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12月の特集 赤丸かぶ

まるで宝石のような紅色をもつ「赤丸かぶ」。滋賀県の北東部、米原市内で作り継がれてきた、ここにしかない伝統野菜。甘くほどよい食感から、お漬物としてずっと愛されてきた赤丸かぶに、これまでにない新機軸のレシピが誕生しています。

美しき紅の伝統野菜「赤丸かぶ」

赤丸かぶ

滋賀県には、日野菜や万木かぶなどをはじめ、地域在来のかぶが数多くあります。今回ご紹介する米原市特産の「赤丸かぶ」は、かぶの中身や茎までも鮮やかな濃紅なのが特徴。漬物にすると全体が紅色に鮮やかに染まり、ほどよい食感が楽しめます。


米原駅
滋賀県にある唯一の新幹線駅。米原駅。

おじゃましたのは、米原市にある朝妻筑摩地区で赤丸かぶを生産されている「筑摩赤丸生産グループ」。
米原市は、近畿圏、中部圏、北陸圏を結ぶ交通の要衝で、現在でも東海道新幹線や高速道路が通り、日本の大動脈に位置する街です。

「筑摩赤丸生産グループ」の真野修さんをお尋ねすると、11月から始まったかぶの収穫の最盛期。


真野修さん 赤丸かぶ 赤丸かぶ断面
(左)収穫作業中の真野修さん(中央)取れたての「赤丸かぶ」(右)中は散らしたように赤みが入っている

畑の隣には、竹と丸太で「はさ」が組まれ、真っ赤なかぶが、整然と干されており、これが冬の湖北・湖東の風物詩になっています。 なんでも、おいしい漬物にするには、天日干しの作業が欠かせないのだとか。

「冷たい風が吹いてると5日ほどで乾いて、触るとだんだんやわらかぁなってくる、そしたら漬け込むんです」と奥様の孝子さん。冷たい風であればあるほど「赤丸かぶ」がおいしくなるとのこと。

赤丸かぶを干す 真野修さん
(左)寒風にあたる赤丸かぶ、干すことでうまみが増す。(右)天日干しの作業をされる真野修さん

天日干しにした赤丸かぶは、定番のぬか漬けや人気の酢漬けに。「漬けたり、火を通したりしたら身の中まで赤くなりますよ」と持ってこられたぬか漬けは、綺麗な紅色に染まっています。

ぬか漬け 赤丸かぶの商品 真野孝子さん
(左)中まで色づいた赤丸かぶのぬか漬け(中央)赤丸かぶの商品、スライスされた酢漬けは若者にも人気!(右)筑摩赤丸生産グループの真野孝子さん

「色がいいので、最近は巻き寿司に入れたり。酢漬けはサラダみたいって、みんなに好んでもらってます」と孝子さんの顔もほころびます。

少しいただいてみるとと、かぶの味わいがしっかり感じられます。食感も特徴的、どの品もほどよい歯ごたえがたまらず、思わず箸が進みます。

今は収穫の最盛期、近所の方に手伝ってもらいながら、漬け込みと収穫をこなされています。「せっかくの地元の特産品、残していきたい」と孝子さん。
これからは「雪堀り」しながらの収穫となり、3月初旬頃までがシーズン。まだまだ忙しさは続きそうです。

...未来へ!伝統野菜をつなぐ取組み

包装材
修さん、孝子さんの似顔絵が描かれた包装材

「筑摩赤丸生産グループ」は赤丸かぶを中心に自家栽培の農産物を使った加工品販売を行っておられるグループです。 「設立の時は3家族やったんですが、他が少しご高齢になられて」と孝子さん。平成11年からは真野さんご家族だけになってしまいました。
設立当初は京都や大阪、名古屋の百貨店へ宣伝販売にも出かけて行ったという旦那さまの修さん、当時を振返り「赤丸かぶは、米原以外ではほとんど知られてなかったし、珍しかったみたいやなあ」。
当時から使われているという漬物の袋には、お二人のニコニコ顔が描かれています。

