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秦荘のやまいも

<秦荘のやまいも(はたしょうのやまいも)> ~訪ねた人 「秦荘やまいも振興会」青木さん~

育てるのに3年。手間も大変かかるけれど、 この味を楽しみにしてくれる人がいるから、がんばれる!

丹精込めたやまいもを手にする「秦荘やまいも振興会」の青木さん。

強い粘りと高い栄養価が持ち味

10月も半ばを過ぎる頃になると、滋賀県では多くの人が待ちわびる、特別なやまいもが収穫される地域があります。それが、<秦荘(はたしょう)のやまいも>。琵琶湖の東に広がる愛知郡愛荘町(旧秦荘町)の伝統野菜です。 やまいもというと、独特の粘りが持ち味ですが、秦荘のやまいもは、さらにどんな特徴があるのでしょうか。「秦荘やまいも振興会」会長の青木さんに、ご自身の畑でお聞きしました。

「他のやまいもと比べて違うのは、圧倒的な粘りの強さです。水分が少ないので、すりおろしたものを箸でからめると器から持ちあがるほど。キメも細かく、上品な甘みもあるので、最初はぜひ、何もつけずに味わってほしいですね。 栄養的にも、タンパク質、ビタミンB群やC、ミネラルやムチンが豊富に含まれており、"秦荘のやまいもは薬になる"と昔からいわれていたほどです」

ゴツゴツした独特の形状

秦荘のやまいもは、約300年前、お伊勢参りのみやげとして地元に持ち帰られ、栽培されたのが始まりと伝えられています。ただし、秦荘でも、安孫子、北八木、東出という限られた地域でしか生産できないのだとか。
「土のせいなんでしょうかねえ。よその地域で栽培される方もいるんですが、同じような粘りはでないんですよ」と、やまいも掘り用の長い刃の鋤で黒い粘土質の土を掘り返しながら説明をしてくださる青木さん。 すぐに土の中から、30cmほどの長さの、ゴツゴツした肌を持つやまいもが顔をのぞかせました。この肌の"ゴツゴツ感"が秦荘のやまいもの特徴。でも昔に比べ、ずいぶんお肌もなめらかに、形もまっすぐになったそうです。
「昔は表面に凹凸があり、形も、枝分かれしていたり手のひらみたいと、さまざまでした。しかし皮がむきにくいという声があり、いもの選別を繰り返すことで現在のような、比較的まっすぐな形のものができるようになってきたんです」
伝統野菜とはいえ、一般の人々のニーズは無視できなかったようですね。

表面に瘤のようなゴツゴツがあるのが秦荘のやまいもの特徴。

手間も時間もかかる伝統の栽培法

ところで秦荘のやまいもは、その栽培方法も独特。水田に高畔(あぜ)を作り栽培するのですが、約20gの種いもを毎年植えてから収穫まで3年かかり、しかも連作を嫌うため、栽培する水田もその年ごとに変えなければならないのだとか。つまり、やまいも用の水田が3カ所いる、というわけです。

「しかも育てるには、えらい手間がかかる。稲作の収穫のあとはすぐに畝立てをして、冬の間に土づくりをしなきゃいけないし、成長の時期にはやまいものツルが1日で40cmも伸びるから、からまないよう毎日面倒みなけりゃいけない。雑草抜きも手作業だし。わたしらは、1反で80~90人手間といっているんですよ。普通の作物の3倍の人手がかかるというわけです。雨の日以外は畑に出て世話をしている。それでいて、収穫は3年待たなきゃいかんしねえ」

そのように手間も時間もかかるため若い人は栽培したがらず、「秦荘やまいも振興会」の目下の悩みは後継者不足。現在31名が栽培していますが、そのほとんどが70歳以上。その一方、人気は高まるばかり。お客さんにはリピーターも多く、収穫から1ヵ月もたてば品切れ状態になるといいます。
「収穫の時期になると、大阪や名古屋から毎年買いに来てくださるお客さんもいます。楽しみに待ってくださる人もいるから、なんとか次世代に秦荘のやまいもを伝えていかなアカンと、その方法を模索している最中です」

水田の土は粘土質で固いので、そのまま栽培すると変形する。 形のいいやまいもを作るため、畝に幅5cm、深さ30cmの穴を掘り、川砂を入れて種いもを植える。

稲わら。畔の上に敷かれるなど、来年のやまいもの生育に利用される。

おすすめの食べ方、いろいろ

定番の山かけや磯辺揚げなどさまざまに楽しめますが、地元では、やまいもをすって箸で団子大くらいの適当な大きさにちぎり、具として味噌汁に入れて食べるのだそう。粘り強い秦荘のやまいもならではの食べ方です。取材後、さっそく試してみましたが、これがおいしい!熱の通ったすりいもはふんわり柔らかく上品な味で、おすすめ。ちなみに青木さんの好きな食べ方は「お好み焼の中に入れる」でした。なんとも贅沢なお好み焼になりそうですね!

ところで、人気の秦荘のやまいもゆえ、販売は、各栽培農家の直売所の他では、「秦荘やまいも振興会」で、宅配便のみで受け付けしています。ご希望の方はお問い合わせください。

お問い合わせ:「秦荘やまいも振興会」(JA東びわこ 南事業本部内 電話:0749-42-2071)

(取材日:2011年11月9日)

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