琵琶湖八珍のおいしい現場。
ホンモロコ
コイ科
旬:秋・冬・春(9〜6月)
「船上の素焼きの味」を居酒屋で。
琵琶湖で獲れるモロコ類の中でも、というよりもコイ科で最もおいしいと定評があるのが琵琶湖固有種のホンモロコだ。料亭でも使われる高級魚なので、佃煮、南蛮漬け、なれずしなども美味だが、鮮度のいいものを素焼きして食べてほしい。
沖島で漁師をしていた久田善浩さんがJR近江八幡駅の近くで営む居酒屋[酒と肴 おはな]では、漁師が獲ったホンモロコを船の上でワイルドに食べる至福に近いしあわせを味わわせてくれる。体長10㎝ぐらいのホンモロコを素焼きして、酢味噌をとろり。ほんのり甘く、ちょっと苦く、自らの脂で焼けた香ばしいかおり。焼き魚を1匹まるごと食べる初体験がホンモロコだったら、超がつくラッキーでしょう。ビール、焼酎、白ワイン、ウイスキー......どんなお酒とも相性よしだが、近江の地酒なら無敵のコンビだ。
秋、沿岸から沖合に向かって移動するホンモロコは脂がのりふっくらして美味いが、年を越して身が引き締まった春先の子持ちホンモロコもまたたまらない。旬が長いのはうれしくもあり悩ましくもある、美味いもん好きのアイドル的存在だ。
繁華街ではなく住宅街のようなロケーションにある[酒と肴 おはな]は、琵琶湖で獲れる魚の「味を占めた」ファンで夜な夜なにぎわっている。