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産地レポート

葉がバラバラとほどけやすいからカット用に向いてます。農事組合法人 市原地区布引営農組合 熊田貴美子さん

水田の有効活用からはじまった加工用のキャベツ栽培

東近江市永源寺地域にある3.5ヘクタールのキャベツ畑

加工用キャベツの畑

11月末からはじまった収穫は、4月まで続きます。

東に鈴鹿山脈を遠くにのぞむ広大な地・東近江市永源寺地域にある3.5ヘクタールのキャベツ畑が、熊田貴美子さんの担当する加工用キャベツの畑で、ここから年間約180トンのキャベツが出荷されます。勢いよく伸びた大きな緑の葉が一列に並び、すくすくと育っている姿は力強さいっぱいで壮観です。
11月末からはじまった収穫は、4月まで続きます。雪や雨が降る中、収穫作業をすることもあります。
熊田さんは8つの集落からなる市原地区布引営農組合に所属し、熊田さんを含め野菜畑を2人で担当しています。加工用キャベツの栽培をはじめたきっかけは?とお伺いしたところ、「減反による田んぼの有効活用です。この辺の田んぼの土は下にいくほど粗くなり、空気が入って乾きやすい土壌です。この土壌でも安定して栽培できるのがキャベツなんですよ」と熊田さん。

滋賀県東近江農業農村振興事務所で農産普及の指導に携わる那須大城(なす ひろき)さんも「キャベツの栽培には広大な面積が必要なのですが、滋賀の農地は基本、水田なので、この広さを上手に活用することができます。農家さんは米をつくりたいという思いがあるので、キャベツは4月上旬頃に収穫が終わり、その後、稲作に取りかかれる点も魅力なんですね。それに、他の野菜の消費量が少しずつ減少する中、キャベツだけは安定した需要があり、加工用キャベツにいたっては需要が増加しています」。

一番の大きな理由は、平成23年竜王町にカット野菜の工場ができたことです。那須さんは「工場側から地元で加工用の野菜を作って欲しいとの提案があり、竜王町役場、JAグリーン近江の3団体で供給体制を話し合い、農家さんに声をかけたのがはじまりです」。納品先も、価格も決まっているため安定した経営ができるとあって、現在、個人、団体含め約50の農家さんが竜王町の工場向けに加工用キャベツを栽培しています。その一つが、熊田さんの所属する市原地区布引営農組合なのです。

除草との闘いが良いキャベツへと育てます

コンテナの下に板を敷き畑の泥がキャベツに直接付かないよう工夫

キャベツの栽培は、7月に種を蒔き、8月に定植、その後は肥料と除草剤を散布し、収穫まで週2回の除草作業をこまめに行いながら、守り育てています。
一番苦労する点は?と熊田さんに訪ねると「畑が広く、最近は外来種の草も大量に生えるので除草が大変です。暑いときも、寒いときも、ほぼ半日かけてパートさんが手で一つ一つ草を摘み取ります。きれいなキャベツでないと出荷ができないんですよ。虫が付いたら即出荷停止です」。収穫時も髪の毛がキャベツの葉の間に入らないよう帽子をかぶり、泥や土がつかないよう手袋をはめて収穫作業を行います。また、コンテナの下に板を敷き畑の泥がキャベツに直接付かないよう工夫し、課題点を見つけては工場や農協と共にどんどん改良しているそうです。

葉がバラバラとほどけて、甘みが強い「夢ごろも」

キャベツをカットする熊田さん

キャベツの品種「夢ごろも」

加工用に適したキャベツの品種ってあるのですか?と熊田さんにお聞きすると「2015年からは“夢ごろも”という品種のキャベツを作っています。身がしっかり詰まって大きく育ち、大きさも安定しています。甘みが強く、寒い時期に畑に置いても傷まずに育ちます。特に、ザク切りにしたときに、バラバラと葉がほどけやすく、ブロック状のかたまりになりにくいので、カット野菜として使いやすいんですよ」と、熊田さんはキャベツを半分に切り分け見せてくれました。

機械でカットした際に、ブロック状のかたまりになると廃棄されるので、その分がロスになります。キャベツの葉がやわらかいと葉と葉の密着度が高くほどけにくい、一方、“夢ごろも“は1枚1枚がしっかりとした葉なのでほどけやすく、かたまりにくいので廃棄ロスが少ないそうです。

熊田さんにカットキャベツのおすすめの食べ方を聞いてみると「“夢ごろも”は、甘みが強く、煮くずれしにくいので、お鍋やスープにおすすめですよ。加熱することで甘みがぐっと増すからキャベツの持つ自然な甘さを味わうことができますよ」。 滋賀県産のカットキャベツを見つけたら加熱調理がおすすめです。熱を通すほど甘みが強くなるので、「これ、キャベツ?」と思うほど、まろやかでクセのない甘みが楽しめます。

工場と直結!新鮮なままカットされ市場へ

収穫後は、すぐに工場へ運ばれます

キャベツ

「収穫後は、すぐに工場へ運ばれ、新鮮なうちにカットされます。キャベツに汚れや虫が付かないよう管理を徹底しながら、加工しやすいキャベツを作っていきたいですね」と熊田さん。ここのキャベツは収穫前にメーカーの検査機関へ送られ、残留農薬、放射性物質、重金属の検査が行われ、安全性を確認してから、収穫・出荷しているので検査時間のロスがなく、取りたての新鮮なままカット加工され、市場に商品として並びます。これも地元の畑と工場が直結しているからこそできる生産体制です。
「もっと滋賀県産のキャベツが全国に広がっていくといいですね」と、満面の笑顔で話す熊田さんがとても印象的でした。

「もっと滋賀県産のキャベツが全国に広がっていくといいですね」と、満面の笑顔で話す熊田さん

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