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産地レポート

湖北のいちごも、未来の生産者も、大きく育てていきたい。

極寒の地で、いちごを生産

松本靖夫さん

滋賀県長浜市湖北町にある「道の駅 湖北みずどりステーション」。その裏手の畑にビニールハウスが2棟並んで建っています。ここの生産者は松本靖夫さん(59歳)。現在、松本さんは「湖北苺出荷協議会」の会長を務め、この畑とは別の場所にもいちごハウスがあり、松本さんの経営総面積は約15アールとなっています。

ビニールハウス

いちご生産を始めたのは2002年。子育てを終えて仕事を探していた奥さんが県に相談したのがきっかけです。日照時間も短く、豪雪地帯にもなる湖北の地に、好適だったのが施設栽培のできるいちご生産でした。寒地でのいちご生産は不向きなように思えますが、実は、この寒さがいちごの甘さの決め手となるのです。

松本さんが育てているいちごの品種は、「章姫」(あきひめ)と「かおり野」

松本さんが育てているいちごの品種は、「章姫」(あきひめ)と「かおり野」。どちらも生食用で、直売所や滋賀県内の市場に流通しています。「章姫」は、口当たりがやわらかく、ほとんど酸味のない、甘い味わいが特長で、子供や女性に人気のいちご。一方「かおり野」は、その名が示す通りいちごのかおりが豊かな品種で、酸味と甘みのバランスがほど良いのが特長です。いちごの糖度は、一般的に7~9度くらいですが、「章姫」は10度以上もあるのです。

1月2月の寒い時期のいちごが甘くて旨い

1月から2月下旬にかけて収穫するいちごが一番甘い

「1月~2月頃のいちごが一番甘いんじゃないかな」と松本さん。ちょっと驚きです。いちごの収穫は春のイメージが強いのですが、昨今はハウス栽培なので、3月から翌年5月までの約15ヶ月間が栽培期間となります。3月~8月は苗づくり、9月中旬頃から苗の定植を行い、10月中旬頃から白い小さな花が咲き、ミツバチによる自然交配で順次いちごの実がなります。収穫は「かおり野」が11月から、「章姫」は12月から始まり、4~5回の収穫サイクルで5月いっぱいまで続きます。そのうちでも2回目のサイクルの1月から2月下旬にかけて収穫するいちごが一番甘いのだそうです。

その理由は、「冬場、この辺りは気温が低いから、ゆっくりいちごが育つ。通常は花が咲いて40日間で収穫できるけど、この時期は50~60日かかる。時間をかけて赤く色づくから、じっくりと糖度があがって甘くなるんやろな」と。こんな甘いいちごもこの周辺でしか食べられないのですが、朗報です。今、「湖北苺出荷協議会」では市場へ出荷し、量販店でも購入できるよう体制づくりを整えています。

湖北のいちご生産が増加!もっと知ってもらいたい

湖北のいちご生産が増加!もっと知ってもらいたい

その大きなきっかけとなったのが高設栽培の普及。ハウス内に入ると、やわらかな太陽光が降り注ぎ、その下で緑の葉っぱが勢いよく育っています。生い茂る葉っぱの中から白い小さな花が咲き、花の下の周辺に赤いいちごや生長途中の緑のいちごがぶら~りと垂れ下がっています。

現在、湖北のいちご栽培農家の多くは、この高設栽培を取り入れています。架台が腰の高さにくるので腰に負担がなく、土の中に埋め込んだ潅水パイプから水や肥料を1日1回自動散布できるので、露地栽培よりも作業が楽になり、新規栽培者も増えて、いちごの生産力があがっているそうです。「湖北苺出荷協議会」では、直売所や地元の市場での販売だけでなく、今後は新たな市場への流通ルートの拡大を目指しています。

土の中に埋め込んだ潅水パイプ

会長の松本さんは、「今は地域につくすことが目標です。高齢化にともない農業の担い手が少なくなってきているので、これからはいちご生産のなり手となる人材を育てていきたい。その基盤づくりが、やっとスタートしたばかりです」。将来的には湖北のいちごが県内だけでなく県外の市場へと出荷される日もそう遠くはないかもしれません。
他にも、ジェラートなどいちごの加工品も研究中で、試作を繰り返し商品化の検討も行っています。また、湖北独自の品種開発も手がけていきたいと意欲満々です。
熱い!「湖北のいちご」にこれからは目が離せません。

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