琵琶湖八珍のおいしい現場。
ゴリ〈ウロリ・ヨシノボリ〉
ハゼ科
旬:夏(7〜9月)
鮮度命! 夏オンリーの味を柳川鍋で。
体長1~3cm、体重1g以下と琵琶湖八珍の中では最も小さいが、「小粒の魅力」を地で行くような魚がゴリだと考えれば合点がいくかと。琵琶湖では夏に沖曳網(底曳網)でシラスのような稚魚が揚がる。獲れてすぐのものを釜揚げにするとほんのりとした甘みが楽しめる。そのまま醤油をかけても、パスタにトッピングしても実に美味い。鮮度のいいものしか使えないのでご注意を。食べられること自体が贅沢なのだ。
琵琶湖から離れた内陸部の日野町。京都出身の赤澤岳泰さんは大正時代に造られた古民家を買い取り、[すごろく]という日本酒バルを2016年5月にオープンさせた。BGMは静かな祭囃子で、土間でこれを聴きながら近江の地酒を飲んでいると、「時間」の旅をしている気にすらなってしまう不思議な空間だ。
ここでいただく「ウロリの柳川」は、しっかり取ったダシにゴリの歯ごたえのある身とふわっとした卵、味を引き締めるシソが絡まって、冷えた日本酒のアテとして素晴らしい相性の良さを見せる。こんな逸品にも出会えるので、琵琶湖八珍めぐりはやめられない。
ゴリの定番料理といえば、しょう油と砂糖で甘辛く炊いた佃煮。琵琶湖沿岸では白ご飯の友として年じゅう大人気だ。