産地レポート

トップページ産地レポート桃 栗東市 栗東もも生産組合

トップページ産地レポート桃 栗東市 栗東もも生産組合

~訪ねた人 栗東市「栗東もも生産組合」~

栗東の桃をもっと多くの人に

栗東もも生産組合の皆さんと桃

県の認証を受けた環境にやさしい栽培

香りが高く、夏のデザートとして人気の桃。7〜8月に旬を迎え、この時期にはたくさんの桃が直売所に並びます。栗東市では、1999年に市内の桃農家が「栗東もも生産組合」を結成し、現在は7人が所属しています。

「元々この辺りは採石場で、空き地や荒れ地でした。「道の駅 こんぜの里りっとう」ができたころに、『何か地域の特産品をつくろう』と思ったのがきっかけで桃の生産を始めました。」と話すのは、組合員の1人で、金勝山のふもとで「みやぎ農園」を経営する宮城定右衛門さん。標高約300mで昼夜の温度差もあり、桃づくりに向いていたようです。

組合結成前から約30年間桃をつくり続けてきた宮城さんですが、一番難しいことは実に傷をつけないようにすることだと言います。

「枝がこすれるだけで傷がつくくらいデリケートなんです。味は悪くなくても見た目が悪くなると出荷はできません。大きく育てるための摘果や、実を守るための袋かけの作業も時間がかかり、桃栽培は本当に骨が折れます」。

この桃は、県の「環境こだわり農産物」の認証を受けています。これは、化学合成農薬および化学肥料の使用量を通常の半分以下に減らし、周辺の環境負荷を削減して生産された桃です。桃は害虫や病気に弱く、常に消毒が必要な作物ですが、消毒回数を減らした環境こだわり農業に取り組み、おいしくて安全な桃を少しでも多く収穫しようと日々奮闘しています。

栗東もも生産組合の皆さん栗東もも生産組合の皆さん。環境にやさしい桃栽培に取り組んでいます。

袋がけされた桃を収穫する宮城さん袋がけされた桃を収穫する宮城さん。大きく育てるために3〜4回に分けて摘果をしています。

手作りの加工品で六次産業化を目指す

収穫された桃は組合での選別を経て、「JAレーク滋賀 田舎の元気や」「道の駅 こんぜの里りっとう」「道の駅 アグリの郷栗東」に並びます。また、個人販売も行っています。甘さとみずみずしさのバランスがよく、直売所では「リピーターも多い」とのこと。

5年ほど前からは加工品にも取り組んでおり、娘の智恵美さんが手作りで桃ジャムをつくって販売しています。毎年心待ちにする人もいて、昨年は瓶300個分を販売するなど、とても好評です。添加物不使用に加え、砂糖もほとんど使っておらず、桃自体の甘さを出すことにこだわっています。現在、桃のコンポートも試作中で商品化を目指しています。栗東市内だけでなく他地域への販路拡大も図っており、智恵美さんが中心となって桃の六次産業化を目指しています。

「アグリの郷栗東」で販売される自家製の桃ジャム。「アグリの郷栗東」で販売される自家製の桃ジャム。大きく切った桃が入っているので、パンに塗るよりは、そのまま食べて味わったり、ヨーグルトなどに混ぜたりするのがおすすめです。

桃の生産者を増やして販路拡大を

滋賀県は果物の出荷量や産出額が全国でも低く、"滋賀県産の果物"が目立つことは稀です。桃も例外ではなく、組合での年間出荷量は350kg〜400kgと多くはありません。

新しく加入した組合員には定植方法や樹の育て方など、これまで培った栽培ノウハウを伝えて安定した生産ができるよう取り組んでいます。しかし、消毒や袋かけなどの手間、害虫や病気に弱いという管理の難しさ、廃棄が多く出てしまうため経営が厳しいなど、なかなか新規生産者が定着しないのが現状です。

「組合としては、栗東の桃をブランドにしたいという思いがありますが、生産量が少ないとブランド化はなかなか難しいですね。生産量や生産者の数を増やしていくこと、販路拡大が今後の課題になります」。

そのまま食べてもジャムで食べてもおいしい確かな品質の栗東の桃。直売所や道の駅で見かけたときはぜひ味わってみてください。

収穫間際の桃。収穫間際の桃。手で押さえて表面が少し柔らかく感じたころが食べごろです。

カットした桃カットした桃は夏のデザートにぴったりです。

(取材日:2021年7月20日)