産地レポート
ニンジン
ニンジン
~訪ねた人:多賀にんじんクラブ 土田さん~甘みが強くて栄養たっぷりの多賀ニンジン。
地域の農家とともに、愛情込めてつくっています。
『多賀にんじんクラブ』とともに
栄養たっぷりだけど、子どもはちょっと苦手な野菜。そんなイメージのニンジンですが、このニンジンなら、どんな子どもでも(たぶん)「おいしい!」といってくれるはず。それが滋賀県の多賀町でとれる「多賀ニンジン」です。
滋賀県の北東に位置する多賀町では、昭和60年頃から生協出荷のニンジン栽培が始まり、平成22年度は町全体で130tを出荷。県下でもニンジン栽培が盛んな地域として発展してきました。その中心を担っているのが、平成21年にJA東びわこの生産者部会として結成された『多賀にんじんクラブ』です。地域の農家7名と1つの営農組合で組織され、今回お訪ねした土田さんもその一人。
取材にうかがったのは12月下旬の底冷えがする日。ふさふさと柔らかなニンジンの葉が一面に広がる畑の一角には掘りだされたばかりのニンジンが整然と並び、グリーンとオレンジのコントラストがなんともきれい!
(左)ニンジンは長さ15cmほど。オレンジ色が鮮やか。(右)収穫作業中の土田さん。
「今日は雪が降らんで、ほんま、よかった。この前降ったときは雪かきしながら葉を起こして抜かなあかんかったし...。そのときの手の冷たさといったら!」
寒さにボヤきながら、1本1本ニンジンを手作業で抜いていく土田さん。とはいえ、冬に積雪が多い多賀町の気候もおいしいニンジンができる要因の一つ。
「雪が降ると寒さに耐えるためにニンジンは糖度を増すんですよ。おいしいニンジンが育つためなら我慢せんとアカンわね(笑)」
大型洗浄機と重量選別機で省力化
土から出たばかりのニンジンは赤みがかったオレンジ色がつやつやと鮮やかで、形もすらっとした美しい円錐形。しかも身がピンと張り、とてもおいしそう!試しにスティック状にカットして食べてみたのですが、甘味があってとてもジューシー。ニンジンって、こんなにおいしいもんだったんですねぇ!
土田さんも、「そうやろう、そうやろう」とうなずきながら、「野菜の本当の旨味は生で食べると、ようわかります。それに私ら『多賀にんじんクラブ』のニンジンは、滋賀県の環境こだわり農産物の認証を受けている。つまり、農薬や化学肥料を通常の半分以下の量で栽培しているので、安心して食べていただけます」
収穫されたニンジンは葉をカットしてコンテナに詰められ、車で5分ほどの場所にあるJA東びわこの施設内へ運ばれます。
「施設内には『多賀にんじんクラブ』が所有する大型洗浄機と重量選別機があるんですよ。そこで洗浄して重量別に分けたニンジンを袋詰めにして出荷しています」
(左)多賀にんじんクラブの大型洗浄機。機械内のタワシと水の力のみでニンジンを洗う。(右)洗ったニンジンは重量選別機で重さごとに分けられる。機械の導入で出荷作業の負担も大幅に軽減。
甘味が強いからジュースもおすすめ
土田さんが本格的に農業に取り組み始めたのは会社を定年退職してから。平成23年度は約2,800㎡のうちの2,000㎡で麦を栽培し、麦を収穫したあとの畑でニンジンをつくっています。
「私は『多賀にんじんクラブ』に入ってからニンジンづくりを始めました。わからないことはなんでもメンバーに聞けたので安心して挑戦できたし、よりよい栽培方法についていつでも話し合える仲間がいるということは、本当に心強いですね」
栽培のポイントは、約1か月半かけるという土づくり。麦の収穫で出た麦わらと有機肥料をたっぷりと土壌にすき込みます。
「トラクターで3〜4回、深く細かく耕してしっかりと土づくりをすると、ニンジンがすくすくと成長するんですよ」と土田さん。 農薬や化学肥料を抑えているため、除草作業もこまめに行います。また、夏場に行う間引き作業も重要で、株と株のあいだを5cmくらい空くように整えることで、ニンジンの形がきれいに仕上がるのだとか。
「手入れをすればするほど、自分が思い描いていた品質のいいものができあがります。手がかかる作業が多いですが、いいものができると不思議なことに苦労は消えてしまう。 やってよかった、と心からうれしくなりますね」
料理はもちろん、サラダやパン、ジュースと何にでも活用できるニンジン。ちなみに土田さんのおすすめは手作りジュース。
「りんごと一緒にジューサーに入れるだけで、甘みのあるジュースができあがります。翌日のスタミナをつけるために、毎晩お風呂あがりに飲んでるんですよ」とにっこり。皆さんもぜひ、甘味と新鮮さたっぷりの多賀町産ニンジンをお試しください。
(取材日 2011年12月21日)
■お問い合わせ:JA東びわこ(電話:0749-48-1008)