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トップページ産地レポート4月の特集 鮎河菜体験レポート

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鮎河菜体験レポート

鮎河菜は、鈴鹿山脈の山あいの小さな集落だけで栽培されている伝統野菜。
長い冬に耐えて生長した、春を呼ぶ味です。
地元の人は、鮎河菜を食べて始めて「春が来た」と実感するといいます。

山あいの集落で守り育てられた伝統野菜

ご家族
鮎河菜畑で。谷北さんと体験者のご家族。

甲賀市土山町の「鮎河」(あゆかわ:地元の人は「あいが」と呼ぶ)で作り続けられている鮎河菜。

実はこの野菜、滋賀でも知る人はそんなにいません。どれだけ珍しいかというと、今回の体験者のご家族は鮎河から車で約20分離れた同じ甲賀市なのですが「知らなかった」というくらい。

「それはそうやろなぁ。鮎河菜は自分の家用だけに作っとる野菜やから、ここで育っもん以外は、あんまり知らんやろ」
そう話すのは、今回の案内人の谷北さん。鮎河で生まれ育ち、鮎河菜の魅力を広めようという取組を始めておられます。

「とりあえず畑へいこか」という言葉で、谷北さん畑へ。山里の初春の畔道はツクシやフキノトウが顔をのぞかせ始め、6歳と3歳の子どもたちは「みつけた!」「家に持って帰る!」とおおはしゃぎ。「いいお天気ですねえ」「気持ちがいい」とお父さんとお母さんもピクニック気分。

黄緑色の葉っぱをふさふさ茂らせた鮎河菜畑の中に入れてもらい、鮎河菜を間近で見ることにしました。
「茎の部分をかじってみ」
との谷北さんのすすめで、ご家族で茎からパクリ。
「あ、甘いわ、不思議」とお母さんがいえば、
「歯ごたえがいいですねえ、葉っぱもおいしいですよ」とお父さんは1枚むしゃむしゃ。
子どもたちは...というと、食べてはいるけど複雑そうな顔。生野菜だから小さな子どもには難しかったな?では場所を変えて、待望の鮎河菜料理の試食といきましょう!

鮎河菜の収穫
「ちょっと収穫には早いけど、採ってみような」

はじめての鮎河菜どんな味なんだろう
「これが鮎河菜。どんな味なんだろうねえ?」

葉っぱの中の小さい花を探してみよう
「葉っぱの中に小さい花があるよ。探してみようか」

葉の中心にある花の蕾
葉の中心にある花の蕾。この茎が10cmほどとう立ちしてくると食べ頃。

葉っぱをむしゃむしゃ
葉っぱをむしゃむしゃ。食べられるかな?

おにいちゃんも食べてみる
おにいちゃんも食べてみる。

どんな料理にも合う甘くクセのない味

「遠慮せんと入り」と通された谷北さんのお宅の居間には、大きなコタツの上に谷北さんの奥さま手作りの鮎河菜料理がずらりと並んでいました。

鮎河菜は、漬物やおひたしで食べるのが一般的。漬物はシンプルに塩漬けで。それをおにぎりの中に混ぜるととてもおいしい。

谷北さんとこたつでまったり
左が谷北さん。
こたつでまったり。まるで本当の家族のよう。

さて、お味はどうでしょう?
「あ、おいしい! 甘味があって他のアブラナ科の野菜とはぜんぜん違います」とお母さん。
「クセがなくておいしいですねえ!この天ぷらなんか、歯ごたえがあるし、甘味もあるし。想像できないおいしさです」とお父さんも次から次へ箸が伸びます。

  • 鮎河菜の天ぷらと父
    「鮎河菜の天ぷら、歯ごたえと甘味があってうまいですよ!」
  • これ、どんな味かな?
    「これ、どんな味かな?」
  • いっぱい食べようねえ
    「いっぱい食べようねえ」
  • 父
    「おにぎり、鮎河菜の風味がきいてておいしい!お米もおいしいなあ」
  • 母
    「近くにこんな野菜があったなんて、ちょっと感激!」
  • 鮎河菜のおひたし
    鮎河菜のおひたし。
  • 鮎河菜の漬物
    鮎河菜の漬物。素材の味を活かし、シンプルな塩漬けが定番。
  • 鮎河菜の天ぷら
    鮎河菜の天ぷら。甘味が引き立ち、おいしい。
  • 鮎河菜入りのおにぎり
    鮎河菜入りのおにぎり。

鮎河菜は茎がいちばんおいしいから、と、茎の輪切りを持ってきてくれました。子どもたちにはマヨネーズ付きでサービス。
「甘いね」とおにいちゃん。
「おにぎり、もっと」と、弟くんは鮎河菜入りのおにぎりがお気に入り。「家ではこんなに野菜を食べないのに」と、お母さんはちょっとびっくりの様子。

「地元にこんな野菜があったなんて、ちょっと感激です。道の駅などで見かけたら、いろんな料理に使ってみたいと思います。炒め物もおいしそう」(お母さん)。
「いやあ、ほんとにおいしかった。ボキャブラリー不足で、おいしいとしかいえないのがくやしいんですが(笑)。でも、青くささのない野菜の甘味は、とてもうまかったです!」(お父さん)。

「4月中旬には川べりの桜も満開になる。その頃には、採り残した鮎河菜の黄色い花が咲いて、それはきれいやで。桜祭りもあるし、その頃にまたおいで」と谷北さんご夫妻に見送られ、家を出たご家族。
「実家に里帰りしたみたいやったな」という言葉が出るほど、山里のあったかいぬくもりに触れた鮎河菜体験旅行でした。

(取材日:2012年3月14日)