産地レポート2
牛にも人にも、優しく、丁寧に接するから美味しいものが生まれます。
滋賀県東近江市和南町の池田牧場は、和南川沿いにあります。
池田義昭社長は話します。
「先代が1956(昭和31)年に酪農を始めました。ホルスタインの成牛が50頭、育成(将来搾乳される予定の若い雌牛)が30頭います。
放牧ではなく、つなぎ(牛舎で牛をつないて飼う飼育法)で飼っていますが、リラックスさせることを考えています。
牛は食べることしかありませんから、おいしい餌を食べて、昼寝をたっぷりしてくれれば、おいしい牛乳を出してくれるんです。 そしてとにかく、人に接するときと同じように優しく接してあげることですね。」
池田社長が牛舎に入ると、牛たちが一斉に唸り声を上げ、顔を近づけてきます。
牛たちは本当にうれしそうです。
中には、今朝生まれたばかりの子牛も。母牛の前につながれています。
池田牧場の牛の過半数は、牧場生まれ。こうして新しい命が誕生しているのです。
少し前まで池田牧場は、この地でジェラートショップを営業していましたが、今は南東方向の山中に、ジェラートショップ、 農家レストラン『香想庵』、バンガローやBBQ施設を備えた『あいきょうの森』を展開しています。
ここでは、山の恵みとともに、池田牧場の乳製品も味わうことができます。
農家レストラン香想庵は、がっしりした造りの古民家。
池田社長の奥さまで専務の池田喜久子さんが、にこやかに出迎えてくださいました。
「この店は、もともと私の実家だったのですが、移築したんです。昔の農家の造りをそのままにしています。
今から17年前に、牧場のあった土地でジェラートのお店を出したのですが、お陰様で大繁盛しましたので、少し離れた山中に農家レストランとジェラートの新店舗を開いたんです。
ジェラートは、私がイタリアへ行って、本場の職人から直接学びました。
ローファット(低脂肪)で、おいしくて絶対に流行ると思ったのです。
このほか、鹿肉を使ったジビエ料理や、イワナ料理などをお出ししています。」
池田牧場のジェラートは大評判。
果物、野菜、茶などの地元食材とコラボした、特色あるジェラートを求めて、多い日は1600人ものお客さんが来られます。
ジェラートショップの店内装飾は、カントリー風。
「このあたりは冬は厳しい寒さなのですが、頑張って冬場もお店を開いています。お客様は少ないですが、冬は冬の恵みを楽しんでいただくことができるんです。」
家族、従業員の結束、周辺の人々とのネットワークもあって、池田牧場は順調にファンが増えています。
乳牛に愛情を注ぐ池田社長と、お客様にまごころで接する喜久子さん。二人の息のあったコンビネーションが、池田牧場の原動力です。
「これからも、生産者、消費者をつなぐ真ん中にいて、みなさんと共に考える姿勢で頑張っていきたいと思います。」