重なセタシジミを求めて

2人

ざるにあけたしじみ

迎えてくれたのは、彦根市松原漁業協同組合(以下、松原漁協)の組合長である中山さん。なんと85歳というその年齢で現役漁師ということに2人はまずびっくり。さっそく今日獲れたばかりのセタシジミを見せてもらうことにしました。
「ほら、これがセタシジミや」
中山さんが差し出してくれたバケツの中いっぱいのセタシジミを見て、思わず歓声が。
「うわ、きれい!」

しじみを持つ2人
「ほら、これがセタシジミ!」「かわいい!」

「このシジミで5、6歳くらいかなあ」
そう中山さんが手にとってくれたのは幅約2cmくらいのもの。
「こんなに小さいけど、大きくなるのに時間がかかってんねんなあ」と、2人はセタシジミを見てしみじみ。

  • 3人
    中山さんからセタシジミの説明を受ける2人。
  • しじみ
    冬場から春にかけて、特に産卵期前の4月頃のセタシジミがうまい。
  • しじみ
    殻に厚みがあり、ぷくっとふくれているのがセタシジミの特徴。

貝曳き網漁法を体験

セタシジミ漁には、「貝曳き網」という漁法が用いられます。実際に船の上で、中山さんに教えてもらうことにしました。漁に使うのは中山さんがタモと呼ぶステンレスでできた櫛の歯のようなものに網をくっつけた「マングワ」という漁具。

「沖に出て、これを船の両脇にから湖に沈め、10分から15分ほど船を走らせるんや。そうすると、タモが湖の底を掻き取り、シジミをすくいよる。それを引き揚げるだけや」
そういって中山さんは、タモを、ひょいと湖の底へ沈めます。2人も体験させてもらいましたが、これが重い!約30kgはあるとかで、力はもちろんコツがいりそう。

船上
慣れた手つきでタモを湖の中へ沈める中山さん。

また、セタシジミの大きさを選別し、小石などもより分けます。

「おだやかに見える琵琶湖やけどな、急に波が高くなって船が沈みそうになり、死ぬかと思ったこともあるんやで」との中山さんの言葉に、漁の厳しさも少しわかったような。

船上

念願のセタシジミをおいしい味噌汁に

シジミはこの時期に琵琶湖で獲れたものが一番おいしいと松原漁協の漁師さんたちも胸をはります。

では、さっそく実食を。持参した鍋と卓上コンロをセット。

ところが、いざ味噌汁を作る段階になり、作り方をめぐってそばで見ていた漁師さんたちが喧々諤々。
「水からシジミを入れる」
「沸騰してからシジミを入れる」
「シジミを鍋で乾煎りし、殻が開いてから水を入れる」
とさまざま。小さく「おかあちゃんが作ってくれとるから、知らん」とつぶやく人もいましたが。

結局、今回は冷凍のセタシジミを使ったので沸騰してから入れるのがいい、と落ち着きました。ちなみに味噌は、赤味噌以外ならいい何でもいいそう。赤味噌は味が強く、シジミの味を消してしまうので中山さんはおすすめではないそうです。

沸騰したお湯にシジミを入れると、カチ、カチ、というシジミがフタを開ける音がして、貝のいいにおいが漂います。そこに味噌を入れて、完成。簡単!

  • 試食
    「ダシも入れてないのにおいしい!」
  • 試食
    「シジミのコクがよく出てる~!」
  • 試食

念願のセタシジミの味噌汁を食べた2人は、その味の濃さにびっくり!
「普通のシジミだったらこんなにコクは出ないのに...。すごい!」
「そりゃ、あんた、琵琶湖のセタシジミやさけやで」漁師さんたちのシジミ自慢にも熱が入ります。

ちなみにシジミの味噌汁は二日酔いにピッタリ、ともいわれていますので、飲み過ぎた人にはぜひおすすめです。

セタシジミは、味噌汁の他にも、シジミ飯、しぐれ煮などさまざまな郷土食として親しまれています。また、県内の道の駅や高速道路SAなどでは琵琶湖産シジミを使ったお土産品も販売されています。滋賀県はいま、北部や山間部を中心に雪化粧され、湖をとりまく景色は絵画のよう。滋賀を訪れたら、いまが旬の冬の味覚、セタシジミをお楽しみください。

船上
「しぐれ煮」(左)や「殻付き真空パック」(右)など。

船上
彦根港から見た北湖の風景。手前一帯がシジミの漁場。奥には多景島が見える。

(取材日2012年1月18日)