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大豆

<大豆(だいず)> ~訪ねた人 「澤農園」澤吉隆さん~

機械化と研究・工夫を重ね、品質向上と生産性アップを実現。 より楽しく、永続性のある農業経営を目指しています。

収穫間近の大豆畑(タマホマレ)で。澤農園の澤吉隆さん(右)とお父さまの光三さん(左)。

3種類を12月中頃まで収穫

豆腐や味噌、湯葉、醬油など。日本人にとって大豆はなくてはならない作物の一つです。滋賀県は、近畿で最も大豆栽培が盛んな県で、全国的にみても、作付面積・収穫量ともに10位前後に入っています。

澤農園は、湖東の甲良町で、大豆約40~45ha、稲約33~35ha、小麦約25haを栽培している専業農家。お話をうかがった11月中旬は、稲の収穫が終わり、大豆の収穫真っ盛りのころ。

「うちは、10年前までは大豆は10haくらいで、稲や小麦が中心でした。でも、小麦は11月から翌6月までが栽培期で、残りの6月から11月まで田は休んでいる。周囲に休耕している田がたくさんあったので、じゃあ、この期間の田を借り受け、大豆栽培をしようということになりました。今ではうちでいちばん作付面積が多い作物です」と、農場主である澤吉隆さん。

「湖東地域は、時雨はありますが、12月中頃まで収穫できるのがありがたいですね。うちでは10月末から12月中頃まで、早生のオオツル、中生のタマホマレ、晩生のフクユタカを生育順に収穫しています。」

選別されたばかりのオオツル。粒がそろい、艶やかで美しい。

機械化で人件費を削減

澤農園は現在、吉隆さんとお父さまの光三(みつぞう)さん、お母さま、そして従業員1人で運営されています。実は、吉隆さんが大学を卒業し、「農業を継ぎたい」といいだしたとき、光三さんは「農業は先が不安」と反対したのだとか。10年ほど前のことだといいます。対して吉隆さんの考えはまったく逆でした。
「農業はやり方しだいで事業としてじゅうぶん成り立つはず。可能性を感じていました」

その信念のもと、農業に打ち込んだ吉隆さんは、次々に期間借地で田を借り受け、農地を広げて本格的な経営に乗り出します。その第一弾が、機械化。現在、澤農園にはトラクター6台、大豆用(汎用)コンバイン3台、稲・麦用コンバイン4台があります。

また、限られた人員で広い田を耕作するため、生育時の病気や害虫の防除も徹底研究。あれもこれも行っていたら手間もコストもかかります。そこで直接大豆の収量減に関係する害虫に狙いを定め、ピンポイントで防除を実施。農薬も、直接メーカーの人に田に来てもらい、使用する農薬の効果や仕組み、時期を教えてもらいながら最小限の種類と量を散布。その努力のかいがあり、低農薬・減化学肥料の作物に与えられる滋賀の『環境こだわり農産物』に認証されています。

(左)収穫を待つタマホマレ。軸の水分が完全に抜けたら刈り取りどき。
(右)大豆の根には丸い根粒菌が付いている。根粒菌は空気中の窒素を吸収、豆に栄養を与えてくれる大切な菌。

工夫と研究で生産性アップ

さらに澤農園では、収穫した大豆を乾燥し、選別、袋詰め出荷までも一貫して行っています。

「大豆は、上質なものから順に、1等、2等、3等、合格、不合格と分けられます。大豆の品質は、変形している、艶がない、色が良くないなど、まず見た目で選別されるんですね。特に艶は収穫の仕方が大事で、この時にコンバインが土をかみ、大豆と一緒に土を巻き込んでしまうと選別で土ぼこりにまみれてしまう。結果、色艶がなくなるのはもちろん、最終的に豆腐を作る段階にまでその影響が及んでしまうんです。 うちは全量をJAに卸していますが、その一部が豆腐会社との契約になっており、商品になる最終段階での大豆の良し悪しを直接聞くことができるんですよ。大豆生産農家としてどのあたりに注意したらいいかがわかり、勉強になりますね」

驚くのは、大豆の乾燥機や選別機など、倉庫内の機械や作業道具も吉隆さんが自分で改造し、使い勝手がいいように工夫されていること。栽培法といい、事業運営といい、かなりの研究熱心であり工夫上手です。

「作物を育てるのが好きなんでしょうねぇ。いろんな人と情報交換して、どうすればよりうまく栽培できるか、自分で想定して試すのが面白い」と、にっこり。

澤農園のこのような取り組みは着実に実績をあげ、『環境こだわり農産物』の基準を守りながら、平成19年度の収穫大豆は1等・2等の比率が8割を超えるという優秀な成績に。さらに高い労働生産性や先進的な技術が他の農家の模範になるということで、同じく平成19年、全国豆類経営改善共励会の大豆農家の部で農林水産大臣賞を受賞されています。

「農業というと、大変やな、といわれる。そんなイメージを変えて、農業は面白い、将来性がある、といわれるようにしたい。いずれはもっと従業員を増やし、永続的な会社組織として成り立つようにすることが私の夢。 いま、農業は国際化の波に揺れています。ただ不安がるのではなく、ではどうするのか、どんな方向性があるのかを探っていきたいと思っています」

大豆の乾燥・選別倉庫。悪い豆を仕分けたあと、大粒・中粒・小粒に選別していく。

お問い合わせ:澤農園(電話:0749-38-2804)

(取材日 2011年11月24日)

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