甲賀市 忍葱 福永 啄也さん
甲賀のブランド野菜「忍葱(しのぶねぎ)」
昼夜の寒暖差がいい栄養に
下仁田ねぎ・九条ねぎ・岩津ねぎなど、身近な存在になりつつある"ブランドねぎ"。甲賀市で育つ白ねぎにも、忍葱という甲賀らしいブランド名が付いています。忍葱の栽培が始まったのは10年ほど前。「甲賀市は盆地なので、昼夜の寒暖差が激しいんです。夜の冷え込みのおかげで、ねぎの甘みは増します」と話してくださったのは有限会社るシオールファームで忍葱生産を行う、福永啄也さん。祖父である初代会長の徳地好雄さんは生前、忍葱の生産拡大に尽力した一人です。祖父の意思を受け継ぎ、1haの圃場で生産を続けています。
福永さんの圃場で収穫された忍葱は、作業場で梱包まで行います。忍葱は、白い部分が25cm以上のものを出荷するという規定があります。
忍葱をきっかけに甲賀市を知ってほしい
忍葱の栽培が始まるのは、3月ごろ。種まきをしてから、5月に定植、11月から3月にかけて収穫を行います。栽培の中でのこだわりを伺うと、「土寄せを十分に行うこと」と即答。土に埋まっている部分が白く育つ白ねぎだからこそ、土寄せには慎重です。機械で土を掘って寄せていくのですが、福永さんの圃場ではその回数を多くしています。掘れば掘るほど土が硬くなるので、最終的には人力で。「どこに出しても恥ずかしくない、太くて長いねぎを目指しています」と力を込めます。他県のねぎにはもちろん、県内で栽培される白ねぎにも刺激を受けているという福永さん。「県内の方に、滋賀といえば忍葱と認知してもらえるようになるのが、今の目標ですね」。お互いに意識し合い、切磋琢磨することで品質の向上につなげます。
植え付けの間隔を広くし、長期間にわたる栽培をすることで、重量感のある忍葱に育ちます。
栽培の中で最も大変なのは、夏に行う圃場の管理。炎天下、手作業で行う除草は体力的にしんどいことも。それでもへこたれないのは、「いいものを作るのは大前提として、いかにお客様のことを考えて生産するか」という祖父の教えがあるから。「しんどいことや辛い経験も、お客様に届いたときのことを考えると乗り越えられますね」と話します。 福永さんのこれからの目標は、忍葱をきっかけに甲賀市を知ってもらうこと。祖父からの受け売りですがと前置きして、「農業は、地域の方の理解と協力のおかげで成り立っているので、そのことを忘れないようにしたいです」と感謝の気持ちを滲ませます。忍葱を広めて甲賀市を知ってもらうことで、地域をもっと盛り上げたい。そんな思いで、県内外へアプローチを続けていきます。
焼くだけでとろっと、上品な甘み
鍋料理や炒め物といったイメージが強い白ねぎですが、忍葱は「シンプルに焼くのが一番」と福永さん。「焦げがつくまで焼くと、ねぎが持つとろみが出てくるんです。箸で持ち上げると一番上の皮がつるんと取れます。それを塩をかけてそのままいただくのもいいですが、生姜醤油で食べるのもおすすめですね」。じゅわっと染み出す、上品な甘さをぜひお楽しみください。
忍葱は県内の量販店・生協・JAこうかの直売所などでお買い求めいただけるほか、るシオールファームでも販売しています。甲賀市自慢のブランド野菜をご賞味ください!
「この前、東京で忍葱を販売した際『すごい太いね!』って褒めていただきました」と、福永さん。
るシオールファームでは、1kg分のねぎを新聞に包んだ、お得な「新聞巻き」も販売しています。
有限会社るシオールファーム
(取材日:2025年1月23日)