琵琶湖八珍から広がる びわ湖のめぐみレポート

びわ湖のめぐみレポート
「氷魚・コアユ」

びわ湖のめぐみレポート「氷魚・コアユ」
琵琶湖で育つアユは、体長10cm前後でコアユと呼ばれる。
また冬に獲れる稚魚は、透明な身体で氷魚(ひうお)と呼ばれ、冬の贅沢な味覚となっている。

高島市高島市

  • 獲る百瀬漁業協同組合
    組合長 平山次夫さん

    百瀬漁業協同組合 組合長 平山次夫さん
    - 地元の人にも愛される旨味たっぷりの氷魚 -
    高島市マキノ町知内―知内川と百瀬川が東西に走り、琵琶湖へ流れ込んで、豊かな漁場を作り出す地域に百瀬漁協がある。

    「この地域では、昔から半農半漁で、米の繁忙期以外は漁に出ていた。自分も小さい頃からおじいさんの漁を手伝ったよ」と百瀬漁協・組合長の平山次夫さん。網にかかった魚を丁寧に外すとほめられた。漁の後は手に魚の匂いがつくため、学校へ行くのに気が引けたという。

    百瀬漁協には入札がなく、漁師と買い手が直接やり取りする相対(あいたい)方式だが、漁獲量が多い時は、一般人も漁協から買うことができる。特にこの地域の人達は湖魚好きが多く、1kg、2kgと購入されることもあるそうだ。

    今年は氷魚(ひうお、コアユの稚魚)が久しぶりの豊漁。12月初旬から活魚(河川放流・養殖用)として獲りはじめ、その後、鮮魚として3月頃まで漁獲される。透き通った身体は美しいが、そのままだと翌日には溶けてしまうデリケートな魚だ。

    「氷魚は子供だけど、アユの味がしっかりするし、柔らかいので小さな子も食べられる。少し大きくなった、3月初め頃には、大きく成長して我が家の味付けでアユの佃煮として食卓に並ぶ」と平山組合長。

    漁協で事務担当する中川美千代さんに獲れたばかりの氷魚を釡揚げにしていただいた。ほんのり塩味でやわらかく、アユの風味と旨味が凝縮されており、いくらでも食べられる。何匹分のアユを食べたのか・・・贅沢な冬の味覚である。
    • 百瀬漁業協同組合
    • 百瀬漁業協同組合

    百瀬漁業協同組合

    住所:高島市マキノ町知内2033-12
    TEL:0740-27-0161

  • 食べる湖魚民宿 吉平
    野﨑和吉さん

    湖魚民宿 吉平 野﨑和吉さん
    - 民宿で旬の湖魚を美味しくいただく -
    「雄大な自然があふれるこの地ならではの旬の湖魚を、是非この地に来たのだからじっくりと美味しく味わっていただきたい」と湖魚民宿吉平の二代目・野﨑和吉さん。

    マキノ町知内は、文化庁から「高島市海津・西浜・知内の水辺景観」として重要文化的景観に選定されている地域で湖岸の石積みや共同井戸、伝統的なヤナ漁など、多様な水文化が今も息づく。湖魚民宿吉平は、その知内で漁師だった先代が「さまざまな漁法で獲ってくる湖魚や川魚を普段あまり食べることのない方々にも食べてもらいたい」と民宿をはじめて約40年になる。

    「民宿を始めてからは、魚を獲ってくるのは先代、朝獲れの新鮮な魚を腕を振るって料理をするのが自分。数年前に先代が漁師を引退してからは、お客様対応はもちろん、魚の仕入れからすべて一人でやらなければならないので大変ですよ」と野﨑さんはいう。

    テーブルの上には季節ごとに獲れる湖魚を一品一品時間と手間をかけて調理した料理が並ぶ。

    「氷魚の釡揚げ」は氷魚をさっと塩水で茹で、シンプルだが身はしっとり舌触りはなめらかで熱いご飯にたっぷり乗せて食べると絶品。「コアユの天ぷら」はさくっとした衣の中からアユの香とともに味わいが口いっぱいに広がる。その他にも「イサザの小鍋」、「ハス塩焼き」、「湖魚刺身」など、様々な料理で季節ごとの「びわ湖の幸」が堪能できる。

    「魚は獲れる時も獲れない時もあるけれど、お客様にはその季節その時に獲れた新鮮な魚を美味しく食べてもらいたい」。
    日帰りの食事や宴会、法事にも利用できるので、お客様へのおもてなしの心遣いを持った湖魚料理をぜひ味わってほしい。
    • 湖魚民宿 吉平
    • 湖魚民宿 吉平

    湖魚民宿 吉平

    住所:高島市マキノ町知内2017-1
    TEL:0740-20-5536(要予約)

  • 買う古源
    五代目 古川喜一さん

    古源 五代目 古川喜一さん
    - アイデア溢れる専門店のコアユ -
    「創業は明治30年代後半、農家でしたが、魚が獲れたので加工を始めたと聞いています」と古源・五代目の古川喜一さん。湖岸から徒歩30秒という立地で、代々、湖魚の佃煮を作っている。

    「『古源』という屋号は三代の名前、古川源二から。昔は十数面の池で養殖も行っていましたが、今は佃煮専門に製造しています」。

    古源の佃煮は食品添加物を加えず、自然の味を活かす製法。魚が獲れた時に加工し、木箱で冷凍保存する。代表的な商品は「紅葉煮」。コアユの佃煮だが、三代目が色と味にこだわり、ほんのり赤みのある仕上げになったことから命名した。四代目の父もアユをパイで包む「アユパイ」を試作するなど、新商品への挑戦も続けており、受賞歴もある。

    「ネット販売はせず、口コミで広がったお客様と地元の小売店での販売が中心。家族経営なので」と控えめな喜一さんだが、同業の地元の先輩や同世代と事業展開について熱く語り合うこともあるそうだ。子持ち鮎昆布巻き、大鮎甘露煮、いさざ湖恋味(これみ)など、琵琶湖のそばで受け継がれた味を是非お試しください。
    • 古源
    • 古源

    古源

    住所:高島市マキノ町知内1042
    TEL:0740-27-0051

高島市 その他の「びわ湖のめぐみレポート」

> 一覧ページに戻る

Page Top