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トップページ産地レポート彦根梨 訪ねた人 彦根市 奥田弘隆さん

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彦根梨 ~訪ねた人 彦根市 奥田弘隆さん~

滋賀県の"まぼろしの梨"を知っていますか?

彦根梨 奥田弘隆さん

地域の特産「彦根梨」

滋賀県での梨栽培の歴史は、昭和初期にまでさかのぼります。今回紹介する彦根梨の始まりは1981年。国の減反政策で米の生産が制限され、大豆や麦への転作が進められる中、石寺地区のある農家がそれらの代わりに栽培し始めたそうです。4.5haの圃場から始まり、1997年からの圃場整備事業などを経て、少しずつ面積を拡大してきました。現在は18戸の農家で10.2haの栽培に取り組んでいます。

「県内外から毎年たくさんの人が買い求めてくださいます。直売所に並んでも、すぐに売り切れてしまうほど人気なんですよ。」と話すのは、1997年に設立した「彦根梨生産組合」の現・組合長である奥田弘隆さん。30年以上、彦根梨の栽培を続けるベテランです。

完熟だから、甘くてジューシー!

梨は、リンゴやバナナなどと違って追熟(収穫後に熟度が増すこと)しないため、樹の上でどこまで熟させるかが重要です。

「完熟前に収穫すると、日持ちする代わりに、えぐみ・青臭さが出てしまいます。『樹上完熟』といって、食べ頃になったところを収穫するからこそ、果汁たっぷりで甘みが強く、ほどよいシャリシャリ感になるんです。」と奥田さん。一方で、完熟させてから収穫・出荷する分、賞味期限は約3日と、非常に短くなってしまいます。「樹上完熟」にこだわる生産者さんは多いものの、彦根梨ほど日持ちを度外視して品質を追求する所は珍しいのではないかと、奥田さんは言います。ほとんどはJAの直売所で販売され市場に出回らないことから、いつからか"まぼろしの梨"とも呼ばれるようになりました。

彦根梨の収穫作業収穫作業は全て手作業。繊細で傷みやすいため、一つずつ丁寧に切っていきます。

彦根梨の圃場がある石寺町は、荒神山と琵琶湖に挟まれ、夏は涼しく冬は暖かい気候です。一方で、夏から秋にかけては昼夜の寒暖差が大きいため、甘みが強くなるのだと奥田さんは話します。

「地下水が豊富にあることも、糖度の高いみずみずしい梨を栽培する重要な要素の一つです。収穫時期になると朝靄が発生する頻度も高く、果実や葉を乾燥から守ってくれます。こうした自然の恵みが、彦根梨をよりおいしくしてくれているのだと私は思っています。」収穫された梨は、農家の方が入念にチェックし、JA東びわこの選果施設である「果樹工房」に運ばれます。そこで改めて確認した後、さらに光センサー方式の選果機によって選別されます。これは2007年に県内で初めて導入されたもので、糖度や熟度、果実内部の品質なども測定することが可能です。こうした厳しい検査をクリアしているため、彦根梨にはいわゆる"ハズレ"がなく、地域のブランド梨として広く認知されるようになりました。

農家の方が収穫した梨を入念にチェック

糖度や熟度などを選果機で確認色合いや形、傷がないかなどを人の目で厳しくチェックした後、糖度や熟度などを選果機で確認しています。

生食だけじゃない。彦根梨の楽しみ方

生食するイメージが強い梨ですが、リンゴの代わりにカレーに入れた「ひこね梨カレー」や、爽やかな甘みを生かした「彦根梨のサイダー」、パインアメでおなじみのパイン株式会社と共同開発した「彦根梨アメ」など、そのバリエーションは広がりを見せています。また、若手の生産者も増えてきたそうで、今後の展開にも期待が高まります。

「県下ナンバーワン品質の梨を生産しているというプライドと、安心・安全・おいしいは当たり前というポリシーを持って栽培に取り組んでいます。直売所などにお越しの際は、ぜひ一度、手に取ってみてください」。

濃い甘みと心地よい歯ごたえとジューシーな味わいが特徴の彦根梨 濃い甘みと心地よい歯ごたえ、口いっぱいに広がるジューシーな味わいが特徴です。生食も良いですが、ジャムにしてみるのもおすすめ。

(取材日:2023年9月22日)