産地レポート

杉田さんとスタッフの皆さん

産地レポート
いちじく

いちじく

~訪ねた人:「栗東いちじく生産組合」杉田さん~

食物繊維豊富で低カロリー。
甘~く熟したいちじくで、美容と元気を届けたい!

杉田さんとスタッフの皆さん。
「私たちが愛情込めて育てています。ぜひ食べてくださいネ!」

いちじくを栗東の名産品に!

子どもの頃、庭のいちじくの実が熟するのを今日か明日かと楽しみに待っていた...。そんな思い出がある人も多いでしょう。ひと昔前まで、いちじくといえば庭に植える果樹の定番。今でも夏、滋賀の田舎に行くと民家の庭先で葉っぱを茂らせているいちじくの木をよく見かけます。

いちじくは、その独特の風味と甘さもさることながら、食物繊維やミネラルを豊富に含み、消化促進や便秘改善、整腸作用などの効果もある賢い果実。日本でも生食が広まるまでは薬用が中心でした。歴史も古く、紀元前2000年頃にアラビア南部ですでに栽培が始まったとされ、江戸時代初期に日本に入ってきたのだとか。

そんなシルクロードの香りただよう、ちょっぴりノスタルジックなイメージのいちじくですが、最近では、美容効果の高さと低カロリー性にも注目が集まり、おしゃれな果実として人気上昇中。そんないちじくを滋賀県の名産品にしようとがんばっているのが、栗東市の「栗東いちじく生産組合」です。

色が濃く、色ツヤの良いいちじく いちじくは傷みやすいので、手に取るときはそっと優しく。
色が濃く、色ツヤの良いいちじくがおすすめ。

環境に配慮して栽培

滋賀県の栗東市は、県下最大規模のいちじく産地で、栽培面積は約1.7ha。その栽培農家の一つ、杉田さんのハウスをお訪ねしました。中に入ると、背丈ほどのいちじくの木が並び、ふんわり、独特の甘い香気がただよってきます。でも、いちじくもハウス栽培するんですね。

「いちじくは雨に弱いので、雨よけのハウス栽培がやっぱりいいですね。それにハウスなら天候に左右されることなく水の管理ができるので、糖度の安定したものを市場に提供できますから」と杉田さん。

いちじくの食べ頃は「二の腕の柔らかさになったとき」だとか。「十分に熟するとお尻がパカリと割れてくる」というアドバイスをもとに、目の前の食べ頃いちじくをいただきました。手で2つに割ると、ワイン色をした果肉がのぞき、みずみずしい果汁がじゅわーっと...。う~ん、おいしい! いちじくって、こんなにおいしい果物だったんだと改めて実感。杉田さんもニコニコ笑って、「どんどん食べてください。栗東のいちじくは、滋賀県の『環境こだわり農産物』として認証されていますので安心ですよ」

滋賀県の『環境こだわり農産物』とは、農薬や化学肥料の使用量を通常の5割以下に削減し、濁水の流出防止など、琵琶湖などの自然環境にやさしい栽培方法で作られた農産物のこと。そのような方法で栽培されている農作物は専用のマークが付いて販売されているので、皆さんも買うときの目安にしてくださいね。そのなかでも杉田さんは、より低農薬にこだわっているのだそう。「農薬の利用は極力控え、葉に付く虫は薬ではなく手作業で取り除いています」

ハウスの中ですくすく、丁寧に育てられるいちじく ハウスの中ですくすく、丁寧に育てられるいちじく。
流通に関わる時間を考慮しなくていいので、直売所なら食べ頃の果実が購入できる。

いちじくの加工品も続々登場

さらに杉田さんは行動力もバツグン。米糠が肥料にもなり、甘みが増すと聞けば即実行するし、ハウスから数分の所に直売所も設け、午前中に収穫した新鮮ないちじくや野菜を販売。今後は乾燥いちじくにも挑戦しようと考えています。また独自で卸ルートも開拓。そのひとつである近所のケーキ屋さんでは「いちじくタルト」として杉田さんのいちじくが立派に活躍しているといいます。

いちじくの果実の販売は、夏~秋の8月から10月頃までですが、「栗東いちじく生産組合」では、いちじくを使ったジャムやコンポート、いちじくのワイン煮、パン、デニッシュ、ソフトクリーム、シュークリームなどの加工食品も開発中。滋賀県の道の駅や食料品店で売っているので、見かけたら、ぜひ甘くて安心な栗東いちじくやいちじくの加工商品をお試しください。

(取材日:2011年9月27日)

栗東いちじくの購入場所

JA栗東市田舎の元気や、道の駅こんぜの里りっとう、道の駅アグリの郷栗東、近隣スーパーなど