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11月の特集 伊吹大根

滋賀県の最高峰、伊吹山。そのふもとの村々で作り継がれてきた伝統野菜、「伊吹大根」。 おろしでいただくとピリリとシャープな辛味が、炊いていただくと、きめ細かな食感と深いうまみが味わえる不思議な大根です。そんな伊吹大根に新たな可能性が見い出され、多くの商品が生まれています。

全国へ!途絶えかけた伝統野菜の今

伊吹山
雄大な伊吹山。標高は1,377m。

滋賀県の北東部、岐阜県との県境にそびえる、伊吹山。

観測史上最も雪が積もった世界記録(1927年(昭和2年)2月14日の記録で11.82m)を持つ県内の最高峰。そんな伊吹山の麓の村々には、古くから作り継がれてきた伝統野菜があります。

その名も、「伊吹大根」。


伊吹大根 大根おろし おでん
伊吹大根の最大の特徴は、普通の青首大根の2倍ともいわれる辛味の強さ。また、水分が少なく肉質は固くよくしまっているため、煮物にしても煮くずれせずに甘くなります。

長さは20cmくらい。お尻が丸い寸胴型で曲がった尻尾もついて、地元では、鼠大根、けっからし大根、峠大根、辛み大根、伊吹菜とも呼ばれ、かつて「大根」と言えば伊吹大根を指すというほど。時とともに徐々に姿を消し、絶滅してしまったと考えられていた滋賀県の伝統野菜の一つでした。

それが一転、現在では道の駅で販売され、人気の加工品も登場していると伺い、米原市にある道の駅「伊吹の里 旬彩の森(しゅんさいのもり)」と同市甲津原集落におじゃましました。

伊藤信義さん 藤田秀子さん
伊吹・旬彩の社長 伊藤信義さん(左)と藤田秀子さん(右)

そもそものきっかけは、平成17年の道の駅のオープンだったと言います。
「何か"伊吹"の名前がついた特産品はないか、と探したんです」、と道の駅を運営する有限会社伊吹・旬彩 社長の伊藤信義さんと藤田秀子さん。

伊吹大根と初めて出会ったときの印象を伺うと・・・
声を揃えて「そりゃまあ辛かったですよ!!」。

「一番最初はおろしにしたんです。口に入れた瞬間は甘くて、それが3秒、4秒経つと辛さが効いてきて・・・。」と藤田さん。

しかし、その魅力である辛味が熱を加えたら一転大変身! 「辛味がうまみになるんです。キメが細かくて水気が少ない分、煮汁をよく含む。おでんやふろふき大根にもおすすめ」と伊藤さん。

寒暖の差があり、あまり肥沃ではない伊吹山の山肌で栽培されることから、そもそもあまり大きくならないんだとか。また、キメの細かさと凝縮した辛さも、伊吹山独特の気候風土から生まれているのだそう。

収穫期にあたる冬場の伊吹山は、ことさら厳しい環境!
「雪があると山麓の畑に行くのに半日。雪をどけて5本か10本ほどとって来るのが精一杯だと聞いています」と伊藤さん。

伊吹大根
伊吹山の環境に育まれてこそ、凝縮した味わいに生育する

冬場は需要に対して出荷が追い付かないこともあるとか。「まとまった発注をいただくホテルなどの方には、真冬に産地を見てもらっています。雪の畑を見て、さらに伊吹大根に惚れこんでくださる」と地元の特産品への愛情と誇りが垣間見えます。

現在では栽培者が20名を超え、道の駅での全量販売・契約栽培の体制が整えられていますが、「一時期は栽培者がおばあさん1人になったこともありますよ」と伊藤さんが語ります。一時、作り手が途絶えかけた伊吹大根。見事な返り咲きです。

調べたところ、伊吹山麓の高地で栽培された大根の辛味成分を100としたら、伊吹山のふもとの大根は80ぐらいという結果が出たという。
「これからは、山の上の大根を特別に「伊吹山麓高地栽培"幻の伊吹大根"」としてPR。"幻の伊吹大根"は辛味を極める商品に、ふもとの畑で栽培された伊吹大根は冬場の需要期向けとして、煮物などにもおすすめしていきます」と伊藤さん。限られた産地で育ってきた伝統野菜が、広く人気が増していることに充実した笑顔です。

魅力を活かして―「伊吹大根」の加工品づくり

ドレッシング
人気のドレッシング、伊吹大根のおろしをふんだんに使っている

「伊吹大根は冬の野菜だけど、加工品にしてオールシーズン楽しんで味わってほしいんです。」と藤田さん。加工品開発の裏側を聞かせてくださいました。

道の駅には人気商品が並びます。
まずは、おろしの魅力を存分に生かした「伊吹大根おろしドレッシング」
そして、おろしが30%も入った「伊吹大根うま辛ドレッシング」。

「何か特産品を、と考えてドレッシングにしました。健康志向でノンオイルにして・・・」と藤田さん。野菜以外にも、ぶっかけうどんのタレとして、魚や肉にかけたり煮込んだりするのもおすすめだとか。

