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2017年2月の特集 養豚の未来を担う【産地レポート】養豚の未来を担う

県内の養豚農家さんは今ではわずか5軒。
そんな中、父親の働く姿をみて「僕も手伝う!」と奮闘する高校生がいました。
自身の名前がついた「森本豚」をブランド化し
養豚業を盛り上げていきたいと親子三代で頑張る森本雄一さんと、
未来を担う期待の星、息子の祥太さんにお話を伺いました。

頼もしい後継者とともに、「森本豚」を全国へ!

森本養豚場二代目の森本雄一さん(左)と息子の祥太さん(右)
森本養豚場二代目の森本雄一さん(左)と息子の祥太さん(右)

全国的に知られる「近江牛」などと比べ、残念なことに県内でもほとんど認知されていない滋賀県産の豚肉。一時は「近江豚」として県内の養豚農家が共同出荷していたものの、20年前には20軒あった養豚農家は減り続け、現在はわずか5軒。東京よりも少ないというから驚きです。安価な豚肉は家計の強い味方で、食卓に登場する回数も牛肉より多いというのに、なぜ県内産の豚肉が広まらなかったのでしょうか?

学校が休みの日には積極的に豚の世話を手伝う、息子の祥太さん
学校が休みの日には積極的に豚の世話を手伝う、息子の祥太さん

森本さんの家では父の芳雄さんの代、昭和54年から現在の場所で養豚場を始めました。平成15年に父親の後を継ぎ、雄一さんも就農。そんな中、雄一さんの仕事の支えになっているのが息子の祥太さんの存在です。幼いときから豚舎で子豚と触れ合い、中学生のころには養豚の仕事に興味を持ったそうです。現在は八日市南高校の畜産班で豚だけでなく畜産全般について学んでいます。

畜産経営者交流会で、三日月知事の前でも堂々と自分の想いを発表する祥太さん。今後が楽しみです
畜産経営者交流会で、三日月知事の前でも堂々と自分の想いを発表する祥太さん。今後が楽しみです

祥太さんが通う八日市南高校の生徒らが企画する「八南レストラン」で提供された、森本豚と鹿肉を使ったオムバーグ。大好評だったそうです
祥太さんが通う八日市南高校の生徒らが企画する「八南レストラン」で提供された、森本豚と鹿肉を使ったオムバーグ。大好評だったそうです

昨年、祥太さんが書いた文章が毎日農業記録賞・高校生部門の優良賞に選ばれました。タイトルは『がんばる滋賀の養豚農家~森本豚を全国へ』。その中で、祥太さんは「若者がいない業界に未来はない。いつか森本豚を全国に流通させる」と大きな目標を語っています。

滋賀県産の豚肉市場を活性化したい!

5年前より県内に流通しだした『森本豚』。生産者の名前が入ったブランド名は全国でも珍しいそう
5年前より県内に流通しだした『森本豚』。生産者の名前が入ったブランド名は全国でも珍しいそう

本来、市場に出荷した豚は卸売業者を経て小売店に販売されますが、「近江牛」の産地で、肉じゃがやカレーにも牛肉が使われる文化圏の滋賀県内では、豚肉の消費がなかなか伸びず、県内で出荷しても県外に卸されるようになってしまいました。

周辺の宅地化や高齢化などにより、養豚農家の軒数が少なくなり「近江豚」の生産量の確保が難しくなったのを機に、森本さんは独自のブランド化に取り組みました。

ブランド豚として県内流通に成功!

手際よくワクチン接種していく森本さんの様子はまさに職人技!
生まれた子豚は生後25日くらいで離乳し、母豚と別の豚舎に移します。豚は本来怖がりな動物で、抱かれることも好みません。手際よくワクチン接種していく森本さんの様子はまさに職人技!

「この先はそれぞれの養豚場としての差別化が必要だと思った」と森本さん。食の安全に対する消費者の意識が大きく変化した今の時代なら、飼育方法へのこだわりも受け入れてもらえると思ったからです。その狙いが大手の精肉店にも受け入れてもらえ、「森本豚」の名前をつけて県内で販売されるようになりました。
「地元で売ってもらえるようになり、美味しかったと声をかけてもらえることが励みになります」。

1頭の親豚から約10匹の子豚が生まれます
1頭の親豚から約10匹の子豚が生まれます。成長具合に合わせて豚舎を何度か移動させながら115kg前後まで育てて出荷します。

疫病予防には細心の注意を払っています
疫病予防には細心の注意を払っています。飼料タンクも道沿いに設置し、養豚場内へ外部の車や人の立ち入りは必要最低限に。

森本養豚場の最大の特長は全てを自家生産していること。種豚をよそから仕入れたり、子豚を仕入れて育てたりすることもできますが、森本さんは種豚も自分達の手で繁殖し育てています。近江生まれ、近江育ちの雌雄豚から生まれた純滋賀県産豚です。また、飼料には肉の脂の質をよくするパン粉や飼料米を配合しています。豚の健康を気遣い、エサやり、豚舎の移動や清掃、適切なワクチン接種など、仕事量は限りがありません。

子どもたちに命の現場を知ってほしい!

老蘇小学校の子どもたちに地元の仕事として養豚業を紹介
老蘇小学校の子どもたちに地元の仕事として養豚業を紹介

豚を飼育する環境はどこでもいいというわけではなく、周りに臭いや騒音などの配慮をしないといけません。地域の理解や協力は必要不可欠です。森本さんは祥太さんが小学生だったころから、地元の老蘇(おいそ)小学校の農場見学を受け入れ、子どもたちに養豚業を知ってもらい、豚と触れ合う時間を作ってきました。また夏祭りには森本豚を使った豚丼を用意して、地元の人に喜んでもらっています。

生まれたばかりの子豚に子どもたちも大興奮
生まれたばかりの子豚に子どもたちも大興奮

夏祭りでは200食の豚丼がすぐに完売
夏祭りでは200食の豚丼がすぐに完売

「スーパーに並ぶ肉だけでなく、生き物が育つ現場を知ってもらうことで、『いただきます』の本当の意味に気づいてもらればと思っています」と森本さん。

近年、生鮮野菜や牛肉の価格は上昇傾向にありますが、豚肉の価格はあまり変動していません。これは森本さんを含む、養豚農家さんのコスト削減に対する日々の努力の現れに他なりません。今後、祥太さんのような若手の活躍が、明るい未来につながることを考えると楽しみですね。美味しく、安全な、県内産の豚肉を食べて、頑張る養豚農家の皆さんを応援しましょう!

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