魚のゆりかご水田米

魚のゆりかご水田米

魚のゆりかご水田米

魚のゆりかご水田米

滋賀県では、排水路に設置した魚道をとおって田んぼにのぼった魚が、田んぼで産卵・繁殖している状況を確認するとともに、農薬・化学肥料を通常の50%以下に減らして栽培する"環境こだわり農業"を実践し、かつ、除草剤を使用する場合は、水産動植物(魚類、甲殻類)に影響を及ぼすとされている除草剤を除いたものとするなど、魚にやさしい田んぼでつくられたお米を「魚のゆりかご水田米」として認証しています。
平成27年度には、県内5地域、約74ヘクタールで「魚のゆりかご水田米」が栽培され、県内の一部の農協直売所や、スーパーなどで販売されるとともに、一部の小学校給食でも提供されています。
生産者は、農薬や化学肥料を通常の50%以下に減らすことはもちろん、環境保全のためにさまざまな工夫を重ね、さらに、魚が田んぼで産卵・繁殖できる環境を保つために、通常より手間ひまをかけて、琵琶湖にも魚にも、そして人ひとにもやさしい農業に取り組んでいます
「魚のゆりかご水田米」を購入し、食べることが、こうした生産者を応援し、そのことが魚や琵琶湖を守ることにつながります。みんなで、かけがえのない"国民的資産"である琵琶湖を守っていきましょう!

琵琶湖と田んぼと魚の関係

かつて、琵琶湖とその周辺の田んぼは水路でつながり、魚は自由に行き来していました。産卵期、大雨が降ると、ニゴロブナやナマズなどは琵琶湖から水路をとおって田んぼにのぼって産卵。ふ化した稚魚は、エサとなるプランクトンが豊富で外敵が少ない田んぼですくすくと育つ...まさに田んぼは「魚のゆりかご」としての役割を持っていました。さらに、稚魚はしばらくすると琵琶湖へくだり、そこで大きく成長して親となり、産卵のために再び田んぼに戻ってくる、という生活を繰り返していました。
昭和40年代以降、ほ場整備や湖岸道路の整備が進み、田んぼでの生産性の向上や農家経営の改善、あるいは交通の利便性の向上が図られましたが、このことにより琵琶湖と田んぼの連続性が失われ、魚が田んぼにのぼりにくい環境となってしまいました。

昭和40年ごろまで

昭和40年頃の図

現在

現在

水田を魚の産卵・成育の場としての再生に向けて

そこで滋賀県では、平成18(2006)年から、琵琶湖と田んぼの間を魚たちが行き来でき、産卵・繁殖していたかつての機能を回復させるために、人や生きものが安心して暮らせる田んぼを取り戻す取組「魚のゆりかご水田プロジェクト」を進めています。
平成27年度には、県内27地域、約127ヘクタールで取り組まれました。
また、「魚のゆりかご水田」は、子どもたちの環境学習の場としても活用され、小学生を対象とした稚魚つかみや生きもの観察会なども行われています。

魚道設置による田んぼと水田の落差解消

産卵できる!

魚のゆりかご水田実施箇所の推移

実施地域図
  • 魚道づくり
    地域で魚道づくり
  • 魚道
    魚道の様子
  • ナマズ遡上
    ナマズの遡上
  • 魚道観察会
    魚道での生きもの観察会