「筑摩赤丸生産グループ」のぬか漬・酢漬は、「筑摩赤丸生産グループ」から購入することができます。→コチラ

ぬか漬けはその頃からの人気商品ですが、他におすすめの食べ方は? と地元ならでは食べ方を尋ねてみると意外な答。「昔っから、ぬか漬けと酢漬けしかなかったんですよ」。
なんと、赤丸かぶは漬物専用、煮炊きものにはまったく使われてこなかったそうなのです。

それが昨年、うれしいきっかけがありました。
一度東京に出られていた息子さんが、奥さまと共に家の跡を継ぐため帰郷されたのです。
初めて滋賀に来られた奥さま、愛さんのアイデアと、テレビ番組(全国放送)の取材をきっかけに、新しいレシピが誕生しました。

赤丸かぶのまるごと煮 みぞれ汁
(左)赤丸かぶほくほくあま~い「赤丸かぶのまるごと煮」に変身!(右)おろした赤丸かぶを入れ、うすピンクに染まった「みぞれ汁」

まるごと1個の赤丸かぶにひき肉を詰めた「赤丸かぶのまるごと煮」、おろしを入れた「みぞれ汁」、他にも巻き寿司に入れたり、ポテトサラダに加えたり。
シチューやカレー、ポタージュなど、いろいろと試行錯誤をされたと伺いました。

「この間は地元のご高齢の方の集まりにもお出しして、食べてもらったね」と孝子さんと愛さんが嬉しそう。「今まで漬物ばっかりで、思いつきもせんかったから」。
赤丸かぶの肉詰めは、昨年、道の駅(近江母の郷)で販売して好評だったとか。今年も計画されています。

また、地元の米原小学校とも連携。10年ほど前から米原の伝統野菜を広めようと、孝子さんと修さんが赤丸かぶ栽培から加工までを教えに行っています。小学校3年生が、種まきから収穫、ぬか漬けにするまでを体験。「道の駅で買ってきて、とご両親に頼むようになった」など、体験の効果とも言える話題を耳にされ「やっぱり自分で作ると好きになるみたい」と孝子さん。 ついには子どもたちの方から、レシピづくりの話が登場したのだとか!
作り継がれた伝統野菜が、新しい視点と合わさって、今後はさらなるおいしい可能性が生まれそうです!

新しい味わいの紹介―まるごと1個!赤丸かぶのおいしいレシピ

赤丸かぶを購入するには?とお思いの方もおられるでしょう。
地域周辺の道の駅などでも販売されていますが、この冬、JAレーク伊吹では特に品質のよい赤丸かぶを"特A"規格として大阪でも販売される計画が進んでいます。

濃紅の美しい赤丸かぶを買っていただいた方におすすめの食べ方として、愛さんから「赤丸かぶのまるごと煮」のレシピを教えていただきました。

「赤丸かぶのまるごと煮」

分量:2個分

赤丸かぶのまるごと煮
赤丸かぶ 2個
A 鶏挽肉 100g
長ねぎみじん切り 1本
塩 少々
こしょう 少々
酒 少々
片栗粉 小さじ1
B だし 1000cc
しょうゆ 小さじ1
塩 小さじ2
みりん 大さじ1
C Bの煮汁 150cc
しょうゆ 小さじ1
水溶き片栗粉
(片栗粉 小さじ2、水 小さじ2)

  1. 皿にヘタを下にして赤かぶを置き、ラップをかけて3分程度電子レンジにかける
  2. ヘタの部分をスプーンでくり抜き、器にする。くり抜いた実は刻む
  3. Aを粘りが出るまで混ぜ合せ、くり抜いた実を混ぜ合せる
  4. 2のくり抜いた部分に片栗粉を薄く振り、3の具を詰める
  5. 鍋にBとかぶを入れて落としぶたをし、沸騰したら弱火にして20分程煮る
  6. 別の鍋に煮汁、しょうゆ、塩を入れ火にかけ、水溶き片栗粉でとろみをつける (Cの分量)
  7. 器にかぶを盛り、6のあんをかければ完成

赤丸かぶの濃い味わいを、まさにまるごと楽しめ、かぶの持つ甘みとひき肉の相性にもうっとり・・・。ペロリといただいてしまえるような、おいしいレシピです。
ぜひご家庭で試してみてください!

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