9月の特集 ぶどう
いよいよ実りの秋がやってきました!滋賀県各地ではぶどう園がにぎやかに、直売所には、色とりどりのぶどうが並び、華やかです。もぎたてで味わうぶどうは、みずみずしく、次から次へと手が伸びます。ぶどうシーズンまっさかり!お好みのぶどうを見つけに来てください!
ぶどう園にようこそ!
食欲の秋、実りの秋。
秋の楽しみと言えば、続々と登場する旬のフルーツもその一つではないでしょうか。今回はその中から「ぶどう」のご紹介です。
滋賀県内で栽培されているぶどうの品種は、なんと30品種を超えると言います! マスカットべーリーAやデラウェアなどの定番のぶどうはもとより、巨峰、ピオーネ、竜宝など、色とりどり、味わいも様々なぶどうを楽しめるのが、滋賀の特徴。
また、滋賀県内には観光果樹園やくだもの直売所が各地にあります。もぎたてのぶどうを楽しめるとあって、出荷が始まる8月初旬からにぎわい始め、お盆に最初のピークを迎えます。その後は品種を換えながら、9月の中旬ごろまで旬のぶどうを楽しむことができます。
県内各地の果樹園の情報と言えば、ずばりコレ!!
滋賀県果樹組合連合会でまとめられている「滋賀 観光果樹園&くだもの直売所MAP」が営業時間や主な取り扱い産品、入園料などを一覧できてとても便利。
滋賀県のぶどうづくりについて伺おうと、滋賀県果樹組合連合会ぶどう部会長の漣(さざなみ) 清志さんを、長浜市にある南浜観光ぶどう園に訪ねました。
ちょうど、ぶどう園の作業場では、隣接する直売所「産直びわ」などへ出荷するため、出荷作業の真っ最中!甘い香りにつつまれる作業場では、粒ぞろいのぶどうが手際よく袋に包まれていきます。 鮮度の目印はぶどうの表面。新鮮なものは「ブルーム」という白い粉のような物質で覆われています。どれもおいしそうで、思わずゴクリ・・・。
次々と手際よく形を整えられていく房
漣さんの作られているぶどうは5品種。これでも少ない方とのこと。「いつまでたっても一年生みたいなもんや」と作業を振り返られます。
おいしいぶどう作りに肝心な作業は、ぶどうに花が咲き、実がふくらみ始めた頃に行なわれる「摘粒(てきりゅう)作業」。粒が育ちやすいように間引いていく作業です。「仕上がったぶどうの形をイメージして間引いていくんやけど、自然のものやし、なかなか上手にはいかん」と漣さん。ぶどうの房の形はこの摘粒作業で決まり、生産者さんの個性が表れてくるのだそうです。
開花後、できはじめたぶどうの房。少しかわいい!?
この日も、漣さんは、真っ暗な2時に起床。さらに日中はぶどう狩り用ぶどう園での応対などもあり、収穫・出荷シーズン中は忙しい日々が続きます。
それでも「1年間一生懸命作ったぶどうの集大成が今やから、この時期を楽しみに、毎日を頑張って作業しようって、みんなと言うてます」。
この園の人気商品の一つが、「紅伊豆(べにいず)」。
「紅(べに)ぶどう」と呼ばれる紅(あか)系品種の一つで、ひときわ香りが高く、粒を口に入れるとジュワっと甘くておいしい果汁が口いっぱいに広がる品種。ただ、果肉がやわらかく、粒がポロポロと軸から離れやすいデリケートなぶどうのため、直売所での販売などに限られています。
「手荒くさわれんし、摘粒も簡単には済ませられん。気ぃ張ってせんなん。」と作業や出荷の難しさを話してくださいました。
ぶどうの収穫をする漣清志さん
ぶどう作りへの姿勢が感じられる、甘言のない真摯な言葉の漣さん。「生産者はようけの人に園に来てもらって喜んでもらえること、楽しみに食べてもらえることを励みにしてます」と、メッセージをくださいました。
そして、ぶどう狩りの声がにぎやかなぶどう園を見ながら、最後に一つ教えてくださいました。「みなさん大きいの、大きいのを採られるけど、頃合いの、ちょうどいい大きさのものが、一番おいしいんやで!」
さぁ、滋賀のぶどう園では、まだまだたくさんのぶどうが皆さんを待っています!
これから秋を迎え気候がよいシーズンとなります。滋賀のぶどう園へぜひおいでいただき、もぎたてぶどうを心ゆくまで堪能してください!
争奪戦発生?知る人ぞ知る「紅ぶどう」とは!?
南浜観光ぶどう園でも話題になった「紅(べに)ぶどう」。実は、お盆の時期には行列ができるほどの人気品種。
「紅ぶどう」とは、「紅伊豆」「紅富士」「竜宝」という3種の紅色大粒系品種のぶどうを総じて呼んでいます。性質上流通が難しいことから、全国での栽培面積は少ないですが、滋賀県では比較的多く栽培されています。直売等では大人気。知る人ぞ知る!ぶどうなのです。
人気の理由を知るために、実物を見に行こう!
