琵琶湖八珍から広がる びわ湖のめぐみレポート

びわ湖のめぐみレポート
「セタシジミ・アユ
~達人たちの仕事~

びわ湖のめぐみレポート「セタシジミ ~達人たちの仕事~」
琵琶湖の固有種で、浅瀬から水深10数mにかけて生息する。殻が厚く、身にコクがあり「寒シジミ」と呼ばれる冬季には、身が肥えておいしい。12月~4月には、県内の小売店等でも販売される。
びわ湖のめぐみレポート「アユ ~達人たちの仕事~」
琵琶湖で育つアユは成魚も体長10cm前後でコアユと呼ばれる。また琵琶湖産の稚魚を養殖生産したアユは姿・形が美しく、骨や皮がやわらかいため食感に優れているといわれる。

彦根市彦根市

  • 獲る彦根市松原漁業協同組合
    前組合長 中山幸雄さん

    彦根市松原漁業協同組合 前組合長 中山幸雄さん
    - 漁歴71年 シジミパワーが支えてきた歴史 -
    遊覧船が発着する彦根港のすぐそば、彦根城の堀と琵琶湖をつなぐ水路脇に松原漁協がある。

    松原は沖合まで砂地が続き、古くからシジミ漁が盛んな水域で「昔はそりゃあ、ようけ獲れたもんや。シジミが層になって底におって、獲れ過ぎて船がひっくり返りそうなこともようあった」とシジミ漁歴71年、今年91歳の松原漁協の前組合長中山幸雄さん。

    日本にはヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミの3種類の在来シジミが生息しているが、その中でセタシジミは琵琶湖水系にだけ棲む固有種で、コクのあるその味は昔から琵琶湖特産として広く知られている。

    「セタシジミは他のシジミと違うて殻が厚うてぷくっとふくれとる。色も泥地のシジミは黒うなるけど、この辺りは砂地が多いから明るい飴色したものが多いんや」と松原で獲れるシジミの特徴を話してくれた。

    セタシジミ漁には「貝曳き漁」という漁法が用いられ、「タモ」と呼ばれる櫛の歯のようなものに網をくっつけた漁具を沖で沈め、船を走らせて湖底を掻き取り、シジミをすくい取って引き揚げるとのこと。

    昭和30年頃までは、この松原周辺では少し砂を掘り返すだけで誰でも簡単にセタシジミを見つけることができたというが、琵琶湖の環境変化などから漁獲量は昭和30年代前半をピークに急激に減少し続け、今ではとても希少な「びわ湖のめぐみ」となっている。

    「シジミのエキスは肝臓にもええんやで。昔からうちではシジミだけを鍋に入れて乾煎りして出てきた汁を濃い茶色になるまで煮詰めて飲んでるんや」と中山さん。

    琵琶湖でのセタシジミ漁の歴史を熱くお話されてる姿は、まさにシジミパワーの賜物と言えそうだ。
    • 彦根市松原漁業協同組合
    • 彦根市松原漁業協同組合

    彦根市松原漁業協同組合

    住所:滋賀県彦根市松原2

  • 食べるきまぐれきっちん 茶里奈
    店主 藤田正さん

    きまぐれきっちん 茶里奈 店主 藤田正さん
    - 料理と漁師の二刀流 港のそばで食べる琵琶湖の幸 -
    彦根市八坂町にある「茶里奈」は『琵琶湖の魚を美味しく料理してくれる』と評判のお店。お客様には漁師も多く、店主の藤田正さんも朝は漁師、夜は料理人の一人二役で奥様と店を切り盛りしている。

    「市内で飲食店を始めて、もう30年以上。最初は料理だけ作っていたけど、お店に来てくれた漁師さんから、鮒ずしを漬けてみないかと勧められて、挑戦したのが(漁師になる)きっかけかな」と藤田さん。自分で獲って、料理したいと思い、今では漁協のそばに店舗を移転し、ニゴロブナやビワマスの漁に出る。

    新鮮な材料で作られる料理に「湖魚のイメージが変わる」というお客様も多い。鮒ずしは「臭くて癖があって食べられない」という人も藤田さんの漬ける鮒ずしには「美味しい」と舌鼓を打つ。ビワマスを燻製にして丼ぶりにした時には、市内の賞をもらったこともあるそうだ。

    この日もテーブルにはずらりとびわ湖のめぐみが並んだ。鮒ずしは噂通り、臭味がなく、ビワマスもルイベと燻製があって食べ比べるのが楽しい。ホンモロコは煮付と南蛮、またニゴロブナの煮付けとウロリの佃煮はごはんがすすむ逸品だ。

    「小さい頃は、新海浜で海水浴しながら、しじみを獲って帰った」という奥様は彦根育ちで藤田さんとは幼稚園からの幼馴染み。息の合ったご夫婦との会話も楽しめるお店は、彦根に来た際にぜひ立ち寄りたい。
    • きまぐれきっちん 茶里奈
    • きまぐれきっちん 茶里奈

    きまぐれきっちん 茶里奈

    住所:彦根市八坂町1317番地
    TEL:090-9549-9542
    完全予約制

  • 買う木村水産株式会社
    代表取締役会長 木村泰造さん

    木村水産株式会社 代表取締役会長 木村泰造さん
    - 琵琶湖生まれのアユを世界のブランドに育てる -
    木村水産は、全国に先駆けて取り組んできたアユの養殖と、「あゆの店きむら」の屋号で行う、淡水魚介類の加工・販売が二本柱。「びわ湖のめぐみに感謝し、最高の形でお客様に届けたい」という熱い想いがさまざまな工夫を生み、養殖事業の高度化や新商品開発につながっている。

    「70年前、父の代に縁あって彦根へ来ました。この土地の水質が養殖に向いており、おかげでアユ養殖が確立できた」と木村会長。

    本社敷地内には、40面の養殖池が広がり、水車による速い水流があちこちで生み出されている。池にはミネラル豊富な鈴鹿山系の伏流水を使用。水温は約15℃でじっくり半年かけて稚魚を育成する。その後、全国の取引先へ送られ、特に東京・豊洲で天ぷら用として扱われるコアユは、トップブランドとして認知されている。

    加工施設も併設されており、「塩焼きした鮎は急速冷凍をかけるので、そのまま解凍して温めるだけ。見た目も美しく、また冷めても美味しいように工夫している」そうだ。

    本社の一角にある直営店では、その鮎の塩焼きが一匹から購入できる。定番人気の「小あゆ煮」「あゆの姿煮」はもちろん、「小あゆオイル漬け」「あゆ塩焼きのあらほぐし」、また「近江の朝ごはん」シリーズなど時代のニーズを反映した魅力的な商品が並ぶ。

    「地域食材や食文化を大切にする考え方があり、彦根城の世界遺産登録を目指した地元の動きもあります。国内外の方々にもっと琵琶湖の魚を知っていただく機会を増やしていきたいと思います」。

    彦根から世界へ、びわ湖のめぐみが人々の食を豊かにしてくれる日も近そうだ。
    • 木村水産株式会社
    • 木村水産株式会社

    木村水産株式会社

    住所:彦根市後三条町725
    TEL:0749-22-1775

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