産地レポート

トップページ産地レポート甲賀市 酪農家 有限会社成田牧場 成田 牧彦さん 奈穂美さん

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甲賀市 酪農家 有限会社成田牧場 成田 牧彦さん 奈穂美さん

地域とつながり、未来につなげる 成田の酪農

甲賀市「有限会社成田牧場」成田 牧彦さん 奈穂美さん

創業から変わらない、親しみやすい牧場

新名神高速道路の甲南ICを降りると「成田牧場」の看板が見えてきます。案内に従って、新治口交差点を右に進むと、青いサイロに目を奪われます。そこが成田ふれあい牧場の入り口です。

出迎えてくれたのは、2代目代表取締役の成田牧彦さんと妻の奈穂美さんです。

昭和34年から続くこの牧場は創業以来、入場無料を続けています。成田さんは「これは父からの受け売りですけど」と前置きして、「『酪農のことをもっと知ってもらいたい』という思いで牧場を始めました。多くの人に来てもらい、知ってもらうにはまず、地域の方々に愛される牧場になること。そして、地域に根ざした牧場でいたいという思いが強いんです」と話します。

「フリーストール牛舎」を採用している当牧場の様子 当牧場では「フリーストール牛舎」を採用。日本の半数以上が、それぞれの場所に牛がつながれている「つなぎ牛舎」ですが、フリーストール牛舎はパイプなどで寝床だけが仕切られており、牛が自由に動き回ることができる放牧に近いスタイルです。

およそ300頭の牛たちを飼育 乳牛と肉牛合わせておよそ300頭もの牛たちを飼育し、生まれてから売るまでを全て一貫して行う当牧場では、生粋の滋賀県生まれ、滋賀県育ちの牛たちが暮らしています。ここで育てられた肉牛はその大半が「近江牛」として市場に出回ります。

試行錯誤を重ね、地域とともに成長したい

"地産地消"にこだわり、地元のレストランやお菓子屋さんにのみ、肉や牛乳などを卸しているのも、"牧場産"というブランド力が町のためになるなら、という思いから。さらに、この町で未来の酪農家を育てたいとの思いで、地元の甲南高校の生徒たちと交流を深め、連携した取り組みなども行っています。

そんな牧場には、県外からも多くのお客さんが訪れます。その大きな理由の一つが、ソフトクリーム。奈穂美さんが中心となって製造・販売を担当する牧場内に併設された「ジェラート工房うらら」では、当牧場の名物でもあるソフトクリームの他、10種類ほどのジェラートが楽しめます。ソフトクリームの絞りたてのなめらかな口当たりと牛乳の深いコクは絶品で、あっという間に完食してしまいます。そのおいしさが口コミで広まり、ソフトクリームが食べたいと県内外から多くの人がやってくるようになりました。

牛乳で作ったソフトクリームとジェラート (右)絞りたての牛乳で作ったソフトクリームは、甲南PAの上下線でも販売中です。
(左)新鮮な牛乳を使った牧場ミルク味と、地元産を使った夏季限定のブルーベリー味のジェラート。甘酸っぱさと牛乳本来の濃厚な甘さが相性抜群です。季節ごとに変わるフレーバーが楽しめます。

また、6次産業化の流れを汲んで観光牧場化を図ろうと、ヤギや羊と触れ合える「ふれあい広場」では若手従業員の提案のもと、ヤギにエサやりができるようにするなど試行錯誤を重ねています。これからの取り組みとしては、高速道路から見えるところでの放牧や、搾乳ロボットを導入して見学ルームを作るといった計画も立てるなど、多くの人に注目してもらえる牧場づくりを目指しています。

「高速道路を降りてすぐにあるこの牧場は、甲賀市甲南町に来て最初に通るところです。うちの牧場からこの町の魅力を発信して、町全体を盛り上げていくのが理想ですね」と成田さん。地域への思いを胸に、これからも成長は止まりません。

動物たちが暮らすふれあい広場 ヤギ、羊、ポニーなどさまざまな動物たちが年齢問わず、悠々自適に暮らす「ふれあい広場」。直接触れ合って、そのかわいさに癒されてみては。

これからの酪農と、甲南町のために

展望を聞くと「高速道路の降り場近くへのジェラート屋の移転やチーズの製造など、若者と一緒になっていろいろ考えを練っています」と尽きない構想を教えてくれました。

時代の流れとともに、牧場を取り巻く環境は変化していきますが、本質的なところは変わらないのが成田牧場。これからも一番大切にしたいのは"地域とのつながり"だと成田さんは言います。

「お客さんから『子供が小さい頃よく来ていました。今度は孫を連れてきますね』と言われた時は、とても嬉しかったです」。

こうして地元で愛され、今もなおファンを増やしながら、「酪農」を身近に、そして未来へつないでいく。地元甲南町の魅力の発信地として、これからも取り組みは続いていきます。

土日限定の牛乳ボトル 土日限定で200mlの牛乳ボトルを販売中。低温殺菌でより搾りたてに近い牛乳になるように仕上げています。牛乳本来の濃い味わいと、すっきりした後味が楽しめます。

(取材日:2024年7月31日)