同じ長浜市にある今荘観光ぶどう園に小林弘さんを訪ねました。「紅系のぶどうは、味がいい。お客様も一度食べると美味しいし、また欲しいと言ってくれる」、小林さんも太鼓判です。
ぶどう畑が見渡す限り広がる「今荘観光ぶどう園」
今荘観光ぶどう園では「紅富士」と「竜宝」を作られています。さすが大粒の品種、見た目の存在感が違います。
「紅富士」「竜宝」の両方を試食させていただくと、どちらも果汁たっぷりで食べ応えを感じ、口の中で絶妙な甘みと酸味が溶け合います。「紅富士」は果肉がややしっかり、甘みのあとにさわやかな酸っぱさがあり、「竜宝」はツルリと皮が外れ、果汁に溢れたやわらかい食感で甘みが強く感じられました。
竜宝 赤い色合いが美しい
味わいの違いはもちろんですが、生育の特徴も違うそうです。「竜宝」を栽培されている青木一洋さんからは「竜宝は特に割れやすい」と聞きました。袋がかぶせてある中で割れると、袋に果汁が飛び散ってしまうほどだとか。「最初の頃は、一房が3粒になってしまったこともあった」ほど、苦心しながらの栽培だったそうです。
産地が少なく、収穫時期はお盆の頃から9月始めまでという短さ。そこに美味しさが加わるとなると、「紅ぶどう」の人気もうなずけます。「直売に出したらすぐになくなる。いつ行ったらあるの?と聞かれても、すぐ売れるから、タイミングやなぁ」と小林さん。ただ、「扱いが難しい」。
「紅ぶどう」は、粒が軸から外れやすい品種のため、宅配便などでの発送には不向きです。「どうしても、と頼まれることもあるけどなぁ。中で取れたり割れたりしてしまうんや」と小林さん。
手に入れたい方は、ぶどう園や直売所まで足を運び購入していただくしか、残念ながら方法はありません。
多くの人が並んでまで買いたいぶどう。たしかに一度食すと、必ずまた欲しくなってしまいます。
関連記事:産地レポート(ぶどう)〔2011年9月〕
味わいの紹介-幻のぶどう「紅式部」に迫る!
希少ながらも多くの人をとりこにしてやまない「紅ぶどう」。
その中でも、さらに希少、特に選りすぐられたものが「紅式部(べにしきぶ)」というブランド名を冠して販売されています!
各生産地でもわずかずつしか発売されないこのぶどう。なんと、6つもの厳しい基準を満たさないと「紅式部」と名乗ることができません。その関門をくぐりぬけた、生産者さん渾身の一房とも言える「紅式部」は、まさに"幻のぶどう"。
■「紅式部」を名乗る条件
- 皮の色が鮮やかな紅色であること
- 糖度が17度以上であること
- 房の大きさが500g前後(±50g)であること
- 1粒の重さの平均が14g以上であること
- 収穫時期が、収穫開始から10日間
- 滋賀県が認証する「環境こだわり農産物」であること
専用の化粧箱で販売される紅式部。
「紅ぶどう」を追って訪れた今荘観光ぶどう園では、出荷を待つ「紅式部」も見せていただきました。
恐る恐るそーっと袋から取り出すと、取材スタッフ全員からは思わず歓声が・・・!
一粒一粒が大きく、今にもはちきれそう。そして、粒がバランス良くついた房全体の美しさ・・・改めて気品すら感じてしまう、まさに選り抜かれたぶどうなのです。
姿かたちだけでなく、味もすばらしいのが「紅式部」。
貴重さを噛みしめながら、味わいをレポートするため取材スタッフで食してみました!
厳しい基準をクリアしただけあって、房のどこをとっても上品な甘みとさわやかな口当たり、ジューシーな食感。また一粒がピンポン玉ほどに大きく、厚みがあり、みずみずしい果肉にうっとり・・・。口いっぱいにほおばると何とも言えず贅沢の極みです。
ぶどう畑でも、「紅式部」候補となっている房を見せていただきました。
ぶどう園で、一際オーラを放つ「紅式部」候補たち。
あとは収穫を待つだけの紅富士、ハッとする存在感のある美しさ。
その周囲のぶどうも同じように「紅式部」候補として実っているかと思いきや、すぐそばには少し小ぶりな房もあります。青木さんに伺うと、「同じ木でもそういう違いが出ます。そこが、紅式部が幻といわれる理由の一つ」とのこと。
生育には、気候、土や木の状態、手入れのちょっとした違いが関わってくるそうです。
まだまだ希少なこの「紅式部」は、厳しい条件を満たして直売所などに並びます。
ちなみに、「紅式部」は、
もりやまフルーツランド
アグリパーク竜王
今荘観光ぶどう園直売所
産直びわ直売所
マキノピックランド内直売所
で販売されています。
出会われた方は本当に幸運なのですよ!心してご賞味ください!
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