ロールケーキ
ロールケーキ。伊吹大根の糖蜜漬けがクリームと一緒に巻かれている。

「意外性でリピーターが多かったのはロールケーキですね」と藤田さんがにっこり。
伊吹大根でお菓子を作りたい! と3年間の試行錯誤。
辿り着いたのは、なんと、伊吹大根の糖蜜漬けを入れたロールケーキ。道の駅で冬場のみ登場する人気の野菜スイーツとなっています。
残念ながら、取材に訪れた時には販売されていなかったのが心残りです。


道の駅での取組みの一方、伊吹大根産地の甲津原集落の女性による食品加工グループ「甲津原漬物加工部」でも伊吹大根の加工品づくりに奮闘中です。

加工グループの女性 伊吹大根の菜飯
(左)甲津原漬物加工部 草野まゆ美さんと山崎トミ子さん、伊吹大根の研究中!
(右)伊吹大根の菜飯。手前は甲津原特産のみょうがのしば漬け。

手慣れた手つきで、新商品の「菜飯(なめし)」を試作されるのは、同グループの山崎トミ子さんと草野まゆ美さん。
「菜飯」はご飯に混ぜて使うお惣菜。「切り干し大根にしてみたり、酢漬けにしてみたり」と、いろいろ試作を行っている山崎さん。そんな中で完成に近づいた「菜飯」は、今まで使われていなかった伊吹大根の葉を使います。


伊吹大根の葉
手際よく伊吹大根の葉を刻んでいく

「伊吹大根の葉はやわらかいんやで」。 たしかにふんわりとした質感。生で食べてもほんのりとした甘みがあります。

特徴的な赤みある葉は、塩もみすることで鮮やかな緑色に変わり、甲津原特産のミョウガとあわせてご飯に混ぜると、華やかな混ぜご飯ができあがり。
「ご飯さえあったら、遅くに帰ってきてもこれ混ぜて、あっという間に上出来の品になるな」と満足げなお二人。手応えを感じる一品に仕上がりました。

伊吹大根の葉 伊吹大根の菜飯
(左)鮮やかな緑色になった伊吹大根の葉
(右)特産のミョウガを加え、彩りよい菜飯の完成!

「いっぺん途絶えかけた伊吹大根」「絶やしたらあかん」と伊藤さんと藤田さん。「生産者さんもそういう思いで協力してくださる」とにこやかです。「伊吹大根も、加工品のドレッシングも、依頼があればクール便で発送しています」とのこと。全国からの注文に喜びつつ、その需要に応えたいと力が入ります。

味わいの紹介―来店者の感想レポート!

道の駅「伊吹の里 旬彩の森」ご来店の方々に、伊吹大根を使った加工食品、人気の「伊吹大根うま辛ドレッシング」と、発売間近の「菜飯」を試食していただきました!

「うま辛ドレッシング」は野菜にかけて。伊吹大根のおろしがたっぷり入っていて、見た目にも大根の存在を感じさせる品です。
「菜飯」は甲津原特産のミョウガ入りと、シソの実入りの2種類をおにぎりにして食べていただきました。
お昼時のにぎやかな店内で、試食していただいた多くの方は、県外からのお客様が多く、伊吹大根を初めて目にされた様子。彩り美しい「菜飯」のおにぎりはあっという間になくなりました。

おにぎり試食 試食
次々と菜飯のおにぎりに手が伸びる

それぞれに「ミョウガの方の味が好き」「シソの風味の方がおいしい!」「菜っ葉の食感がいいね」などと、いずれも好感触です。

うま辛ドレッシング
うま辛ドレッシングも大好評

「うま辛ドレッシング」は大根おろしの辛味が際だつ味わい。「からっーー!!!」と思わず叫ぶ方もあれば、「甘みがあるね、私はもっと辛くても大丈夫」という辛味大根通の方の評価もありましたが、こちらも大好評!

取材スタッフも一口。ほんのり甘みがある中に、ピリリと大根の辛味が顔を覗かせるパンチの効いた味わい。際だつ伊吹大根の味わいが印象的で、もう一口、と食べたくなるほど食欲をそそります。

満面の笑みを浮かべた藤田さんが、「普通の野菜にもいいですけど、野菜炒めにかけたり、お肉とかお魚とか、ちょっと油を使った料理とがまた合うんですよー」と。

「伊吹大根をもっと知ってもらいたい」と伊吹・旬彩のお二人。好評のドレッシングを推しながらも、頭の中は次の構想へ・・・!

伊吹大根はこれからが最盛期です。 際だつ辛味の大根をぜひ食べてみてください。

取材地(米原市(旧伊吹町))の観光情報

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    生産者直売の旬の野菜や加工品を販売する「森の民」、薬草入りのダシで煮た煮たまごが入った薬草煮たまごラーメンや特産品の伊吹大根おろしハンバーグなどメニュー豊富なお食事処「穂波」、焼きたてパンを御提...

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