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産地レポート

日本生まれ、滋賀のこめ育ちの母鶏から生まれた純国産たまごです。大津市南比良 中村 耕さん

国産鶏の「さくら」と「もみじ」の1万羽を飼育

白い鶏が「さくら」、茶色の鶏が「もみじ」
白い鶏が「さくら」、茶色の鶏が「もみじ」

「もみじ」が産んだ赤いたまご。
「もみじ」が産んだ赤いたまご

「さくら」が産んださくら色のたまご
「さくら」が産んださくら色のたまご

「母鶏も、飼料となるトウモロコシも、外国産に頼っているのに国産卵って、本当にこれでいいのだろうか?」。そう疑問に思ったのがきっかけで鶏もエサも国産にこだわりはじめた大津市南比良の養鶏農家「比良利助」の中村耕さん。祖父の代から続く養鶏農家の3代目として、ご家族と共に養鶏場を営んでいます。現在、国産で育種改良された母鶏でさくら色のたまごを産む「さくら」と赤いたまごを産む「もみじ」を飼い、滋賀で採れた飼料用米を配合したエサを食べさせています。合計で約1万羽を飼育し、「さくらたまご」「もみじたまご」「天使のたまご」など毎日7千個のたまごを出荷しています。

滋賀のこめをエサに国産鶏にたまごを産ませるために

自家配合した鶏のエサ。発酵した米ぬかやカキガラなどが混ざっています。
自家配合した鶏のエサ。発酵した米ぬかやカキガラなどが混ざっています。

「地元の"減反の田んぼ"で収穫した米をエサに使えないか?」、そう思って調べ始めたのが平成15年頃。まず中村さんの田んぼで5反の飼料用米づくりをはじめ、さらなる量が必要となったので、近隣の農家さんに掛け合ってみました。当初は「鶏に米をやるなんて!」と、反対の声も挙がりましたが、数年後には米の生産調整が再検討され、農家さんも転作用として「飼料用米を作ってみましょうか」と協力してくれるように。平成19年頃から本格的に飼料用米の取り組みが始まり、現在は大型農家を含め5~6軒から飼料用米を仕入れています。

飼料用米の確保量に目処がつくと、次は「飼料用米をどんな配合にすればいいのか?」が課題になりました。もともと米を使った飼養(家畜にエサを与えて育てること)は中央畜産会発行の「日本飼育標準・家禽(かきん)」の中で実証済みでしたが、中村さんは、その配合比率にまで目を向けたのです。一般的なエサは、約6割がトウモロコシで、残り4割は大豆粉、魚粉、カキガラ、米ぬか、ゴマなど約20種類を配合しています。このトウモロコシが占める6割のうちのいくらかを米に代替するのですが、米による飼養の前例が少ないため、前出の「日本飼育標準・家禽」に記載されているデータを頼りに、配合比率を少しずつ変えて試験を繰り返しました。

お米の配合率を上げると白っぽい黄身に

米による飼養で産ませた卵は、黄身が白っぽくなるのをご存じですか?
たまごの黄身の色は、トウモロコシに含まれるカロチノイドという色素によるもの。いわばトウモロコシの色です。一方、米にはカロチノイドが含まれていないので、黄身がレモンイエローのような白さになるのです。そこで中村さんは米の配合率と黄身の褪色の関係性を研究し、「ここまでならいけるだろう」と確信して誕生したのが「天使のたまご」です。「米とトウモロコシの栄養成分は似ているので、配合を変えても、たまごの栄養価は変わりません。『黄身の色が濃いほうが、栄養価が高い』と思われがちですが、実際はほぼ同じなんですけどね」と苦笑いする中村さん。「ですから、国産のエサを食べている国産鶏が産んだ、安全・安心なたまごだということをお客さんには伝えています」と言います。

「もみじ」

「さくら」

左が「もみじ」右が「さくら」のたまご。お米の割合を抑えたエサなので黄身も黄色。

お米の配合比率をぎりぎりまで高めた「天使のたまご」。黄身が白っぽい。

お米の配合比率をぎりぎりまで高めた「天使のたまご」。黄身が白っぽい。

「平飼い」と「ケージ飼い」で育つ母鶏

鶏が元気に走り回る「平飼い」
鶏が元気に走り回る「平飼い」

エサを食べる鶏。エサは年間400トンも
エサを食べる鶏。エサは年間400トンも

「ゲージ飼い」。ゆったりと飼われています。
「ケージ飼い」。ゆったりと飼われています。

外部から中村さんの養鶏場を訪れた人は、白い防護服をまとい、薄いビニール製のブーツで靴を包み、足底を消毒液につけてから農場内に入ります。ゲートから農場内は衛生管理区域となっており、高病原性鳥インフルエンザをはじめ、病気などが持ち込まれないよう、徹底した衛生対策が行われているからです。
場内には、昔ながらの「平飼い」とカゴで飼う「ケージ飼い」の鶏舎があります。
「平飼い」は、鶏小屋に鶏を放ち自由にのびのびと育てます。鶏舎内には有精卵用に飼育されている雄鶏もいます。
一方の「ケージ飼い」は、長いケージがズラリと並び、1つのカゴに2羽を入れ、ゆったりと飼っています。風も光も通す開放鶏舎を採用し、こまめに換気や温度調整をしながら快適な環境に整え、なるべく母鶏にストレスを与えないようにしています。「人間と同じでストレスが大きいと抵抗力が落ちて病気にかかりやすい。鶏にストレスをかけない環境で健康に育て、いいたまごを産んでもらってます」と話してくれました。

発酵させたもみ米を混ぜた自家製のエサ

発酵させたもみ米を混ぜた自家製のエサ

次にエサをつくる小屋に移動。中央には大型の発酵機が置かれ、ここで飼育米となるもみ米を発酵させます。もみ米のままでは固いですが、発酵で柔らかくしてから食べやすい状態にすることで消化もしやすくなり、栄養価も高まります。発酵させた飼料米に、トウモロコシ、魚粉、ゴマなどをバランス良く配合した自家製のエサを作ります。たまごの産みが悪かったら、気候の変化を見ながら、エサの配合もこまめに調整するそうです。また、鶏のふん堆肥を飼料米の栽培農家に還元するという循環型農業生産にも取り組んでいます。

有志の養鶏農家4人で作る「50g会」

この循環型農業生産の基盤となるのが、3つの団体です。まず、耕種農家グループ「湖西ブロック飼料米をつくる会」などが飼料用米を育て、県内の養鶏農家有志から成る「50g会」に供給します。飼料用米で育てられた母鶏が産んだ卵は、「滋賀県飼料米利活用推進協議会」の事務局を務める「生活協同組合コープしが」の店舗で販売されるという三位一体の連携体制をとっています。現在「50g会」には中村さんを含めて4人の養鶏農家が参加しており、地産地消にこだわったエサの自家配合など、より良い卵を消費者に届ける方法を追求しています。また、休耕地の有効活用に貢献し、循環型農業で環境を守りながら生産することを目的に飼料の研究や勉強会など養鶏の飼養管理技術を高めるための活動をしています。

中村さんにとってのおいしいたまごづくりとは?とお聞きすると、「生産者がどういう思いでたまごを作っているかだと思います。その思いにおいしさへの情熱がこめられていますから。夏までに北海道の国産トウモロコシを仕入れて、米もトウモロコシも国産品を使った飼料をつくることが出来れば、限りなく純国産のたまごをめざせます」と満面の笑顔で答えてくれました。中村さんの国産たまごへかける意気込みと情熱は、まだまだ止まらないようです。

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