産地レポート2 なばな
「なばな」を地域のビジネスに
JAおうみ冨士ファーマーズマーケット「おうみんち」
滋賀県守山市にあるJAおうみ冨士ファーマーズマーケット「おうみんち」は、県内最大規模の直売所。ここでは生産者と消費者をつなぐ新たな農業ビジネスの創造も手がけられています。
そのうちの一つ「なばなおうみの会」の林浩太郎さんも、新しいビジネスを展開しようとしています。
「"なばな中心にがんばろう"という生産者の思いに、夢が持てると思ったので、声をかけたんです」
と話すのは「おうみんち」ファーマーズマーケット事業部部長の川端均さん。
「林さんのグループはまだ5人ですが、消費マーケット(市場)へ打って出ようという意欲を感じました。出口論から考えているんですね。単なる「なばな」の生産だけでなく、加工や販売を見据え、いわゆる6次産業の発想で農業を考えようとしています」
その発想から生まれたのが、二つの商品でした。
"なばな花咲ぜいたく煮"
「『なばな花咲ぜいたく煮』は、ずいぶん手間がかかっています。なばなの古漬けと生姜を醤油で炊いています。なばなの風味と食感を活かしつつ、生姜の風味も利いた、味わい深い商品になっています。ご飯のお供にぴったり。おうみんちでは好評をいただいています。」
「なばなの古漬けは、もともと林さんのご家庭で作られていました。今はそのレシピを基本におうみんちで漬けています。農業者が昔から作っていたものが、工夫次第で売れる商品になる。そういうお手伝いをしているんですね」
"乾燥菜の花"
「これはなばなをパウダー状にしたもの。そのまま使える商品と言うよりは、たとえばピザやパン、麺などの生地に練り込んで、鮮やかな色と風味を生かすことができる。こうした"素材"もお店に出して、飲食店や流通の皆さんに創作いただいております。いわばテストマーケティングですね。林さんのグループは、こうした私たちの考え方もご理解いただいて、積極的に協力してくださいます。このような小さな取組みの中から新しいビジネスチャンスが生まれると思います。」
単なる生産者ではなく、その先を考える視点があるから、未来が見えてくる。
ニーズを考えて生産するから、出口が見えてくる。
林さんのグループに若い農業者が集まってくるのも、こうした「先を見つめる姿勢」があるからでしょう。
川端部長はいいます。
「"おうみんち"は生産者の皆さんとお客様のニーズをつなぎ合わせて、新しいビジネスチャンスを作り出します。そういう私たちの機能を"農ディネーター"と自称しています。林さんたち生産者とともに、どんどん"成功事例"を作っていきたいですね」
◇守山市産なばなの問合せ先
JAおうみ冨士ファーマーズマーケット「おうみんち」