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2017年5月の特集 アスパラガス(彦根)【産地レポート】アスパラガス(彦根)

産地レポート ここでつくる!アスパラガス

甘くてシャキシャキ、アスパラ好きにはたまらない

甘くてシャキシャキ、アスパラ好きにはたまらない

グリーンアスパラをポキポキ折って、「食べてみて」と勧めてくれるのが、滋賀県彦根市薩摩町(さつまちょう)のアスパラ生産者・福原勉さん。取材スタッフ一同、その場でグリーンアスパラを生でいただきました。「甘~い。シャキシャキした食感がおいしい」と、その甘さに驚きの声があがります。別のハウスでは、紫アスパラを「これは梨みたいやで」と渡され食べてみると、「サクサクして、梨みたいな食感! グリーンアスパラよりも甘いかも!?」とスタッフ。アスパラ独特の苦みや渋みがなく、甘さの強い、シャキシャキとした食感が福原さんの作る自慢のアスパラです。
「節と節の間が長いのはやわらかいな。頭部がしまって、ねじれているものを選ぶといいよ」とおいしいアスパラの選び方を教えていただきました。

節と節の長さがおいしさのポイント。
節と節の長さがおいしさのポイント。

頭部が閉まってブツブツのないものがおいしい。
頭部が閉まってブツブツのないものがおいしい。

グリーンアスパラの収穫は春と夏

皆さんが食べているアスパラは、実は新しく出てきた芽の部分で、筍と同じイメージ。アスパラは苗を植え付けてから1年目、2年目は収穫をせずに株を生長させ、3年目の春に出た芽から収穫が始まります。そして芽を全部収穫せずに一部を残して生長させることで、次の年もおいしいアスパラが芽を出し、なんと10年近くも収穫ができる野菜です。そんなアスパラを育てるのに、砂地の多い土質の薩摩地域はもってこいの場所です。
その地で、福原さんは現在、露地栽培(畑で育てる栽培)と13棟のハウス栽培でグリーンアスパラを中心に、ホワイトアスパラや紫アスパラを育てています。そして、色鮮やかなアスパラの収穫は春と夏の年2回行われます。

その日の状態を見て手作業で収穫。成長が早いと1日で15cmも伸びるときも。
その日の状態を見て手作業で収穫。成長が早いと1日で15cmも伸びるときも。

2ヵ月かけて丹精込めて土づくり

アスパラは、一度植えると10年近くは同じ株から継続して収穫できる野菜。そんなアスパラをおいしく育てる秘訣を聞くと、「土台である土づくりやな。何でも土台がしっかりしてないと上手くいかない」と10年間の土台となる土の大切さを語る福原さん。冬に2ヵ月かけて、水稲3反分(3,000m²)のわらやもみがら、20トンのたい肥、木、葦(よし)などを土に混ぜて丹念に耕します。この土づくりは、後々、アスパラの生長や味を左右するため、手も気も抜けません。福原さんは、常に試行錯誤をされ、取材時も肉用牛と乳用牛のたい肥では、どちらが土に良いのかを試されていました。「基本は変えずに、やり方を変える。いろんな発見があるからおもしろいんや」と、研究熱心な福原さん。

有機物を混ぜて耕しているそう。微生物が腐りにくい有機物を分解して土壌を作り、良質な土を長い間保ってくれる。
有機物を混ぜて耕しているそう。微生物が腐りにくい有機物を分解して土壌を作り、良質な土を長い間保ってくれる。

「1年目は、株の養成が勝負や」

1年目に株の養成に失敗すると、この先ずっと失敗するとの教訓から、1年目はとりわけ力を入れています。弱い株は育ちにくく、病気にもかかりやすいので。株から生え始めた茎を見極め、弱そうな茎はどんどん間引きます。「とにかく防除(病害虫を防ぐこと)防除の繰り返しやな。あとは草を生やさないこと。朝4時から夜8時まで作業しているけど、その半分は栽培の管理やね。気を抜けない作業ですわ」。

茎の間引き、下枝の処理、茎葉の刈り取り作業をこまめにする福原さん
茎の間引き、下枝の処理、茎葉の刈り取り作業をこまめにする福原さん

生長中のハウスでは、人の背丈ほどもある葉っぱのような茎が丸く刈られ、まるで小さな森のように。太陽の光をたくさん浴びて光合成しやすいように、上部の茎は支柱で整え、風通しをよくするために下部の茎はすっきりさせるなど、隅々まで手入れが行きとどいた印象を受けます。

ふさふさした葉っぱに見えますが、実は茎が葉状になったもので、光合成をします。
ふさふさした葉っぱに見えますが、実は茎が葉状になったもので、光合成をします。

取材時も草を見つけたら、サッと刈り取る福原さん。アスパラは大量に肥料が必要なので雑草に肥料をとられないようこまめな草刈りは欠かせないそう。水も与えすぎないように管理しながら散水します。防除、草刈り、水やり、間引き、支柱の手入れなどなど、これら大量の作業を毎日毎日こなすからこそ、おいしいアスパラが育ってくれるのです。

ホワイトアスパラの特産化を目指して

昭和20年~40年代、薩摩町のお隣の新海町(しんがいちょう)を中心とした地域は、缶詰工場があるほどのホワイトアスパラの一大生産地で、最盛期には作付面積25ヘクタール(東京ドーム5個半程度)であったが、現在では全盛期の20分の1程度にまで落ち込んでいます。
しかし、平成27年から、彦根市で「ホワイトアスパラガス復活プロジェクト」の取組が始まり、福原さんの新しい挑戦が始まっています。
ホワイトアスパラは生長する前に光を遮光(しゃこう)することにより作られます。通常、ホワイトアスパラは太陽の光があたらないように茎の上に土を盛って栽培する「土盛り」が主流ですが、福原さんはハウスの中を遮光シートで覆うことで、真っ暗な環境を作っています。また、スーパーウエルカムという品種を新たに試してみると、2月下旬から収穫が始まり、4月まで収穫できたそうです。
「ホワイトアスパラの復活は、まだ始まったばかり。いろいろ試したことでいろんな発見があったので、今後の改善にあてたい。先代がグリーンアスパラを極めたので、私はホワイトアスパラを極めたい」と語る福原さん。夢に向けて、コツコツ考え、トライして、改良を重ねていく、福原さんの挑戦はまだまだ続きます。

露地栽培の畑。「ここをアスパラの観光農園にして、もっとアスパラのことを知って欲しい」。
露地栽培の畑。「ここをアスパラの観光農園にして、もっとアスパラのことを知って欲しい」。

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