琵琶湖のおいしい幸、8つ

体長60㎝、体重2㎏を超えるものもあり、琵琶湖八珍の中でも一番大きく、かつ華やかさも満点。「何だろう？ サーモンより色鮮やかで上品な味わいだし、でも脂はしっかりのって甘いし......」と食べた人がこれまでに持っていた「淡水魚」の概念をあっという間に覆してしまうパワーがある。琵琶湖周辺のお店では、夏はこのスターを看板にしている。和食店や居酒屋ではお造りに、鮨屋ではにぎりに、カフェではリエットにしてカナッペサンドにするなどバラエティ豊か。「ここではビワマスをどう料理するのかな？」と想像して行くのが滋賀の夏のお楽しみだ。

草津市郊外、西川潤さん夫妻の一軒家レストラン［ステラ・カデンテ］ではコースの前菜にいきなり登場。彩り豊かな滋賀県産の野菜に隠れているが、ちょっと炙った天然ビワマスのふくよかなこと。彩り豊かな近江の野菜たちのシャキシャキ感との対比がまた素晴らしい。ソースにはふなずしの飯（いい）を使うテクニシャンぶり。でも肩肘張った店ではなく、「親戚が川魚料理店なんで......」と謙遜するシャイな料理人。ソムリエである奥さまとのコンビもバツグンで、楽しい相手と一緒に行きたい店だ。

ビワマスのあの朱色は、スジエビを食べているかどうかで濃い薄いがあるそう。琵琶湖八珍同士で、食物連鎖があるとは面白い。濃いめの白ワインと一緒にどうぞ。