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トップページ産地レポート4月の特集 大中のミニトマト 産地レポート

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2017年4月の特集 大中のミニトマト【産地レポート】大中のミニトマト

まん丸くて、赤い宝石のように輝くミニトマト。
サラダのアクセントや、お弁当にも大活躍する人気者です。
中でも、ジューシーで格別の甘さをほこる「大中のミニトマト」は、
大中の地下水の豊かな土地で育てられています。
今回は、東近江市大中で20年以上にわたりミニトマトの栽培を続ける
石神隆正さんにお話を伺いました。

糖度9.5!甘さが自慢のミニトマト

石神さんの手の中で、ツヤツヤと輝くとれたてのミニトマト!
石神さんの手の中で、ツヤツヤと輝くとれたてのミニトマト!

「大中のミニトマト」が美味しい!と言われるいちばんの理由は、その甘さ。通常の大玉トマトで糖度5、一般的なミニトマトで6~7と言われる中、大中のミニトマトはなんと糖度9.5にもなります。甘さの秘訣は、トマトのことを考えてしっかりと栄養を与えることと、収穫のタイミング。苗木にはもちろん、葉っぱにも、甘みをつくり出すアミノ酸や糖分の入った栄養をかけてあげるのだそうです。

まっ赤に熟した実から収穫します
まっ赤に熟した実から収穫します

スーパーに並んでいる大玉のトマトは、まだ青いうちに収穫して、全体が赤くなってきたら店頭に出すのが通常ですが、大中のミニトマトは"完熟で収穫"。「実に十分な養分がいって、赤くなってからとるから、甘い」と石神さんが教えてくれました。逆に、収穫から3日目を過ぎると、甘みが低下していくのだとか。これは知らなかったので驚きです。完熟のミニトマトを買ったら、3日以内に食べるようにしましょう!

収穫期間は、ほぼ1年中

一帯にガラスのハウスがずらりと並びます
一帯にガラスのハウスがずらりと並びます

お話を聞いていて、再び驚いたのが、収穫期間の長さ。大中のミニトマトは、秋、冬、春(10~7月)はガラスのハウスで、夏(7月~8月中旬)は少し離れたところに作ったビニールハウスで栽培されています。つまり、出荷がないのは1年のうち約2ヶ月だけ。

広いハウス内を、カートで移動しながら収穫します
広いハウス内を、カートで移動しながら収穫します

1つ1つ手でとるのが、石神さんのこだわり
1つ1つ手でとるのが、石神さんのこだわり

「収穫量が多いと、えらいけど嬉しい」と笑う石神さん。ミニトマトの栽培は、石神さん、奥さん、息子さんのご家族3人でされているのだそうです。収穫は、ハサミや機械を使わず、1つ1つ手で行われます。

「ハサミで切ると、パックに入れた時に切断面がお互いを傷つけるから」。大切に育てたミニトマトを、できるだけ良い状態で食べる人に届けたい、という石神さんの思いが伝わってきました。

ハウスの中では、ミツバチがお手伝い

ハウスの中央に置かれた巣に、忙しく出入りするマルハナバチ
ハウスの中央に置かれた巣に、忙しく出入りするマルハナバチ

ハウスを見せていただいて気になったのが、目の前を自由に飛びまわるミツバチ。「マルハナバチ」という種類で、1つのハウスに50匹ぐらい放されているそうです。目的は、ミニトマトの受粉のため。「昔はホルモン剤を使っていたけど、農薬を減らすために蜂を使い始めた」のだそう。結果、使用する農薬は、昔と比べて半分以下になりました。

驚くべきミニトマトの成長速度!

「あっという間に天井まで届くから」と伸びた枝をカットする石神さん
「あっという間に天井まで届くから」と伸びた枝をカットする石神さん

ミニトマトの栽培は、「毎日同じことを繰り返す」そう。朝から午前中に収穫、午後からは木の手入れなどを行うというのが、大まかな1日のスケジュールです。それにしても、1棟あたり2反(2000㎡)のハウスが5棟。かなりの作業量です。おまけに、ミニトマトの木は1週間で30cmも伸びるのだとか!「実はとりやすいように、下になるようにしているから、下の葉は取っていかないと実に日光が当たらなくなる」一方で、「葉を取り過ぎると、光合成が減って実に栄養がいかなくなる」という絶妙なバランスを保ちながら栽培されています。収穫が終わった枝は上へ、新しく花がついた枝を下に持ってくる。つまり、木をロール状にぐるぐる回しながら、効率良く栽培できるように工夫されていました。

ミニトマトづくりのこれまでと、これから

黄色くてかわいいミニトマトの花。
黄色くてかわいいミニトマトの花。

ミニトマトをつくり始めて25年ほどという石神さん。つくり始めた理由を伺うと、「もう忘れた!」と豪快に笑いながら答えてくれました。「トマトといえば、昔は大きいトマトのイメージ。当時、ミニトマトは珍しかったかもなぁ」と懐かしそうに教えてくれました。最初のうちは、語感が馴染みやすかったためか「プチトマト」と呼んでいたそうですが、これは現在もミニトマト全体の愛称としてよく聞かれます。

ハウスには、何メートルも先まで一直線にミニトマトの木が植えられています。
ハウスには、何メートルも先まで一直線にミニトマトの木が植えられています。

「もう20年以上もやってるから、大変なことなんて無い」という石神さん。それでも、今年は植えて1ヶ月で苗に病気が発生し、全部抜いて植え直したのだそうです。長年やってきたけど、「こんなのは初めて」。ハウスの隙間から入ってくる虫が媒介する病気だそうで、「0.4ミリのネットを張っているけど、それでも入ってくる」のだとか。ミニトマトには、病気に強い品種や育てやすい品種もあって、石神さんは、いろいろな品種で毎年試作をされています。

「今のこの品種を作っているのは味が良く、安定して収穫できるから」。これからの目標は、「収穫量を増やすこと」。ミニトマトづくりを息子さんに引き継ぎながら、「今は1棟のハウスで年間12~14トン、これを16トンにしたい」と話してくださいました。大中の広大な自然の中で、世代を超えてつくり続けられるミニトマト。その未来も楽しみです。