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日野菜

<日野菜(ひのな)> ~訪ねた人 JAグリーン近江「日野菜生産部会」部会長 岡さん~

味良し、姿良しの、滋賀が誇る伝統野菜です。 桜漬はもちろん、生でもてんぷらでもおいしいですよ!

日野菜発祥の地、鎌掛で日野菜栽培の伝統を守る岡さん

発祥の地で、本来の味を栽培

滋賀県には伝統野菜が数多くありますが、最も有名なのが日野菜でしょう。ほっそりした姿、赤紫と白の美しいコントラストが印象的で、日野菜の甘酢漬けは淡いピンクをしているために「桜漬」とも呼ばれ、全国的にも広く知られています。

日野菜はかぶの仲間で、県内でも各地で生産されていますが、その名が示すように蒲生郡の日野町が発祥の地。今から約500年前の室町時代、時の領主だった蒲生貞秀が日野町鎌掛(かいがけ)にある観音堂に詣でた時に発見した、と伝わっています。その後、日野菜は蒲生氏の転封で伊勢や会津に、さらに日野商人(近江商人)の手によって長野や新潟、四国などへも広まっていきました。とはいえやはり、日野町でとれる日野菜が姿や色が最も美しく、味も良い、といわれています。

「日野菜は、この、かぶの部分の赤紫と白がくっきり分かれているのがいいのですが、色合いはこの鎌掛がいちばん美しく出る、といわれています。理由としては、まず原種の種から栽培していること。原種の日野菜は赤紫の部分が濃く、独特のほろ苦さがあります。
   そして何より鎌掛特有の土壌や気候ですね。砂地で通水性が良く、また霧が多く夜露が葉につくという気候が栽培に適しているらしいんです」

そう教えてくださるのは、日野菜の故郷である鎌掛で日野菜を栽培しているJAグリーン近江の日野菜生産部会部会長の岡さん。
ちなみに日野菜の原種は「深山口日野菜原種組合」によって守られており、JAグリーン近江の日野東支店で集出荷対応している日野菜は、すべてこの原種から生育されています。

ほっそりと美しい姿が魅力的。
かつては太く曲がっていたが日野町で長年にわたり改良が加えられ、現在のような細長い姿になった。

害虫や病気、獣害との戦い

日野菜は10~翌1月末くらいまで収穫でき、旬は10~12月。取材に訪れた11月は収穫真っ盛りで、畑には赤紫色の葉脈をした日野菜の葉がふさふさと茂っていました。

「日野菜は種まきから50~60日で生育し、ゆっくり生育するほどに赤紫の色合いがきれいに出るんですよ。その間、3回ほど間引いて100円玉か500円玉くらいになるまで成長させます。注意が必要なのは、やはり根こぶ病などの病気や害虫の被害ですね」と、日野菜を間引きながら説明してくださる岡さん。

(左)収穫まで3回ほど間引き作業をする。
(右)日のあたる部分がきれいな赤紫色になる。

なかでも怖いのはキスジノミハムシという害虫で、この虫にやられるとかぶの赤紫色が下の白い部分にもまわり、日野菜特有の美しさが損なわれるのだとか。防除のため、毎日のこまめなチェックが必要だといいます。

「あと、獣害対策も大変。猿やイノシシ、シカまでも日野菜を食べにきますから」
そういわれて見渡せば、確かに畑を守るように高さ2mほどの獣害対策用の網のフェンスが張り巡らされています。余談ですが、滋賀県では近年農作物の獣害被害がひどく、山間の畑や田でこのような防獣フェンスを見ることができます。目の前に山が迫っている岡さんの畑も例外ではなく、毎年頭を痛めているのだとか。

多彩な料理や加工品で新たな魅力を発信中

栽培に簡単な野菜ではないとはいえ、今年も立派に育った日野菜を前に岡さんも満足げな表情。従来は漬物ぐらいにしか使われなかった日野菜ですが、最近では紅白の姿がおめでたいと、縁起物として婚礼料理に添えられるなど、いろいろな食べられ方もしているのだとか。 生で食べてもおいしく、ほろ苦くピリッとした味わいは原種ならではの味わい。また、小ぶりの日野菜(ミニ日野菜)の焼野菜やてんぷらも人気なのだそう。

「何百年も続いてきた日野菜ですからね、多少の苦労はあっても育てる喜びは勝ります。特に発祥地である鎌掛で栽培している者として責任もありますから。近頃では20代や30代の若者で日野菜を栽培してくれる農家も出てきたんですよ。私が所属する日野菜生産部会も栽培者の高齢化に悩んでいたので、うれしい限りです。
また、JAグリーン近江でも、定番の甘酢漬けのほかに、ぬか漬けや日野菜ドレッシングなどを発売して、日野菜の可能性を探求しています。ぜひ一人でも多くの人に、私たちが守り伝えてきた日野菜を味わってほしいと思います」

赤紫と白のコントラストがおめでたいとされ、最近では洋風にアレンジされて婚礼料理などにも用いられる。

日野菜の購入場所

日野町栽培の日野菜は町内のJAや直売所で。加工品は県内の食料品店や量販店などで販売。
※日野菜に関するお問い合わせは、JAグリーン近江日野東支店へ(電話:0748-52-2212)

(取材日 2011年11月14日)

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