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たまご

<たまご> ~訪ねた人~「安田養鶏場」安田健次さん

農家養鶏を守って50年!衛生管理を徹底。こだわりのエサと鶏で安全・安心な、おいしいたまごを届けています。

産み立てたまごを手にする安田さん。後ろにズラリと並んでいるのはエサを貯蔵しているタンク。

約4万羽の鶏を飼育

あってあたりまえ。ないと、とても困る。栄養たっぷりのたまごは、そんな毎日の料理の必需品です。
滋賀県では現在、約60名の養鶏農家がいますが、近江八幡市安土町で息子さんとともに養鶏業を営む安田さんもその一人。自宅のある安土町で約2万6千羽、少し離れた甲賀市土山町に1万5千羽を飼育し、毎日3万2~3千個の卵を出荷しています。

安田さんが養鶏を志したのは、子供の頃の思い出から。安土町には昔から養鶏農家が多く、
「終戦直後の食糧難の頃、養鶏農家を親にもつ友達の家に遊びに行くと、かしわ(鶏肉)やたまごがふんだんにあった。それがうらやましくて養鶏農家になろうと思いました」と笑います。

養鶏をする場合、飼い方は、鶏舎内でケージ(カゴ)に数羽ずつ入れて飼う「ケージ飼い」、鶏をカゴに入れない「平飼い」、広い敷地内を自由に歩き回れる「放飼い」の大きく3つに分類できます。 安田さんの飼い方は、ケージ飼い。以前は平飼いもしていたのですが、鶏の数が多くなると鶏同士の事故が起こりやすいし、たまごの衛生管理、伝染病などの病気対策も大変。何よりふんなど臭いの問題で周辺に迷惑をかけないようにと、ふんを乾燥する装置のあるケージ飼いになりました。

鶏舎は風や外光を取り入れることができ、鶏にとってより快適な環境をつくることができる「セミウィンドウレス形式」を採用。室内は空調管理されており、さらに壁に取り付けた紙パッドに水を流すと、ラジエーター効果で夏場は室温が3℃以上低くなるといいます。

ドイツ製の紙パッド。鶏が過ごしやすくするための安田さんの心配りの表れ。

自動制御された清潔な鶏舎

間接照明の中、ケージに入った鶏が4段に並んでいます。臭いも気にならず、床もきれいで、その清潔さにびっくり。

(左)清潔な鶏舎内部。
(右)内部はとても衛生的。換気なども自動的にコントロールしている。

「鶏のふんはカゴの隙間から下に落ちるし、産んだたまごもすぐにベルトコンベアで隣の出荷場に運ばれるようになっています。このケージ飼いは衛生管理に優れた飼い方なんです。それに清潔じゃないと鶏にストレスがかかるからね、鶏舎の掃除には気を配っています。
うちは、栄養分など最適のエサを自家配合しているので、ふんも少なく、ころっとしたいいふんがでるんですよ」と安田さん。

たまごはベルトコンベアで隣の作業棟へ集められ、パック詰めにされて出荷される。

鶏舎の外に出ると、エサ用の大きなタンクが11本も。さらに毎日出る鶏ふんをたい肥化する装置が2台完備されていました。できあがった良質のたい肥は近くの営農組合や農家の水田や畑で利用されています。

(左)左隣の小屋でエサを自家配合し、右のタンクに貯蔵する。1本で約5t貯蔵できる。
(右)枯草菌や乳酸菌などで発酵し、乾燥した鶏ふん。臭いも少なく、手で触るとサラサラしている。

「生き物を飼っているからねぇ。エサも、ふんの始末もきちんとしなければいけない。特にふんは臭いの問題もありますからね。こだわればこだわるほど設備が必要になってきます。でも、この鶏ふん処理をちゃんとすることも、養鶏農家としては大事な仕事です」

地域産の米を餌にした「さくらたまご」

安田さんは数年前からこだわっていることがあります。それは、国内産のエサをできる限り多く配合し産ませた「さくらたまご」の生産です。 「さくらたまご」は、純国産鶏「ゴトウ交配種 さくら」という品種が産んだたまごのことで、淡いさくら色をしています。

淡いさくら色をしている「さくらたまご」。

「たまごを産む鶏の親の約94%が外国産。鶏のエサとなるトウモロコシなどの穀物も約90%が輸入品です。食の安全性が問われるなか、これではいけない、社会に貢献できるものを提供したい、と思ったのが始まりでした」と安田さんは振り返ります。

エサには滋賀県産の飼料米を約12.5%使用。飼料米にはトウモロコシと同じくらいの栄養分があり、また米で育てるとたまごの旨味成分の一つであるオレイン酸が増すなど良い結果が出る、という実験結果もあるのだとか。さらに地元の豆腐屋さんからもらったおからも混ぜるなど試行錯誤を繰り返し、栄養たっぷりの自家配合したエサを毎日手作りしています。
余談ですが、米の含有率が高くなると黄身は白くなっていくそうです。

右上は飼料米。左下は飼料米やおからで作った発酵飼料。

「休耕田に飼料米を作ることで転作問題や耕作放棄地の活用といった地域貢献もできるし、おからを使うことで残渣(残りカス)の再利用にもなります。とはいえ、このようなエサへのこだわりは手間がかかるし経費もかかる。しかし、これからの滋賀の養鶏を考えるなら、このような地元の原料を有効活用していくことが大事だと思っています。ちょっとカッコええけど、安全なものを提供したい、地域に貢献したいという夢がないと続きません(笑)」

ところで子どもの頃の念願がかない、安田さんは日に5~6個はたまごを食べているのだそう。好きな食べ方はシンプルにたまごがけご飯。醤油にポン酢を少したらすのが、安田さん流。
話を聞いていたらたまごがけご飯が食べたくなったので、「たまごがけには、MSかSの小さめがええで」というアドバイスのもと、養鶏所の前にあった自動販売機で産みたてたまごを買い、さっそく家でいただきました。
新鮮に盛り上がったたまごは、想像通りのコクのある味。何より養鶏業の苦労を知ることで、安心や安全が食べられるありがたさを感じました。

安田さんのところに限らず、多くの養鶏場では写真のような自動販売機で産みたてたまごを販売されています。皆さんも見かけたら、ぜひ購入してみてください。

養鶏場前にあるたまごの自動販売機。直売所も鶏舎の隣にある。

(取材日:2012年1月23日)

■滋賀県産の「さくらたまご」が買える場所:生活協同組合コープしが、道の駅、直売所など

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