産地レポート

養鶏農家の川中さん

産地レポート
近江しゃも

近江しゃも

~訪ねた人:「近江しゃも普及推進協議会副会長」川中さん~

噛むほどに豊潤な旨みが広がる滋賀県が生み出した地鶏。
この味を、もっと多くの人に知ってもらいたい。

近江しゃものことならおまかせ。養鶏農家の川中さん。

平成5年に誕生

滋賀県には特産のおいしい地鶏、「近江しゃも」がいることをご存知でしょうか?

新鮮な近江しゃもの肉 キリッとした表情の近江しゃも (左)新鮮な近江しゃもの肉。
(右)キリッとした表情の近江しゃも。

近江しゃもは7年の歳月をかけ、平成5年に県の畜産技術振興センターの手により誕生しました。その特徴や味の魅力を、近江しゃも普及推進協議会の副会長である川中さんにお聞きしました。

「近江しゃもは、卵をよく産み味のよい横斑プリマスロック種の雌と、肉づき、肉質が優れたロードアイランド種の雄の間に生まれた雌に、鶏肉の中で最もおいしいと定評のあるしゃもの雄を交配して生まれた地鶏です。それぞれの原種の長所を生かし、味、コク、歯ごたえがあって噛むほどに旨みが広り、栄養バランスがいいのが特徴です」

健康に配慮した長期飼育で高品質の肉質を実現

よく「地鶏」といいますが、そもそも「地鶏」と言うには、品種(在来種由来の血液百分率が50%以上のもの)、飼育期間(80日以上)、飼い方(平飼いで1㎡当り10羽以下)に、JAS法上の定義があります。中でも近江しゃもは飼育期間が特に長く、140日以上を標準としています。

「肉質には、近江しゃもという品種の特性はもちろんのこと、飼育日数、エサ、環境なども大きく作用してきます。一般のブロイラー(飼育期間約50日)の約3倍、地鶏の定義と比べても約2倍という長い日数をかけ、平飼いでのびのび飼育・成長させているので肉に豊潤なコクと旨みが生まれます」

エサや鶏舎など、飼い方は養鶏農家ごとに独自のこだわりがあります。川中さんも、栄養バランスに優れた健康的なエサを独自に配合。鶏舎は、「安全・安心」にこだわりながらも「自然」の要素を取り入れた自然一体型の鶏舎を採用しています。

木材を多用した自然一体型鶏舎 木材を多用した自然一体型鶏舎。

「野生の本能を色濃くもつ地鶏にとっては放し飼いが理想なんでしょうが、鳥インフルエンザなどの病気予防には現実的ではありません。かといって、窓のない鶏舎では鶏にストレスがかかり、肉質が落ちてしまう。そこで行きついたのが、木材を多く使って、壁もメッシュ張りにした風通りの良い鶏舎。屋根には透明波板などを使い、太陽光もふんだんに入るようにし、自然本来の開放感を取り入れる工夫を施しています」

毎日食べても飽きない旨味を目指して

地鶏を愛し、その旨味を追求する川中さんが目指すのは、「毎日でも食べられるクセのない脂」。
「良質の地鶏の脂肪分は、さらっとしてしつこくないんですよ。皮だっておいしい。特に近江しゃもは、しゃも独特のこりこりした食感に加え、横斑プリマスロックの持ち味である黄色い脂の旨味が入っていて、これがまた旨い!」と絶賛。

近江しゃもの肉質は、雄はしっかりしているのですき焼きに、雌は雄より柔らかく脂がのっているので水炊きに向いているのだそう。ともに歯ごたえがあり、噛むほどに旨みが増します。もちろん炭火焼やソテーなども絶品の味わい!

近江しゃもの鍋料理近江しゃもの炭火焼 (左)近江しゃもの鍋料理
(右)近江しゃもの炭火焼

近江しゃもは毎年、約2万羽が出荷されていますが、まだまだ一般には知られていないのが現状です。それゆえ、まず名前と味を知ってもらうことが先決、と川中さんはいいます。購入を希望される方は後述の近江しゃも普及推進協議会へお問い合わせください。

「近江しゃもは、私たちが心をこめて育てた滋賀県ならではの地鶏です。本当においしいので、ぜひ一度、食べてください」と、最後に川中さんからメッセージ。

以下に近江しゃものすき焼き(関西風)の作り方を紹介しますので、ぜひお試しください。

近江しゃものすき焼き <近江しゃものすき焼きの作り方>
・鍋に火をかけ、近江しゃもの脂を溶かす。
・近江しゃもを入れ、砂糖をからめて焼く。
・さらに醤油を加えて甘辛く味付けし、きのこ、糸こんにゃく、玉ねぎなどの野菜などを入れる。
・焦げ付かないようスープまたは、酒を入れる
できあがったら溶き卵に絡めて召し上がれ!
煮過ぎると風味が損なわれるのでご注意を!

(取材日:2012年1月23日)

■お問い合わせ:近江しゃも普及推進協議会(電話:0748-33-4345)