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2017年12月の特集 味噌【産地レポート】味噌

産地レポート 味噌

北比良は米の産地。琵琶湖西岸の比良山系からの豊かな山水の恵みを受けて育った米で作った麹と地元産の大豆で丁寧に手づくりした米味噌は、まろやかで甘く優しい、おふくろの味。昭和42年から50年間、味噌を作り続けている北比良グループ代表の澤春江さんにお話を伺いました。

準備万端で意気揚々と、取材に臨む澤春江さん。
準備万端で意気揚々と、取材に臨む澤春江さん。

現在、93歳。気づけば味噌を作り続けて50年経っていました。

「23歳のときに北比良にお嫁に来て、あっという間に70年経ちました」という澤春江さん。
北比良グループは、昭和41年にできた農協の主婦農業学校で2、3人の主婦が稲作や野菜作りの勉強をしていたのが始まりだそうです。翌年の昭和42年には25名の会員を募ってグループを発足、「地元食材で地域の食を支える活動」の一環として、本格的に味噌づくりを始めました。

「当時、減反政策で多くの農家が水田に大豆を作付けしていました。滋賀県は近江米の産地なので地元の豆と米を使って味噌づくりをしようと、5、6人のメンバーで奈良まで味噌づくりの見学に行ったんです」。

北比良グループが手がける「地元のお母さんたちによる地元の米と大豆を使った手づくり味噌」は好評で、旧志賀町が大津市に編入されるまでの約10年もの間、町内4つの学校給食に使われていたそうです。
「とても忙しく活動していましたが、メンバーの高齢化が進むにつれ活動が困難な時期もありました。そこで、平成14年に新しくメンバーを募り、若い人に入ってもらいました。現在、メンバーは7人いて、味噌づくりは私を含めて3人が担当しています」と澤さん。

澤さん(中央)と藤田さん(右)、伊藤さん(左)
「親子ほどの年齢も違う仲間の優しさに支えられて、毎日楽しく働かせてもらっています」と話す澤さん(中央)と藤田さん(右)、伊藤さん(左)

味噌は温度が命。この地域の気候を熟知しているからこそ、気を遣います。

味噌づくり歴50年。「毎日欠かさず日記をつけているから、だいたい去年の今頃どうしていたかわかる」という澤さんの頭の中には、北比良の一年の気候やそれによって変化する味噌の出来など、すべてデータとして50年分インプットされているそうです。

「だからこそ、季節の変わり目など急に冷えた夜は気が気でない。空調で加工場の温度調整はしていますが、味噌の出来栄えはなぜか外気に左右されるんです。室内を同じ温度設定にしていても外が寒いと発酵が遅れますし、こればかりはどうしてもマニュアル通りにはいかない。温度が気になって眠れなくて夜の10時にひとりで加工場に来ることもあるんですよ。本当に味噌づくりは命がけ(笑)」。

「味噌は生き物」なので、かけた愛情と手間がすべて伝わるといいます。「50年前からすると機械も電気もありますし、ずいぶん便利になりましたが、味噌づくりに関しては経験しないとわからないことがたくさん。すごく頭を使います。私自身、今でも勉強、勉強の毎日です」。

平成17年11月に活性化施設「手づくり工房 比良の里」がオープン。
平成17年11月に活性化施設「手づくり工房 比良の里」がオープン。翌年1月より北比良グループが使用しています。

北比良の自然、気候、人... 北比良のすべての恵みから生まれた味噌

現在作っている味噌の種類は、比良味噌、比良倍麹味噌、比良青豆味噌の3種類です。
米は洗って一晩水に浸けてから蒸し、人肌に冷ましてから麹菌をつけて発酵機で手返しをしながら2日間管理。大豆は洗って一晩水につけて、圧力鍋で約1時間蒸します。
麹と塩、冷ました煮大豆、「あめ」と呼ばれる大豆の煮汁を混ぜてミンチ機にかけて樽に仕込み、10ヶ月から1年かけてグループのメンバーに見守られながらじっくり熟成させます。「塩の量は大豆の量に比例するので、倍の量の麹を入れた倍麹味噌は減塩になり、まろやかで甘みのある味わいになります」と澤さん。

今後の北比良グループと味噌づくりについて伺うと「味噌づくり50年の経験を次の世代に受け継ぎたいですが、まだまだ味噌づくりに責任も感じています。ここで作られる味噌は、北比良で育った米や大豆、気候、人...この地のすべての恵みによるもの。毎日、寝る前に神様に感謝しています。やりがいを感じるのは、味噌を食べた人が『美味しかった』と言ってくださること。本当に嬉しくて、まだまだ頑張らなくちゃと思いますね」。

味噌は、JR湖西線比良駅前にある「ほっとすていしょん比良」のほか、農協グリーンファームや道の駅「びわ湖大橋米プラザ」と「妹子の里」、その他イベントでも販売しています。

澤さんの指導を受けながら味噌づくりに励む伊藤さん「私も93歳まで続けられるかしら」
澤さんの指導を受けながら味噌づくりに励む伊藤さん「私も93歳まで続けられるかしら」

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