トップページ > 産地レポート > そば

赤丸かぶ

<そば> ~訪ねた人 農業組合法人「箱館フーズ」代表理事 笠原さん~

箱館山のふもとで収穫される、香り豊かなそば。地元の名産として大切に育てていきたい。

そばの実を手にする笠原さん。そばは、背景に広がる高島市今津町の豊かな自然のなかで育まれる。

スキー場の冬の名物

そばといえば、ご当地グルメの定番。食べ歩きを楽しみにしている人も多いでしょう。滋賀とそばの関係はというと、米原市の「伊吹そば」が日本のそばのルーツだという説もあり、とても縁が深い食べ物。近年、県下各地でそばの栽培が盛んになり、地域の味として親しまれていますが、そのさきがけが湖西の箱館山のふもとに広がる日置前地区や三谷地区。ここで栽培されたそばの実から作られるそばは「箱館そば」と呼ばれ、名物になっています。

箱館山は、冬はスキー場として、夏はハイキングの観光客でにぎわう湖西の観光スポット。この地域でそば栽培が本格的に始まったのは30年ほど前から。スキー場のふもとで民宿を営む農家が中心になり始めたといいます。

「このあたりは寒暖の差が激しく、雪が多くて冬も長い。冬場でも保存がきくものを、ということでそば栽培が始まったと聞きました。粉にしておけばいつでも食べられますからね」
 そう話すのは、現在この地域でそば栽培を行っている農業組合法人「箱館フーズ」の笠原さん。箱館フーズは、農業従事者の高齢化に伴い、三谷地区の集団転作のすべてを受け持っている会社。社屋周囲には田が広がり、すぐ西隣には箱館山がそびえています。

「会社のまわり一帯がそば畑になります。10月頃はそばの白い花がいっせいに咲いて、それはきれいですよ」

そばを栽培している一帯。

秋に咲くそばの花。

そばの実。そばは実が黒いほどいい品質。
取材時に品質の一番いい「一番手」はすでに出荷してしまっていたので、残念ながらこれは少し色の薄い「二番手」。

どうせ作るのなら、いいものを

箱館フーズでは、そばを8月の盆過ぎにトラクターで種をまきます。浅く土をかけておけば(=覆土)1週間ぐらいで発芽。10月に花が咲き、11月初め頃にコンバインで収穫します。比較的栽培しやすい作物だといいますが、とはいえ、それなりの難しさは当然つきもの。

「このあたりの土地は粘土質で、水はけが悪いんですね。だから、種をまく前は田を2~3回すいて乾かす必要がある。それに、そばはもともと、あまり肥沃な土地には向かないので肥料の加減が難しいですね。少なすぎると育たないし、多すぎると花の期間が長くなりすぎ、うかうかしていると雪が降ってしまいますから」

黒いそばの実。皮をむくと白くなり、これをひいて粉にする。

実は、箱館フーズがそば栽培を本格的に始めたのは3~4年前から。それゆえ、「まだまだ勉強中」と話されますが、そばの収穫の楽しさは実感。
「秋に刈り取るとね、そば独特の香ばしい、いい匂いがするんですよ。箱館のそばは、香ばしさが違うと思いますよ」と、顔がほころびます。

今後も増やしていく予定。
「平成23年度は約11ha作りました。そばは地域の特産物。どうせ作るのならいいものをと思い、がんばっています。このあたりは若手の農業後継者が少ないんですよ。そばに限らず、もっと農作物の栽培面積を増やし、若手の担い手を増やしていければ、と考えています」

箱館フーズでは「そばがゆ」を販売している。 自分たちが育てた近江米で作った「朝がゆ」に、そばを混ぜました。

冬季限定、「箱館そば」

地元で収穫されたそば粉から作ったおいしいそばを食べられるのが「元祖箱館そば 鴫野(しぎの)」です。このお店は、スキー場の民宿経営とそば作りをしていた人々が共同で始めたもの。そば栽培の始まりと足並みをそろえ、もう30年になるといいます。現在、経営者は変わりましたが、味や製法はそのまま。「箱館山周辺のそばは、甘味や香りが強いように感じますね」と、お店のご主人の弁。

特徴的なのは、いちばんおいしい新そばのみを提供しているため、12月から3月初めまでという、期間限定の営業だということ。そばは粉挽きから始まり、すべてが手作り。打ち立ての新鮮な風味が味わえるとあって、連日、地元の常連はもちろん、スキー客や観光客でにぎわいます。
そばは、つなぎ粉2、そば粉8のニ八そば。少し細めの、ほのかな甘みと香りが漂う上品な味わいです。お持ち帰りもできます。ぜひご賞味ください。

(左)上品な色と豊かな風味の箱館そば。
(右)持ち帰りもできる。

打ち立て、作りたてを提供。手作りなので、なくなりしだい終了。

(取材日:2012年2月28日)

■箱館そばに関するお問い合わせ:財団法人ひばり(電話:0740-22-5555)

Page Top