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産地レポート

愛知郡愛荘町の西澤清和さん

糖度16度の甘さ  安心して食べて

ブルーベリー生産組合「ブルーフロンティア」代表の西澤清和さん

約2ヘクタールの畑

ブルーベリーのハウス

「今年の収穫は例年より1週間ほど早いかなぁ」。6月中旬、ハウスで木と実の成長具合を確かめるのは、ブルーベリー生産組合「ブルーフロンティア」代表の西澤清和さん(57)。愛知郡愛荘町で7人の生産者が協力し、合わせて約2ヘクタールの畑でブルーベリーを栽培しています。

始めたのは2000年。以前は花を栽培していましたが、輸入ものに押されて価格が下がったことや、燃料の高騰などから、当時国内では信州を除いてほとんど作られていなかったブルーベリーに着目し、商社と協力して3人の生産者で取り組み始めました。

西澤さんたちが最初からこだわったのは「生でそのまま食べられること」。「信州で作っていたものも、ジャムなどの加工用でした。僕らが作るのは糖度16度、農薬なども極力減らして安全に作った生食用です」と話します。

手の感覚と色が頼り 収穫作業には経験が必要

収穫は、6月中旬から7月末まで

高さ1.5メートル程度の小果樹

ブルーベリーは品種にもよりますが、高さ1.5メートル程度の小果樹です。苗木は「バッグカルチャーシステム」と呼ばれる方法で、培養土を入れた袋で育てます。1年目に約50センチの大きさまで育つ苗木は、2年目に1メートルほどに、3年目以降からは2メートル以上伸びないように横に仕立て、10年目くらいまで毎年収穫します。「この方法なら、難しい土のpH調整も比較的簡単にできます。弱酸性が適しているので、月に1度はpHを調べて、液肥で調整しています」

4月から5月にかけてスズランに似た花を咲かせ、やがて緑の実になり、紫に変化していきます。収穫は、6月中旬から7月末まで、まずハウスものから。7月中旬から8月末にかけて、全収穫量の約8割を占める露地ものへ。3カ月間の収穫期をリレー方式で乗り切ります。

「風に弱いので台風シーズンは気を使いますし、防風ネットも欠かせません。でも、一番大変なのは収穫」と西澤さん。一粒一粒、手で触れるとほろっと自分で枝から外れるのが、自然の甘みたっぷりの「熟した実」。思わず顔がほころぶおいしさです。でも、少しでも無理に枝から取ると、「酸っぱい!」。逆に適期を逃すと「ブルーム」と呼ばれる表面の白い粉が取れて、鮮度が落ちてしまいます。

「手の感覚と色だけで瞬時に判断しながら収穫していきます。間違いなく食べごろの実を見分けられるようになるまで随分時間がかかりました」と苦笑いします。

きめ細かに手をかける 日本人ならではの育て方

ハイブッシュやラビットアイ、ローブッシュと呼ばれる系統のブルーベリー

ハウスで暮らすミツバチ

ブルーベリーの品種は数百に及びますが、西澤さんたちが育てているのは、ハイブッシュやラビットアイ、ローブッシュと呼ばれる系統。当初はニュージーランドやオーストラリアに視察に行って作り方を学びましたが、今の栽培法は西澤さんたちがこの地域の気候や土壌に合わせて作り出したもの。「視察に来たオーストラリアの人たちが、3年で収穫できる木に育てることにも、一粒ずつ手で収穫することにも驚いていました。海外では機械で木を揺すって実を落として収穫しますし、『糖度が低ければ砂糖を足してジャムにすればいいじゃないか』という感覚。きめ細かく手をかける育て方は日本人ならではなんです」

苗木を育て、肥料や水をやり、花をどれだけつけて、いつどのように剪定するかを判断する――。すべては、そのまま食べて「おいしい」と思ってもらえる実を作りたい。その一心から。「栄養価が高いからサプリメントで、とか、ジャムで、というけれど、そのまま食べられるのが一番幸せじゃないですか」

西澤さんは2年前からミツバチを飼い、花が咲く頃にハウスに入れて受粉させています。「ミツバチが弱るので農薬も多くは使えないから、安全なものが作れます。もうミツバチがかわいくて、かわいくて......」と愛おしそうに世話をしています。

消費者が望むものを 生産から販売まで

収穫は朝6時ごろから10時まで

滋賀県の他、主に京都、名古屋へ出荷

収穫は、気温が上がると味が落ちるため、朝6時ごろから10時まで。シーズン中はグループ全体で1日100キロ~150キロを収穫する規模の大きさで、滋賀県の他、主に京都、名古屋へ出荷しています。S、M、L、2L、3Lを選別する機械も自分たちで設計し、オーダーで作ってもらいました。

西澤さんたちが目指す農業は「消費者が求めるものをつかんで、作って提供すること。生産から販売までを手がけること。作れば売れるという時代ではありません」。

「トレーサビリティー」を意識して、生産者や収穫時期などの情報がたどれる農水省のバーコードも取得。大型店にも出荷できる仕組みを確立しています。

夢は、自分たちの作ったブルーベリーを使ったお菓子やケーキを売り出すこと。ブルーベリーが終わった後から5月まで栽培・収穫するイチゴとともに、「ブルーフロンティア」ブランドのスイーツができる日は近いかもしれません。

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